◇そんな勇者 ストーリーまとめ【第三部】


 子大陸ディルナーチへと向かったライ一行……。



 一方、親大陸であるペトランズには脅威が迫りつつあった。


 ペトランズ北西──北の大国トォンと西の大国アステに挟まれた小国『ニルトハイム公国』。大公クランデルは年頃となった娘達を伴い『見合い』の為にアステ国へと向かう。


 二人の大公女ナタリアとクリスティーナは、二人とも美しい容姿を持つ。父クランデルは自国の安泰の為でなく娘達の幸せの為に大国での良縁を望んでいた。


 ニルトハイムの一行が向かったのはアステ国の大貴族領地・イズワード領。その地にて大公女ナタリアは運命の出逢いを果たす。

 相手はイズワード家当主パルグの孫にしてライの兄、『シン・フェンリーヴ』だった。


 姉の為に奔走するクリスティーナの手配により、シンとナタリアは無事婚約となり幸せが約束されたと思われていた……。



 だが──世界は残酷だった。



 ニルトハイム公国に起こった異変。これに気付き素早く調査に動くニルトハイム大公子ゲイル。親友で警備隊長でもあるポルトラと共に国民を守る為に奔走を始める。

 やがて禁足地とされていた森で爆炎が上がりゲイルは逸早く駆け付けた。


 そこに現れたのはフード付きマントを纏う三体の魔人、【角】【鱗】【六目】。救いに駆け付けたポルトラの犠牲も虚しく、ゲイルは敵を倒すために自爆し力尽きる──。

 しかし……魔人を倒すには至らず、魔獣を元にした【角】の大規模殲滅魔法『死獣の咆哮』がニルトハイムを飲み込んだ。

 

 同じ頃、イズワード領に花嫁修行として残ったナタリアと別れたクリスティーナとクランデルは、護衛として同行したメル・レインと共にニルトハイムへと向かっていた。

 その途中、故郷の異常を感じたクランデルはクリスティーナを残し馬を駆りニルトハイムへ……。その途中、ゲイルの手引きで避難していた大公妃ノーラと再会を果たす。


 しかし……『死獣の咆哮』は止まらず、死を悟ったクランデルとノーラは我が子らの幸せを願い光の中に消えた──。



 それでも『死獣の咆哮』は止まらない。その威力は国境を越え隣接する大国トォンにまで破壊の威力を伝播する。

 トォン国の街シシレックへと迫る衝撃を逸らし街を救ったのは、『三大勇者』にして『力の勇者』──ルーヴェストだった。



 他国からでも判る程の破壊力……天使の管理する国・神聖国家エクレトルでも脅威を観測していた。

 ニルトハイム公国の消滅……その所業にエクレトル最高の地位『至光天』の一人、セルミローが調査に動き出した。



 一方その頃……ニルトハイムとアステ国境に居たクリスティーナにまで『死獣の咆哮』の脅威が迫っていた。

 爆風に巻き込まれ命が失われる寸前、その命を救ったのはメル・レインだった。


 実はメル・レインの正体は聖獣メルレイン──その魔力を用いクリスティーナを守ったのである。

 しかし、周囲の景色を一変させる程の破壊力からクリスティーナを守った為にメルレインはクリスティーナの中にて回復を余儀なくされる。



 メルレインの説明によりニルトハイムの家族を失ったと知ったクリスティーナは、悲しみに打ちひしがれる。しかし、メルレインの言葉によりクリスティーナは生きる意味を理解しアステ国側へと走るのであった。


 メルレインは少しでもクリスティーナの生存率を上げる為に、何故魔法が苦手なのか原因を探ることにした。そうして潜った心の中には、クリスティーナとは別人の姿が……。

 彼女は自らをアローラと名乗りクリスティーナの力を司る【心の鍵】をメルレインに託すのであった。




 【鍵】の力により膨大な魔力を得たクリスティーナを三体の魔人が追う。自らを魔王と名乗った三体の脅威……今度こそ絶望かと思われたクリスティーナを救ったのは、至光天セルミロー、力の勇者ルーヴェスト、そして異変を感じ駆け付けたシン・フェンリーヴであった……。


 魔王【角】は【鱗】と【六目】のいがみ合いに興味を失い既に何処かへと去っていた。

 残った魔王二体は、シン、及びルーヴェストと対峙し戦いが始まる。


 言葉の端から【鱗】や【六目】は千年前の魔法王国クレミラ時代の存在だと看破。神格魔法を操る魔王──しかし、現代の勇者であるルーヴェストとシンは圧倒すらして見せる。


 その間に聖獣メルレインと正式な契約を交わしたクリスティーナ。その尋常ならざる魔力も加わり聖獣との融合【御魂宿し】の力を発現……。

 それは護られる者ではなく、守る側の力……クリスティーナはその為の成長を始めたのだ。


 勇者と魔王の戦い……やがてルーヴェストは【六目】を撃破。シンも【鱗】を無力化するも、情報を得る為にトドメを刺すことはしなかった……。


 魔王【鱗】への尋問をエクレトルに任せることにしたシン、ルーヴェスト、クリスティーナは戦いの場から去った。

 それを見届けたセルミローが【鱗】を引き連れエクレトルに帰還しようとしたその時、背後から襲撃されその命を散らしてしまう……。



  至光天セルミローを失ったエクレトル。同じく至光天であるアスラバルスとぺスカーは、セルミローの遺志を継ぎ『人との協力を行ないより良い世界』を目指す決意をする。


 そこで提案されたのが【ペトランズ大陸会議】──エクレトルは初めて世界との協力体制へと動き出した。


 だが……大国小国問わず脅威に対抗する意見の場となる筈が、小国は庇護下にある大国に遠慮し会議から退散。実質の大国会議となってしまう。


 アステ国王子クラウドの暗躍、エルゲン大森林に住まう獣人達の独立宣言、ボッチ女王とボッチ大公女の友情等、大国会議は様々な想いが交差する。


 しかし……そんな中でも協力体制は確立されつつあった。



 シウトとトォンは同盟を発表。トシューラ、アステの繋がりに対抗する為の体制構築に加え、エクレトルとの連携による脅威存在への対策へと乗り出した。


 トシューラ・アステ両国は表面上協力を約束。が……クラウド王子の画策よりトシューラ・アステ両国は魔王を誘き寄せる為に【海王】を暴れさせる役割を担うことになった。

 魔王【角】討伐計画はこうして推進されて行く。



 会議後、クリスティーナはクローディア女王に同行したマリアンヌと邂逅。弟子入りを許される。



 ペトランズ大陸には未曾有の危機が迫っていた……。



  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

そんな勇者の物語・人物と地名の紹介(ストーリーまとめも有ります) 喜村嬉享 @harutatuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