なんとかして接点を持ちたい。
どうにかして話したい。
ちょっとでもいいからこっちを見て欲しい。
1秒でもいいから。
そんな気持ちからちょっかいを出す不器用男子。
いるいる、いつの時代もいるんだ。
そうやって嫌わループに嵌っちゃう。
でも、いまさら優しくなんかできないじゃん。
あれだけ意地悪しておいて、今日から急に優しくなったら気持ち悪がられるし、オレの柄に合わねえ。
そうやって突っ張って、結局いつものようにイジワルしては嫌われる。
恋敵が白馬に乗った王子様のように颯爽と現れて、カノジョを攫っていく。
でも、悪いのはオレ、全面的にオレが悪い。
わかっているけど、今更どうにもできないんだよ!
少し大人になって、同じような後輩を見かけたら?
特大ブーメランを背負って、彼を救ってやるのが先輩ってもんだ。
だよね?
好きな子イジメをしてしまう親戚の子どもを見て、かつての自分を思い出す中学生の啓太。特別な大切な初恋。ずっと謝れなかった。ずっと謝りたかった。はじめての『ごめん』に返ってきたものは――。
こちらは『初恋と幽霊』のスピンオフですが、単体でも十分に甘酸っぱい、ほほ笑ましい物語になっています。
またシリーズを読んでいると、そこに過去と未来の、なんともいえない懐かしさがプラスされて、しみじみとじんわりと感慨深い。
単独のほほ笑ましい初恋物語として。あるいはシリーズの入口として。シリーズ読破した方には嬉しいスピンオフとして。
このシリーズの、切なくて爽やかであったかい『空気』にぜひ一度触れてみてください。