懐かしいお話
あるゲームに手を出した。このゲームは、主人公やヒロインなどの名前を自由に変えれるものだ。
だから僕は、主人公の名前を自分に、ヒロインの名前を好きな子の名前にした。
お兄さん的なキャラには、近所で良く遊んでくれるお兄さんの名前を、味方のライバルキャラには幼馴染の名前だ。
そして、このゲームは敵の名前も変更が出来る。すごく画期的だと思ったよ。
だから敵の名前には何かと煩い兄の名前を、敵の国のお姫様の名前を何かと邪魔をしてくる妹の名前にした。
ふふふ……これで、何時もの鬱憤を少し晴らすつもりだ。
ゲームを進めていくと、ヒロインが連れ去られてしまった。
うん、王道なお話だ。此処からかっこよくヒロインを救い出してからのラブロマンスだろう。
どんどん話を進めていく。あれ? なにか敵キャラが強制的に味方になった? 兄の名前にした敵が味方? ふざけるな! 僕は兄をぼこぼこにしたいんだ! あれ? 敵国の姫も親を裏切ってこちら側につくだって? まったく……どれだけ敵国は内部がボロボロなんだよ。
話を進めていくと、僕は絶望した……ヒロインってなんだよ。なんで兄の名前の敵キャラとくっついてるんだ! え? 妹の名前をつけた敵国のお姫様は僕にぞっこん? いらないんだよそんなの!!
きっと何処かで大逆転があるはず! とゲームを進めるが……ヒロインの残酷な宣言「子供の頃の思いって、大人までは続かないものよ」だと。
ふざけるな! どれだけ頑張って助け出したと思っているんだ。
敵の姫君の「私がずっとアナタの側についているわ」って、それは憑いているだけだろう!
これは駄目だ……説明書に騙された。なにが「ヒロインの名前に好きな子の名前をつけてね」だ!
そうして、僕はそっとゲームの電源を落とした。
これは、昔々の子供の頃の記憶だ。今、何故その事を思い出しているかって? それは……その時に好きだった女の子が目の前でウェディングドレスを着ている。
兄の横に立って。
作者より
さて、ネタが解った人はいるだろうか? 結構な改造はしているけれど、きっと通じる人が居ると信じてる。
ちなみに兄とかなんだとかの下りは、実話じゃないのであしからず。
短文的な物 雨水 @usui__ss
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