第4話曇天に仰ぎ見る

曇天に仰ぎ見る

錆びついた生涯は赤裸々に喘ぐばかりで

巣食い盗るべき此の手に透かす血潮でも

光を爪弾くことは出来やしなかった


朽ちた縄で占めくるめた

鬱血する生命線は

環状線に朱い糸を剥離して、

離脱した鳩羽鼠のいろは

家畜は紙一重で唯々奔る


弥年いやとしのこと風が均す

嗚咽の如く木霊は繰りかえされる


塵埃こそ水に滴り

美々しく灰にする

散り散りに雪が舞う

それは命の輝きに値する


想いの重さで視界は色づいて

今 桜の元に

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