彼の匂いはなぜか「おいしそう」
新世界
第1話
あ、いい匂い。何の匂いだろう?
廊下を歩いてたら香ったこの匂い。時間はもう下校時刻。近くにお店はないし……?
「匂いが強くなってきた。この部屋か」
気になって扉を開ける。そこには、一人の男子生徒がいた。
「あ」
「どうもっす。何ですか?」
男子生徒は、何やら皿洗いをしていた。
「あ、もしかして、匂いしてた? やっべー」
「あの……この匂いって」
「そう! ハンバーグ!」
「ハンバーグ!?」
男子生徒は笑いながら頭をくしゃくしゃかいた。
「腹減ってさー。作っちゃった♪ やっべー」
その時、私のお腹が小さく鳴った。
「あ、良かったら食べる? 一つあるよー」
「え」
「あ、ケチャップもあるからさ……って、いらない?」
彼の申し訳なさそうな顔に、私は思わずその皿を手に取っていた。
「いただきます」
夕焼け空、他の生徒たちの笑い声が聞こえてくる中、そのハンバーグからは、青春の味がした。
彼の匂いはなぜか「おいしそう」 新世界 @pandreams
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます