第3話 「哀の神(中編)」
怪物は 紅い目を僕に向け 話し始めた
「私の名は バイラ・ワーテルロー
哀という感情を司(つかさど)りし 神だ」
「ど、どういうことだ」
僕は この怪物が言っていることに
自分の理解が追いつけていないことが
よく分かった
「まあ 最後まで聞いてくれ」
僕は何故か 一瞬息をとめた
「この世界は お前たち人間が住む世界とは
違う次元に位置する世界 つまりパラレルワールド
この世界には 四つの種族がいる。
喜、怒、哀、楽
そして私は ここ 哀の種族が住む国の神
どうだ?理解できているか?」
僕は ずっと口を開けたまま
怪物の話を聞いていた
「理解って、理解できるわけないだろ
まず、その話が本当なら
どうして僕がここに...」
「それは、今から話す」
「今から百年前、この世界は
喜怒哀楽の種族たちによって
うまく均衡を保っていた
しかし お前たち人間が住む世界に
何故か 突如として"穴"と呼ばれる
ワープホールが現れた
その"穴"は 人間の感情の
喜び 哀しみ 怒り 楽しみ
などの想いだけを 吸い取って
この世界の四つの種族に散らばり影響を与えた
そして誕生したのが 私だ
私以外にも 他の国での神はいる
そして今お前がここに来たということは
私の継承者にふさわしき者だということ」
「ま、待てよ、何を継承するんだ
僕は 何をすればいい」
「お前は 哀の国の神になり
私の能力を 使いこなし
他の国の神を倒すのだ」
僕は バイラと名乗る怪物の目を
見ていた...
想い人 蒼者(あおもの) @Aomono445
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