3.暗い夜道は気をつけて
ひばりちゃんと心ちゃんは下校の
日はだいぶ
鎌倉西小学校は、
観光地として有名な鎌倉だが、
おまけに、ひばりちゃんや心ちゃんの家があるのは、学校からはかなり
「孔雀くん、『調べることがある』とか言ってたけど、何を調べるんでしょうね~?」
「……さあ。あいつの考えていることは、時々分からないわ」
毎日の登下校の中で通っている道とはいえ、日が暮れてしまうと
心ちゃんは、その不気味さをごまかすためにひばりちゃんに話しかけたが、そこは
そうこうしている内に、二人は一番「不気味」な道に
普通の子供なら「なんだかお化けが出そう」と
それに、クロウさんが今もひばりちゃんのとなりを歩いている。お化けが出ても、クロウさんがやっつけてくれるはずだ。
心ちゃんが怖がっているのは、もっと別のものだった。
そう、
「ねぇねぇ君たちぃ~。今帰り?」
けれども――。
「ねぇねぇ、ちょっと
今度は目の前に
どうやら、男二人にはさまれてしまったようだ。
「君たち、この辺りの子? ちょっと道を教えてほしんだけどさぁ~」
前方の男が、ニヤニヤしながら二人に近付いてくる。
中学生――いや、高校生くらいだろうか? 今時は
男は
「
背後の男も、息がかかりそうなほど近くまで
振り返っていないので顔は分からないが、「きっとスケベそうな顔をしているだろう」とひばりちゃんは思った。
「――っ」
心ちゃんが
そう。二人の男は、心ちゃんが恐れていたもの――「チカン」に違いなかった。
鎌倉市は、とても
けれども、それでも全く安全というわけではない。
この二人の男も、きっとそういった人間だろう。
「へぇ、キレイな
「こっちの君は……へぇ」
男たちがスケベ心を丸出しにした、いやらしい笑顔を浮かべる。
背後の男などは、心ちゃんの小五にしては大きすぎる
明らかに、何か良からぬことを二人にする気満々だ。
「ひっ!?」
年上の男から向けられたいやらしい
お化けなんかよりも、こちらの方がよっぽど怖いし気持ち悪かった。
「……あなたたち、小学生相手にそんな
心ちゃんが悲鳴を上げたことで怒りに火が付いたのか、ひばりちゃんが普段からは考えられないような
――ちなみに、「好色」とは「スケベ」というような意味だ。
「えっ!? 君ら小学生……? にしては、君は背が高いし、そっちの君は……りっぱだなねぇ」
前方の男が、信じられないと言った表情を見せる。
確かに、ひばりちゃんは中学生と言っても通じるような背丈だし、心ちゃんの胸は小学生にしては大きすぎる。
けれども――。
「しょ、小学生かぁ~。そうかそうか。俺、ちょっとテンション上がってきちゃったなぁ~」
背後の方の男は、むしろなんだかうれしそうな声を上げていた。
どうやら
「――
先ほどよりも更に迫力に満ちた声で、ひばりちゃんが叫んだ――
「きゃっ!?」
あまりの風の強さに心ちゃんが片手で顔を
二人のチカンもたまらず目をつぶる。
そして、風が吹き抜け三人が目を開けた時――その場の
『えっ……?』
――その人影は、とても背が高かった。おそらく、一八〇センチメートルくらいはあるだろう。
恐らくは二十歳くらいの、中々のハンサムだったが――
その顔に、心ちゃんは全く見覚えが無かった。知らない人だ。
突然に現れた大男を前に、
そんな三人をよそに、大男がその大きな口を開き、ひばりちゃんにこう言った。
「――お
その言葉に、チカン二人が
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