4.大男の正体
心ちゃんの目の前で、信じがたい
「ヒッ!?」
「は、
大の男を、片手でそれぞれ吊り上げていることになる。すごい力だった。
チカンたちはジタバタと
心ちゃんは、そこで初めて後ろから来ていたチカン男の顔を見た。
前にいた方とは
けれども、このチカンメガネ男は先ほど、心ちゃんとひばりちゃんが小学生と知って息を荒くしていた。中身はとんでもないヘンタイなのだ。
「きもちわるい」――心ちゃんは
「はい、そのまま持ち上げておいてね? ええと……パシャっと」
そんな心ちゃんをよそに、ひばりちゃんはスマホを
チカンの
「お、おい! よせ! 撮るな!」
「た、
メガネ男の方はまだジタバタして、写真を撮るひばりちゃんにくってかかろうとしている。もちろん、びくともしない。
一方、茶髪アロハ男の方は、すでに
「……そう言えば、先日となりの市で女の子を
「あっ!? あたしも聞きました! たしか……
ひばりちゃんと心ちゃんの言葉に、チカン男たちがビクッと体を
どうも
「どうやら、チカンは初めてというわけじゃなさそうね。――じゃあ、
「……クロウさん?」
ひばりちゃんの言葉に、首を
そう言えば、先ほどからクロウさんの
「あがっ!? あがががががががががっ!?」
「ンゴォ!? オオオオオオオオオオッ!?」
チカン男たちが、
見れば、二人は全身をプルプルと
そして心ちゃんは見た。
何か青白い光のようなものがチカン男たちの体から出て、大男の手の中へと吸い込まれていくのを。
「え、ええっ!? な、なんですか、これ?」
「こいつらが二度と悪さをできないように、
「せ、生気?」
「分かりやすく言えば、
冷たい怒りのこもった声で、ひばりちゃんが
心ちゃんは、ちょっとだけひばりちゃんのことが怖く見えた――。
***
やがて、「生気」とやらを吸い尽くしたのか、チカン男二人はピクリとも動かなくなってしまった。
「もしや死んだのでは?」と、少しだけ心配になった心ちゃんだったが、どうやら二人とも息はしているようだ。
「お
「
大男の問いかけに、ひばりちゃんが
それに
――と、その時。
「……あれ? パトカーのサイレンの音……? こっちに近付いてきてませんか~?」
心ちゃんの耳に、パトカーのサイレンの音が聞こえて来た。しかも、明らかに近づいてきている。
「どこかのおせっかいが呼んだのでしょう。丁度いいわ、このバカ二人は警察に連れていってもらいましょう。――ああ、話は私がするから、心ちゃんは『怖くて震えているかわいそうな女の子』の振りをしてくれるかしら?」
「は、はい~!?」
心ちゃんがすっとんきょうな声をあげるのと、パトカーが姿を見せたのとは、ほとんど同時だった。
そして、
***
結局、チカン男二人はそのまま警察に連行されていった。
ひばりちゃんと心ちゃんも、いわゆる「
『この男二人が、いやらしい言葉をつぶやきながらこちらに近付いてきた。体を
それが、ひばりちゃんがでっち上げた「事件」の内容だった。
警察官はその話を疑わず、そのまま「心ここにあらず」と言った
心ちゃんの両親はたいそう心配してくれたが――果たして、ひばりちゃんの家ではどうだったのか?
少し気になったので、心ちゃんはご飯を済ませてからひばりちゃんに電話してみることにした。いつの間にかいなくなった、あの大男のことも気になった。
「あ、もしもしひばりちゃん~?」
『……なぁに? こんな時間に』
「あ、ごめんなさい~。もしかして、もう
『まさか。まだ九時前よ? ちょっと
そう言えば、電話の向こうのひばりちゃんの声は、どこかお疲れ気味なようだった。
あんなことがあったので、さすがのひばりちゃんも気疲れしているのだろうか。
『少しチカラを使い過ぎたからね……。クロウさんはツヤツヤしているけれど』
「クロウさん? クロウさんがどうかしたの~? そう言えばさっき、
『……? 心ちゃん、何を言って――ああ、そうか。ごめんなさい。心ちゃんには、まだ話してなかったわね』
「話してなかったって……何をですか~?」
ひばりちゃんが何やらあやまってきたが、心ちゃんには全く心当たりが無い。
一体何を「言っていなかった」のだろうか。
『さっきのね、大きな男の人、いたでしょう?』
「あ、はい! ひばりちゃん、あれ、誰なんですか!? 突然現れて、突然いなくなって! 助けてもらったお礼も言ってないんですけど~」
『お礼なら、今度会った時にナデナデしてあげれば十分よ』
「ナ、ナデナデ!?」
心ちゃんは、自分があの大男の頭を「ナデナデ」している場面を
上手く言えないが、あまりにもおかしな光景だ。
『ええ、クロウさんを沢山なでてあげて』
「……クロウさんを? なんで、また。いや、言われなくてもナデますけど~?」
『だからね……あの男の人がクロウさんなのよ』
「へぇ~、あの人もクロウさんって言うんですか。面白い
『だから、助けてくれたあの男の人は、クロウさんなの」
「えっ、ええええええええええええええええっ!?」
夜の住宅地に、心ちゃんの
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