第105回:暗黙の了解は小説で通じるか?(補講)

補講かどうか怪しい題材ですが、一応補講で。


・暗黙の了解

 小説の読者が知っていそうなので書かない、いわゆる暗黙の了解で描写を省略して他の描写を集中して書くのは、何か違いますよね。確かに小説で触れない話題があるので省略するのは正しいでしょう。むしろ、そうしないと文字数という意味でも大変な事に……だからと言って、暗黙の了解とかその手の読者ならば書かなくても知っているので省略と言う手法は、お勧めできません。


 例えば、マイナースポーツ物。野球やサッカーのようなメジャースポーツであれば説明をざっくりにしてしまう等の手法もできるでしょう。しかし、マイナースポーツはどうでしょうか? テレビで注目され始め、流行語大賞にもノミネートされた事のあるイースポーツでも、それを説明なしで単語を入れて世界観説明になるでしょうか? 自分も似たような事をやっているので、ある意味でブーメランするかもしれませんが。


 逆に特撮上のお約束などを「暗黙の了解」みたいにして、メタフィクション的な攻め方で書くのもありでしょう。その際は該当シーンが出てからナレーションで「説明しよう!」と説明させたり、解説モブキャラが「これは――」みたいなふれこみで話を進めるとか。


 更に言えば、ピクシブでの二次創作は典型的に暗黙の了解とかお約束が多いですよね。キャラの設定等は「原作をチェックしてね」的な意味でも。そう言った書き方は一次創作では全く通じません。だって、作者のオリジナルキャラを誰が知っているというのでしょうか? そう言った意味でも、暗黙の了解は二次創作限定の手法なのだ、と思いましょう。

(自作である世界線シリーズも他の作品をチェック推奨としている作品はありません。せいぜい、小ネタの部類が分かるレベル程度です)


 一次創作でお約束のようなネタが出来るとすれば、一種のセルフパロディ(近年だと、戦姫絶唱シンフォギアシリーズにおけるワイルドアームズネタが一番有名でしょうか)位です。作者の手法やノウハウとも言えるかもしれませんが、それも過去作品の積み重ねですよね? やはり、必要な個所の説明は省くべきではないのですよ。


 改めて復習です。読者に暗黙の了解と言えるような手法で、作品を読ませるパターンは一次創作で通じるケースは少ないと言えるでしょう。それを踏まえて必要な説明を省かない技術も磨く事が重要になります。

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