エピローグ 印旛
ここは、かつて人間が用水地としていた湖沼である。ここ数十年でいくらかの自浄作用が活きてきたようで、人間がいた時よりも水面の輝きは増しているという。
そんな湖沼のほとりに、周囲によい匂いを漂わせる一軒の民家があった。入り口の目の前の古い看板には「うなぎ」とかすれた文字で書かれていた。
グルメな妖怪たちの間では、その店はなんでもおいしい料理が振る舞われているということで人気があった。
最近ではそれに加えて、綺麗な歌声に耳を傾けながら食事ができる、といった噂が煙のように漂い、知る人ぞ知る隠れた名店となっていた。
ヒガンウタ 塚野 夜行 @yuzuhuri
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