第79話【離散】

彼方にあげようと生花なまばなを活けました

しんとした室内にささやかな吐息が芽吹き

鼻をつん、と圧すのは、生花生家の所為かしら


黒布は捲れ溢れた一線一閃宵に塗れた


野木に仰いだ嘘つきの短冊が色あせても

しろくしろく未来を継ぐんでいる

希望に見合う風鈴の音色は

転がした彼方の聲に見得ました


きっとずっと聞こえないのでしょう


さえずる小鳥と

の翳とで

揺れては散る光の饗宴


しばしば酔いれようかと狂い咲く

終のまにまに散り急ぐ紫陽花の華は

そっと永久に心を救う巣食う本当の彩

花と蕾のままでいて。



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