人生というゲーム

クロバンズ

第1話

『生ある者はいずれ死ぬ』


それは世界の絶対の法則であり、この世界を定めた神々のゲームの"ルール"である。


命ある者は全て、神々の駒なのだ。

容姿や性格という個人のステータスを持ち、

経験や体験というイベントを経て、経験値を獲得し、己のスキルを磨いていく。

このイベントは個人によって異なり、誰一人として同じ経験値を得ることはないし、『リセット』の概念は『時間』というゲームシステムによって使うことは出来ない。

また、容姿や性格というステータスも同種の個体は存在しても、同一の個体は存在しない。

それぞれが意思を持つ駒であると同時に、『プレイヤー』でもあるのだ。

誰一人でさえ"同じ"は存在しないプレイヤー達。


そんな彼らの人生プレイを覗き見る者達がいた。

ずっとずっと遠い場所。誰も知らないどこかで。

眼下に盤上を置きながら。

とある神々はーーゲームマスター達は一興に投じていた。


「おいおいコイツ、やりやがったぜ。平凡なステータスから成り上がりやがった!目をかけてた甲斐があったぜぇ!」


「クソが!?なんだよ期待してたのに!ステータスは高かったのになぁ、スキルが貧弱すぎたか。経験値足りなすぎたもんな〜」


「あぁ!?完全に順調だったのに……なんでこんなことしちゃったかなぁ」


ゲームマスター達は自らが目をかけていた駒にそれぞれの思いのまま声を飛ばす。


寿命という限りあるプレイ時間の中で何を知り、何を得て死んでいくのか。

そのプレイを見るのが神々の娯楽の一つであった。


そんな中、今神々を熱狂させている種族がいた。

その種族の名は"人間"。

地球ボードの上で最も動き回ってくれる駒。

そしてこのルールの中で最も繁栄している種族である。

そして地球という盤上を最も支配している種族こそが人間だと神々は盤上を俯瞰する。


「くうぅぅ!やっぱ面白いなあ!何が起こるかわからない奴もいれば何もしない奴もいやがる!これが知恵ある者の生き方!やっぱ知恵の果実を与えたのは正解だった!」


その昔神々は現在の盤上が完成する前、神々はその地に降り立った。

そしてそこにいた人間にあるアイテムを与えたのだ。


「なんだっけ?アイツら……そうだ!アダムとイブだ」


ゲームを盛り上げる為に、と知恵の実を与えたのを神々は思い返す。


「ちょっとチート過ぎたかねえ。高度な知性は生物の強さをひっくり返しちまうよ。戦車だのミサイルだのレベルの高い武器をどんどん量産しやがる」


人を殺しあう映像を見て、真剣な表情で口を開く神。


「嗚呼っ!美しい!なんて美しいんだ、愛というものは!」


とある親子の行動に歓喜を表す神。


「あっアイツとうとう秘密がバレたぞ!おもしろくなってきたぜぇぇぇぇぇ!」


これからのプレイに期待を見いだす神。


「あ〜あ死んじゃったよ。やっぱ死ぬときは呆気ないなあ」


駒の消失に興が冷める神。


多種多様な神の誰一人でさえ、"ルール"の改変は許されない。

神々はいつだって傍観者である。

決してプレイに干渉することはないし、することもできない。

全ては駒の意思によって紡がれるのだ。

決して停滞することのないこの盤上の上で。



このゲームの結末はどうなるのか。

それはまだ誰にも、神々にさえわからない。


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