第2話 勇気を出したら勇者になったんだが

「な、何とか普通の服には見える…かな?」


私の手持ちの数少ない日常系アニメの私服っぽいやつを組み合わせた結果、普通によく見るおしゃれなファッションになった…よかったぁ…


よく…ない…!!!

これからお外だよ…!やっぱつれぇわ…!


しかしながら、限定品と言ったが実はつてがあるからとっておいてもらっているっ…!

いや、もしかしたら直接行くかも~wとか言ったら。


『引き籠りなのに大丈夫!?一つだけとっておいてあげようか!?』


なんて全力で心配されたもんだから

「午前中に来なかったら売っちゃっていいよwww」


なーんて…言っちゃったのさ☆

バカだよね~…


準備…完了しちゃった…


私は、久しぶりに、玄関のドアノブに手をかけ、勢いよくもうどうにでもなれと思いながら開けた。


…なにこれ?


目の前に広がるのは見たこともないようなだだっ広い大草原に、遠くに見えるお城の果てしなく続く城壁、いやでかすぎるでしょ!?

…なにより


「私…どこでもドアでも使ったのかな…?

と、とにかく家にもどらな…!」


方言ではない、聞きたくない音と共に後ろを振り向くと、そこはもうただの草原だった。

おまけに、走り去って行く犬みたいな生き物が見える始末…あいつだわ、犯人いや犯犬!


そんなこと言ってる場合ではない、ここどこ?どうしたらいいの?私のコミケは?限定品は?

と、途方にくれていくと、突如背後から。


「こんにちわ!勇者様!」


「ひぇぇぇえええぇぇぇ!!!!!」


絵に描いたような悲鳴と後退りを決める私。


「…君、ホントに勇者?」


「人違いですぅぅ!!イヤァよらないでぇ!ほんと無理やめて勘弁してぇ!」


「おかしいなぁ、このあたりにとてつもない勇者の素質を感じて召喚したんだけど…まさかさっき通りすぎてった犬…?」


「それはそれで不服!」


「じゃあさ、勇者になって、魔王を倒そうよ!」


さよなら私の限定品、こんにちわ地獄の勇者生活。

こうして突如として勇者を始めることになった。

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引き籠り箱入り娘、勇者やります @sakuteru

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