第140話空蝉の声は青に栄え
空蝉の声は青に栄え
懷曇りでは雑喪を詠む
日々割れる硝子窓
かつりかつりと爪を立て
絖して残す手跡の史
夏に架け 靄罹る
白鴉に熱が 子守り臥す
久しの元 陰を嵌む
諾々流す芥で侵す
幸を追い被う幻栄華
心ここに在らず
無視すら届かない
手を伸ばしても直ぐ底庭
小さく折れた
千代紙の匣。
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