10.部隊の再編
城へ帰ると側近が門のところで出迎えてくれた。
あの後もなんだかんだと色々なところを見て回って帰ったから30分近くかかってしまった。
「現在9時半ですが兵は先程全て帰ってきました。なので予定通り10時から会議を始めます。」
「わかった。大臣の候補は絞れた?」
「はい。それぞれの役職に2〜3人ずつ候補をあげてあります。あとはそこから選定していくだけです。」
「そしたら出来るだけ早く決定をお願い。」
「承知しました。」
そう言うと側近は耳打ちするような形で僕に話しかけてきた。
「昨日言いそびれたのだが我が軍ではドラゴン部隊を一番隊、ゴブリン部隊を二番隊、ゴーレム部隊を三番隊、ウィッチ部隊を四番隊、デーモン部隊を五番隊そしてお前の肩書きは総隊長と言うので覚えておいてほしい。」
そう言うとまた元通りに歩き出した。
会議室について少ししたら10時になったので会議が始まった。
会議には昨日報告に現れたそれぞれの部隊の隊長とそれを補佐する副隊長が出席した。
「それでは作戦会議を始めます。」
司会は側近が務めている。
ここでまず1番隊隊長が意見を出す。
「俺はこれ以上やられっぱなしでいるのは嫌です。なので我が1番隊に先遣隊をやらせてください。何としてでも我々で敵軍の核へ突破口を開いてみせます。そこに残りの全部隊で突撃すれば我が軍の勝利は確実なものとなるでしょう。魔王様、いかがですか?」
普通に考えればわかる。
一番隊は全滅するだろう。
昨日の報告にもあったようにドラゴンの火炎攻撃は尽く防がれてしまう。
そんな無茶はさせたくない。
「僕はそれは許しません。僕はこの戦いで死人を出したくないから。そんな自ら死にに行くような作戦は何があってもとるべきでないと思う。」
それには1番隊隊長も黙ってしまった。
誰も次の意見を出す者がいない。
「なら魔王様はどのようにするのが良いとお考えなのですか?」
後ろから側近が問いかけてきた。
そこで僕は1つ引っかかっていたことを聞いてみた。
「種族ごとに部隊を作るんじゃなくて全部ごちゃ混ぜで部隊を作っちゃダメなの?」
そう言うとみんな下を向いてしまった。
それを見て側近が少し言いにくそうに答える。
「···実は魔王様が即位なさる5年ほど前まではその形式で舞台は編成されていました。魔王様もまだ幼かったのでご存知ないのは当然の事なのですが···。その頃、とにかく凶暴で知性を持ち合わせていない巨人のようなものがおりまして、それの討伐のために組まれたのが今の部隊の原型である種族も混在した討伐隊というものです。その討伐隊は見事巨人を討伐したのですがどの種族が討ち取ったのかで揉め事が起こりました。なので今後そのようなことが起きないようにと我が軍の部隊は種族ごとにわけられたのです。」
「でも今そのいざこざは無いんでしょ?」
「それはそうなのですが···。」
「なら大丈夫。もっと仲間を信じるべきだと思うよ。隊長さんたちもいいでしょ?」
そう言うと隊長たちはみな頷いてくれた。
代表して二番隊隊長のゴブリンが答える。
「我々魔族同士で争っている場合ではないですからいくらでも協力しあいます。」
「なら決まりだね。」
こうしてそれぞれの部隊の再編が決定した。
それぞれの振り分けは側近が指示を出す。
「そしたら隊長はそのままそれぞれの部隊の隊長をしてください。副隊長は1つずつずれてもらいます。」
こうして一番隊副隊長は二番隊へ二番隊副隊長は三番隊へ···という風にそれぞれがわかれた。
そして議題は具体的な作戦へと移っていった。
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