別の時代のルール


かつて存在したと言われる、

"とある人間"のドキュメントを夜遅くまで観ていた青年Aは朝方まで深い眠りについていた。


7時に目覚まし時計が鳴るにも関わらず、

母親が毎日6時59分に起こしにくる。


青年Aが目覚まし時計をかけている事を知らないのだろうか。


毎日起こしにくる母親を、

"起こしてくれる機械"の様だと諦めかけている青年Aは、


食べたくもない朝ごはんを無理やり胃袋へ流し込む。


最近ではトーストにバターをチョコンと置いて食べる事にハマっている。


なんだかんだ、食べる事は好きな事に薄々気付き始めている。


そして、甘いコーヒーを飲みながら世間の情報収集。


今、この国では"とんでもない法律"をめぐって世間が賑わっている事が連日報道されている。




青年Aが生きる世界では、


朝、6時に起きて、

朝ごはんを食べる事が当たり前とされている。


そんな当たり前なルールを疑いもせずに青年Aは玄関を出る。


そして、この日の友人との会話の中で、

その"当たり前のルール"を破っている人達が多い事を知る。



青年Aは宇宙を漂う星達の様に、"規則正しい性格"をしている。


自動運転車は三色ライトを基準に操縦するらしい。


右と左をよく確認しなければいけないらしい。


目上の人を尊敬しなければいけないらしい。


他人に迷惑をかけてはいけないらしい。


多少の嫌なことは我慢をして、

他人の嫌がる事はしてはいけないらしい。


しかし、他人の嫌がる事を率先して行うと褒められるらしい。


一度決めた、始めた事は途中で辞めてはいけないらしい。


嘘をついて喜ぶと、喜ばれるらしい。


社会人として、恥ずかしくない生き方をしなければいけないらしい。


人生を最後まで全うしないと地獄に落ちるらしい。



そんなルールが日に日に増えていき、

そんなルールを破る人がとても多い事にも気がついた。

青年Aは、そんなルールを守らない人達に眉間のシワを寄せる。



今朝のテレビからは"戦争反対・平和デモ"が流し出されていた。


昼のワイドショーでは迷惑マナー違反行為を特集していた。


そのワイドショーを観ながら青年Aは、

マナー違反が増えている"ハイテク身体"をもっと厳しく規制する"ハイテク身体規制法"を巡る議論について、眉間にシワを寄せながら友人と持論を話し始めた。



「みんな、ちゃんとルールを守れよな」



終わり

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"とあるルール"の物語集 南極熊 @kawaii123

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