第503話「元軍医大尉リミネス・ツォルヴァイク三等兵」 無名兵士達

 晴れた星空のはずだがあまり綺麗ではない。地平の彼方まで戦場だ。空気が濁っている。

 寒くて風が弱い。乾燥している。防毒覆面が顔を冷気から守る。毒瓦斯からはどこまで守ってくれるのか? 顎周りを触って機密性が保持されているか神経質になる。視界を確保する防護硝子にひびは無いか?

 斜面になっている堤防を集団で降りる。凝固土製で、大半が瓦礫。洪水で細かい破片は流れた跡。これが砂利になるまで砕けていればまだ歩きやすいが大きい欠片ばかりが残る。激しい砲撃戦の跡。

 渡る川は――リビス川とモルル川の合流地点よりマウズ川まで繋がる――運河。その水位が本来より低くなっている。

 砲弾を浴びてもまだ立っている葦が固い。凍っている。踏んだ土がザクと鳴る。本来ならここまで水がきているはずが、無い。

 今は渡河作戦中。夜陰に紛れ、奇襲を仕掛けることになっている。

 喋ってはいけないという命令が出ている。荒い吐息と鼻をすする音だけが今は響く。

 喋ると前と後ろから銃弾が飛んでくるならば、とりあえずは皆、口を閉じている。

 枯れた苔付きの石は凍って滑らない。石原となった川底を歩く。踏んだ石が、石同士擦れて鳴る。

 細く浅くなって、氷が張った川が見えて来る。

 水に張った氷は薄い。踏めば割れて、膝下まで浸かる。水がズボンに染みて長靴まで入り込む。

 爪先に何かが当たる。石ではない。丸くないが少し重たい。金属の重量感で、人工物?

 「ぎゃ」と叫び声。誰かが転倒、水音立てて暴れ、引き上げられて収まる。

 「棘だ」という声。爪先に当たった物、気になって摘まみ上げて触って確認。撒き菱? 馬の足を狙う物と聞いたことがあるが、人間の足に刺さらない道理は無いか。

 氷が割れて水飛沫、小さくて激しい。銃声。

 大きく割れて人が千切れて跳ぶ。砲声。

 目指す東の対岸から点々と発光。空に上がった照明弾。寝ていた敵陣が起きて射撃が始まる。

 防毒覆面の防護硝子の視界が水で歪んでいる。水を手で拭くと油汚れが照明弾に照らされて分かる。死骸の脂肪以外、何が混ざっているかまでは知らないが産業廃棄物らしい。冷え込む前日までは腐った人間と魚の臭いで酷かった。

 すり足で撒き菱を踏まないように細い川を渡って岸に上がる。

 また斜面の堤防、上り坂。近年最大の水利事業であるリビス=マウズ運河の護岸は中々大きい。

 また砲撃で割れた凝固土。鋼線が千切れ、支柱が倒れ、しかしまだ横たわって通過を塞ぐ有刺鉄線。過去、こちらの砲兵が砲弾を撃ち込んだ跡。

 鋼線鋏を持った者が有刺鉄線に取りついて切断を始めて、撃たれて転がる。

「見せなさい」

 転がった者の銃創、左肩を見る。

「弾は抜けてる。傷口を抑えて後ろへ下がりなさい」

 軍服の袖を銃剣で切って、止血帯にしてその肩、心臓に近い方を縛る。

「下がったら傷を洗いなさい。川の水は駄目だ」

 意識はあって、その負傷者は頷いている。せめて脱脂綿か包帯があれば。

 応急手当をした者を下がらせ、代わりに鋼線鋏を持って、手が止まる。

 目に何か染みる。くしゃみが出始めた。吐き気がこみ上げる。

 夜は暗い。視界が悪い中で火薬の煙と何か動きが違う煙、霧が見えるような。

 精神圧迫、体調不良にしては症状が急過ぎる。防毒覆面を貫通する毒瓦斯か? 外気が入り込む隙間が無いか触ってみるが特に無い。

 溢れる涙を、目蓋を閉じて切るようにして背後を見る。

 くしゃみをして咳き込んで苦しむ者多数。中には防毒覆面を外して、さらに激しく咳き込んで倒れ伏す者多数。水を求めて、あの汚い川の水で顔を洗い出す。川の中に倒れ込む。その姿に銃弾、砲弾が容赦無く降る。

 吐き気が酷い。あえて嘔吐し、口の中で止めて飲み込んだ。喉が焼ける。胃酸はきついな。

 毒瓦斯が軽症で済めばいいが、今の状態だと良く分からないな。

 皆が逃げ始める。東岸の水際、有刺鉄線から離れて浅い川を渡り、撒き菱を踏む者も多く、西岸に乗り上げては督戦隊に銃撃される。

「撤退は許可されていないぞ、三等兵共!」

 一応あれは味方に分類される。

 我々は懲罰大隊の懲罰兵。戦闘員の階級は、本来存在しない三等兵。

 一般重犯罪者と軍事犯罪者が集められた。軍事犯罪者の内、軽微な者が督戦隊に入る。我々を撃っているのはその者達。言わば上等三等兵。

 これの任期は半年。生き残れば刑を免除。それまでは旧式銃を持たされ、繰り返し突撃を強要される。

「毒瓦斯です!」

「誰だ文句を垂れたのは!? 命令するのは俺だ!」

 口応えした者が、銃声砲声に紛れて聞き取り辛いが、督戦隊に撃ち殺された。

 肩を縛ってやった者が、戦えないのに戻ってきた。

 こちらを認めて、首を振って前線へ戻ろうとして倒れる。背中に銃創、胸でも腹でもない。

 こんなことが許されていいのか?

