4.心ちゃん、ひばりちゃんと出会う
「ええと……あなた、お名前は?」
「あ、綾里心です! 四年生です!」
八重垣ひばりちゃんは、双子のお兄さんの
まだ五年生なのに、六年生の誰よりも背が高くて、大人っぽい
だから、心ちゃんはとっても
「……四年生?」
「はい。四年の三組です」
ひばりちゃんは、何か信じられないものを見るような目つきで、心ちゃんのことをじぃっと見つめてきた。
気のせいか、心ちゃんの
「うちの神社? ……って、ここ、八重垣さんのおウチだったんですか~!?」
「ええ、そうよ。学校でも
「あ、そうだ! ええと……お守りを、ください!」
心ちゃんは、ようやく神社へやってきた目的を思い出した。お化け――花子さんを退治するために、お守りを買いに来たのだ。
「お守り? 色々あるわよ? 家庭内の
「ええと、そういうのじゃなくて~。……あの~、『
「……悪霊退散?」
心ちゃんの言葉に、ひばりちゃんが首を
「ああ、なるほど。今、学校中のうわさになっているものね。お守りの一つでも身に着けておけば、きっと大丈夫よ」
そう言いながら、ひばりちゃんは受付の窓を開けて中からお守りを一つ取り出し、心ちゃんに手渡してくれた。お守りには「無病息災」と書かれている。
「お金はいらないわ。その代り、またお参りに来てちょうだい」
「え、いいんですか~? ありがとうございます~!」
手を握られたひばりちゃんの方はというと、少し
「さて、どうしたものか」とひばりちゃんが困り果てた、その時。
『ニャァ~』
神社の境内に、
その鳴き声に、ひばりちゃんが周囲を見回すと――いつの間にか、
全身真っ黒で、
「ああ~、可愛いにゃんこ! 八重垣さんの猫ちゃんですか~?」
心ちゃんも猫の姿に気付くと、ひばりちゃんの手をぱっと
猫はなでられて嬉しいのか、ゴロゴロと
けれども、それを見ていたひばりちゃんはひどく驚いていた。なぜならば――。
「あなた……。綾里さん。まさか、その子が見えているの?」
「ほえ~?」
心ちゃんは、心底不思議そうに首を傾げた。それも無理もない話だった。
けれども、本当に戸惑っているのは、ひばりちゃんの方だった
――その猫は、普通の猫ではないのだから。
「……綾里さん。あなた、もしかして小さな頃から、他の人には見えないものが見えたりする?」
「えっ!? ええと……その……」
「
「ええっ!?」
今度は心ちゃんが驚く
今まで、近所のお兄さん以外でお化けを見ることができた人はいなかった。それが、こんなところに――しかも同じ学校の上級生にいたのだから。
「どうやら、お守りを渡して『はい、さよなら』で済む話ではなさそうね。綾里さん。あなた、ただ『トイレの花子さん』を怖がっているんじゃなくて、実際に見たのね?」
「……はい。あの! 信じてもらえないかもしれないけど、花子さんが出たのは、きっとあたしのせいなんです!」
「ふむ……くわしく話を聞かせてもらっても、いいかしら?」
ひばりちゃんの言葉にうなずくと、心ちゃんは「トイレの花子さん」を見てしまった、あの日の
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