第2話 「哀の神(前編)」
僕は 逸話など信じたことはない
だが今 僕の目が映しているもの
それが 「真実」 だと信じている僕にとって
この景色は 僕の思考を数秒とめた
「お前が、私の継承者か...」
醜い怪物は 何個もあるうちの口を
ひとつ開いて 僕に問うた
「な、なんのことだ、ここはどこだ!
僕は... 確か...
屋上から落ちて死んだはずじゃ」
「まぁ、落ち着け」
怪物は 見た目とは程遠い優しい声で
僕の動揺を沈めようとした
自分でもすごく動揺をしているのが分かる
だってこんなことがあるか?
この世界が嫌になって 楽になりたくて
飛び降りたはずなのに
その先でまさか こんな怪物と出会うなんて
僕は 周りを見渡す
人の心臓の形をしたアンティークがあり
天井はまるで 「太陽の光など知らない」
という表情の闇が広がった
そして 胸に手をあて
息を大きく吸い 大きく吐く
肺に絡まるように 怪物の吐いた息を感じた
「そこに座りたまえ
順を追って話そう、すべてだ」
怪物は 触手のような手で宙に円を描いた
すると立派な椅子が現れた
僕は 腰掛ける
少し 落ち着いた
そんな僕の顔を見て安心したのか
怪物は ため息をひとつ零す
「そ、それで話って?」
「ああ、、」
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