「ハウ! ハウ! ハウ! ハウ!」

 指揮官が駆り立てる声を上げる。皆の逃げる足が反転して再突撃。

 もっと良い方法があるはずだ。作戦教育は受けていないが、絶対だ。


■■■


 夜中に始まったリビス=マウズ運河渡河作戦は夜明け前に中止された。何が成功したのか、失敗したのか分からない。

 作戦発起点が運河北口のマウズ川に近いことから、何か大きな狙いがあると思うが専門家ではない。

 自分は、運河沿いの塹壕線後方にある懲罰大隊駐屯地に小さな診療所もどきを作った。小銃を立てて組んで叉銃を四点作り、縄と毛布でなんとか屋根にする。屈まないと入れない。雪が降り始めており、定期的に天井を突いて積雪を落とさないと潰れる。

 もっと良い物が作れるはずだが、今我々が自由に出来る物ではこれが精一杯。

 我々には天幕の支給も無い。一人一枚の、まともに洗濯もされていない毛布ぐらいで、死人の余り物を融通しあっている。

「本物は手早いな先生。俺んとこの”ヤブ”なんざ酒飲んで手ぇ震えてたぜ」

 一般重犯罪者として三等兵になった、酒場の用心棒をしていたという男を治療中。あちこち下手な縫合跡がある中、新鮮な腹の傷を熱湯に浸けた裁縫の針と糸で縫う。内臓を外れて脇腹を貫通した銃創だ。

 医療器具を申請したら”お前等備品には不要だ”と素気無く断られた。この裁縫道具でさえ手に入れるのに苦労した。皆から、どうにか隠して持ち込んだ酒や煙草を分けて貰い、懲罰大隊の前科者ではない事務員に渡してようやくこれだ。

「難しいと思うが、傷が開かないよう安静にしなさい。傷が動かないように動くこと。汚さないこと」

「へいへい」

 傷跡には精油で濡らした布を当てて手作り包帯で巻く。

 この包帯も多くは戦死者の衣服を再利用したもの。物資の補給が限られている我々には死人の持ち物だって惜しい。

「先生! こいつ大分具合悪いって!」

「診せなさい」

 次の患者。怠い顔をして鼻をすすっている。額を触る。

「熱がある。関節は痛いか」

「んー、全部?」

「大きく息を吸って吐きなさい」

 深呼吸させる。明らかな雑音。

「毒瓦斯ですか?」

「口を開けなさい」

 喉の奥を見る。

「風邪だ。隔離区へ行きなさい」

「死ぬのか!?」

「ちゃんとしてれば死にはしない」

「ちゃんと?」

「栄養のあるものを食べる。生水を避けて水分を良く取る。身体を冷やさない。部屋の中で安静にする。服と布団を清潔にする。病気の治し方は全て基本的にこれだ」

「先生、全部ここに無いよ」

「……雪が降り始めているな。泥が入らないよう集めて、お湯にして飲みなさい。薪は、これは仲間に頼みなさい」

「分かった、ありがと先生」

「最後まで諦めないように」

 風邪と毒瓦斯の両方だ。

 次は患者ではなく、何というか協力者。三等兵は全て使い捨ての雑兵、突撃兵。自分達で役割を見つけないと……延命が出来ない。

「先生、便所に血のうんこがまたありましたよ」

「分かった。誰かは?」

「さあ?」

「腹痛と下痢と嘔吐が酷い者は?」

「え、いっぱい? いますよ」

「そうだな……」

 先程の流感もそうだが、毒瓦斯と赤痢の割合がどこまでか良く分からない。症状は同一じゃないが、重複していることがある。それから新型の毒瓦斯にどんな効果があるかもはっきりしない。全然分からない。父の診療所でも、軍の医学校でも、かつていた部隊でも手探りだった。

「腹が痛くなくなる薬って無いですか? 酒飲ませろってうるさいんですけど」

「薬草に詳しい奴がいないか探しておいてくれないか」

「はい」

「酒は、消毒に使えない酒精の弱いものなら死にそうな奴にくれてやれ」

「はい」

「喧嘩してまで奪って配る必要はないぞ」

「あー、はい」

 精製した薬品ばかり取り扱ってきたから野山の物には勘が働かない。それに内科ではなく外科医だ。祖父は床屋。

 患者の訪問が一時途切れたので懲罰大隊指揮官のところへ行こうとした。

 途中で火傷が酷い者がいるということで寄り道、訪問診療のようなもの。

 突然肌が荒れ始めたということで診れば、火で直接炙っていないようだが火傷である。

 糜爛剤と呼ばれている毒瓦斯の症状だ。正確な情報は受け取っていないが、見聞きした経験から衣服を貫通して皮下に残留する毒で、酸のような化学薬品で負う傷が時間差で出来る。目や口など粘膜部には即効性がある様子。

