三人目
……夫にはバレていない。
娘は今、小学校。
——私は、まだ、抜けられない——
忘れようと頑張った。
合コンにだって足が進まないけど行った。
内心嫌だったけど結婚までした。
反吐が出そうなのを抑えて行為までして子供も生んだ…!!
でも、
でも、まだ、やめられない。
私は女を好きなんだって知ったあの日から、
修学旅行のベッドで互いに弄りあってしまったあの日から、
お泊り会での出来事から……!
……私は。
…………私はっ。
「あ、いらっしゃぁい、最近よく来るわねぇ❤️」
「かっこいいスーツでおめかししちゃってぇ!❤️」
「……いつものひと、お願いします。」
少しすると「彼女」が出てくる。
それは◯◯のような、はたまた□□□のような、
そんな、少しでも愛した人を掛け合わせたような、
美しい、彼女。
そんな彼女を見ただけで、
見ただけで、
身体中を淫らな感覚が支配する。
脳髄からどうしようもない快楽が垂れ落ち始める。
次第に眼が空ろになっていく。
彼女に促されるまま部屋に行き、ベットに頽れる。
彼女は、耳元で、
——本当に耳元で、囁いた。
口を開ける時の微かな ねちゃ、という音が聴こえて、
「今日もよろしくお願いしますね」
彼女の一言が耳を犯していく。
「……ふぁい💙」
全て脱いで、互いの秘部へ手を伸ばしている、
……伸ばしている、その淫らな感情の隅の僅か残滓、私は思った。
————私は、愚か者だ。
今日も水音が響く。
ある人々のエピローグ 谷出 裕樹 @e3819fe381abe381a7
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