第81話 エピローグ

「自分のためにが一番だけど、私、あなたに相応ふさわしいパートナーになれるように知識や教養を身に付けていろいろ経験を積んでくるわ。だからお願い、四年間だけ待っていて。必ずあきらの所へ戻ってくるから。」


 彼女の目に涙はない。

 強い光があるだけ――。



 戻ってこなくていいよ。 追いかけていけるから。


 立ち止まらなくていいよ。 一緒に走れるから。


 探さなくていいよ。 いつもそばにいるから。


 悩まなくていいよ。  僕にはわかっているから。


 僕がずっと愛していけるのは君だけ。


 僕のパートナーは君。  君のパートナーは僕。


 振り向かなくていいよ。  君は前だけ見ていて――。



 「これ、あきらからもらいたいって思ったことあったけど、あげる方になったわ。」


 友香は僕に手に握っていたものを渡してきた。


「これ、もしかして……。」


「うん、私の下宿先の合鍵。」


 彼女はにこっと笑うと、新幹線の改札へと歩いて行った。



三十分後、友香からのライン

『ごっめーん、あれ、下宿の鍵じゃなくて実家の鍵だったわ。ゴールデンウイークにでも一回帰るから、その時に交換するわ。』

『いいよ、取り換えてもらいに行くから。』

『じゃあお泊りセット、持ってきてよ♡タオルはたくさんあるからいいよ。』

『……了解だよ♡』


そういうこと、さらっと伝えてくるところが友香のいいところなんだよな。

どうせ荷ほどき出来てないだろうから早めに行こう。



               おわり。  

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愛すべき姑息な人々 2 姑息な恋人たち 清泉 四季 @ackjm

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