24.いざ、ヴァンパイアの元へ

 目が覚める。

 5回目ともなるともういつもの天井と言ってもいい気がする。

 クローゼットを開け、比較的動きやすそうな服を選んで着た。

 食堂に行くとウィッチと老ドラゴン、側近は朝食の最中だった。


「魔王様、おはようございます。」


 3人がそう挨拶した。

 僕もこれに返す。


「おはよう。出発は準備もあるから1時間後の8時にしよう。」

「はい。わかりましたわ。」


 そうして僕も席につき、朝食をとった。

 朝食を済ませると僕は側近を呼んだ。


「ねぇ、遠出用のテントとか食料とかその他もろもろってどこにある? うっかり昨日確認しとくの忘れてた。」

「それでしたら私が昨夜用意いたしました。正面の門の手前に置いてあります。」

「ほんと!? ありがとう! 助かった。さすが側近だね。」

「お褒めに預かり光栄です。しかしあの大荷物を誰が運ぶのですか?」

「あぁそれなら僕が運ぶつもりでいるけど。」

「···こう言っては失礼だとは思いますが、とても魔王様が1人で運べる量とは思えないのですが···。」

「えっ···。そんなに多いの?」

「えぇ。1度見てもらうのがいいと思います。百聞は一見にしかずとも言いますし。」

「うん。わかった。ちょっと見てくる。」


 百聞は一見にしかずなんてことわざがこっちの世界にもあるのか、なんて考えながら僕は側近に言われた通り門まで行ってみた。

 そこには軽トラの荷台ほどの大きさはあるリヤカーがあり、その上にテントやら食料やらが積んであった。

 さっきはあんなこと言ったけど見てみてわかった。


 僕だけじゃ無理。

 はてさてどうしたものか。


 すると様子を見に側近もやってきた。


「やはり無理ではないですか? 」

「うん···。僕だけじゃちょっと···。でも誰か手伝ってくれる人なんているかなぁ···。」

「それでしたら私がゴーレムを推薦いたします。」

「なんで? 」

「彼らは体力自慢な種族ですから。」

「ならゴーレムを2人連れてきてくれない? この荷物を見てもらって運んでくれるか確認したいから。」

「承知しました。」


 そう言って側近は足早に城内へと戻っていった。

 それから5分もしないうちに帰ってきた。

 もちろんゴーレムを2人連れて。


「側近、ありがとう。で、ゴーレムの2人にお願いしたいんだけど、このリアカーを引いて僕らの旅に同行してほしいんだけど···どう? 」


 するとゴーレムは即答した。


「もちろん魔王様のお願いとあればお引き受けいたします。」

「ほんと!? ありがとう! 」

「旅はどのくらいの距離になりますか? 」

「片道がだいたい30kmぐらいかな。その後デグリア山を登ったりするんだけど2人で大丈夫そう? 」

「そうなるともう1人いると心強いです。」

「わかった。ならもう1人連れてきてくれない?僕から直接お願いしたいから。」

「わかりました。」


 こうして3人目のゴーレムも無事荷物運びという大変な役目を快く了承してくれた。

 もちろん、ゴーレムに全てを押し付ける訳ではなく僕も荷物運びはするつもりだ。

 そして、出発時刻の8時になった。


「ではこれよりヴァンパイア説得の旅に向かいます。出発! 」

「オォォォ! 」


 こうして僕とウィッチ、老ドラゴン、そして3人のゴーレムによるヴァンパイア説得の旅が始まった。

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