俺、あと5分で成仏するらしい。

あと5分でやりたいこと

『ピンポーン♪　

　あと5分であなたは成仏します。なお、この時間は生前の善行と悪行を差し引いて決められています。

　ポンピーン♪』

　ということで、俺はあと5分で成仏するらしい。

　……俺のした善行って悪行と差し引いて5分の価値しかないのかあ……。

　俺は、ついさっき死んだ。

　車に轢かれそうになった子供を助けて？　それで5分とか呪うぞ。

　災害で？　対策は普通以上にやってる。

　まぁ、単純に信号無視した車に轢かれて死んだんだ。

　こういう時って普通遺してきた恋人とか親の所へ行ったりするんだろうが、生憎俺は両親を早くに亡くしたし恋人は生まれてこの方いたことがない！　

　特に才能や運に恵まれていたわけでもなく、いたって平凡な人生だった。

　そんな俺が死んでから一つ、たった一つだけやりたいことがある。

　……覗きだ。

　もう一度、丁寧に言おう。

　女湯を、覗かせていただきたいと思っております。

　……え？　カスだって？　

　いやいやいや。逆にこの透明人間状態でうら若き青年（二十は超えている）がやることなんて覗きくらいしかないだろう！　

　今まで一度も覗きをしたことがないんだ。法もモラルも糞もない死後くらいしてもいいじゃないか！　

　さて、行くか。……因みに俺は浮けないので徒歩である。まぁ通り抜けは出来るので直線距離で行けるしいいか。

　■

　遂に……遂に銭湯に着いたぜ！！　因みにこの竜の湯は人気なので老若男女問わずあらゆる人々が利用している。

　期待に胸をふくらませ……いざ女湯に、レッツゴー！！！　

『ピンポーン♪　

　5分が経ちました。成仏へ移ります。

　ポンピーン♪』

　……俺さ。

　来世は羽のある生き物になるんだ。