 症状に画一性があるのか分からない。防毒覆面が守ったり、量が少なかったら衣服でも守れたり、雨で落ちたり、風で受ける量がまばらだったり。気温や湿度次第で変化があるか? 疲れたこの頭でそこまで計算出来る気がしない。

 綺麗なお湯を雪から作って患者を洗い、酒で消毒。精油で濡らした布を当てて手作り包帯で巻く。

 汚染を防ぐ油も医療用の純度の高い鉱物油も少なく、絵具溶剤や食用油で代用せざるを得ない。感染症をそんなものでどこまで防げるのか人体実験しているようなものだ。

 治療を終えてから大隊指揮所を訪れる。

「またお前か」

 火傷跡だらけの人狼、似合わぬ軍服と階級章は少佐。何か痺れるような低音で喋り、舌に入れ墨で知らない文字が入っている。この見た目は恐ろしいが、医者が恐れていい相手ではない。

「感冒性流感の患者が出ました。赤痢も流行している疑いがあります。以前に提案した隔離病棟の建設を進言します。対策をしなければ間も無く蔓延します。そちらの後方部隊にもです」

 ただ寝所を分けただけの隔離区では限界がある。病原はどこからどう飛散し、広まるか分からないものだ。空気中に、見えない粉になって霧のように広がるとも言われている。

「お医者癖が抜けないようだな、リミネス・ツォルヴァイク三等兵。お前はもう屑の三等兵だ。軍医様は過去の話になっているのが分からないか」

「このままでは”爆発”します。少佐殿とて例外ではないでしょう」

「台詞は他に考えてきたか?」

「初期対応の失敗は取り返しがつかないことになります」

「その心配は要らない」

 帰れ、と手を振られる。

 発言力の無さを思い知らされる。軍医大尉だった頃は専門家として尊重され、佐官以上の上官でも聞く耳があった。

 反攻作戦が始まった時、前線で黒死病患者を発見したことが懲罰大隊行きへの始まりだ。

 発見と対策を報告したところ、始めは当時の上官も一大事と動いてくれたようだが、間もなく態度が豹変。緘口令が出される。当然抗議したが、このように言われた。

 ”お前は真実を言いたいだけだ。大局も見ず、幼稚な正義感と職業倫理で騒いでいる。故郷の親と妻子が心配ならおとなしくするんだな。抗命罪程度なら骨のある馬鹿で済むが、脱走、横領、反逆を付け加えたらどうなるか? 石は痛いぞ”と脅された。

 初期対応が大切であるから、握り潰されない内にどのように公表して対策を急がせようかと算段している内に、憲兵隊に謂れのない横領罪で逮捕された。

 政治的に間違った、ということだ。

 医者なら強く発言しても見逃されるという傲慢があったことは否定できない。


■■■


 最近は冷えが収まって暖かい。雪が解けて消え、地面は若干泥。足を取られる程ではない。

 水は相変わらず制限されている。位置的に川が無く、井戸も無い。汚れた運河から汲もうとして狙撃された者がいる。

 我々三等兵への給水は各所を回った最後、残りわずかな量。懲罰の一環にしては対応が厳し過ぎる。本来の受刑者とて水断ちのようなことは無いはずだ。

 そんな中、貴重な真水は使わず、沸騰させて消毒した泥水――一応上澄み――を用意して人を集めた。

「皆、髭を剃りなさい。毒瓦斯で特に症状が酷かった者は髭が生えていたことが多い。これは髭のせいで防毒覆面が上手く付けられず、外気を遮断しなかったせいだ。毛のせいで隙間が出来たからだ。えー、髭を剃らないと死にやすい。あと虱も集る。どうしても髭を残したいのなら、ここ、鼻の下だ。ここだけ残していい」

 髭剃り講習をしていると集合ラッパが鳴り「三等兵広場に整列!」と整列呼集が掛かる。

 皆、走って懲罰大隊駐屯地広場に整列する。数は減ったが一万人近く、かなりの人数だ。列を整え、気を付けの姿勢で固まる。

 包帯巻きで血が染みている者が多い。足を引きずっている者がいる。肩を貸して貰ってようやく歩く者もいる。

 元気に見えてズボンの尻が下痢で濡れている者が複数いて、臭い汚いはもう今更。割り当ての水だけでは我慢できず、泥や川の水を飲んでしまったか。

 肩と爪先が揃えられていく中、足元へ胃液と、消化が終わっていない栄養の足りない薄焼きパンが吐き出されること多数。ふらついて転倒する者多数。

 たしかにベーア帝国、食糧に余裕が無くなってきているだろうが、ここまで貧窮するほど追い詰められてはいないはずだ。懲罰的に差別待遇なのはまず……仕方が無いとして、ここまで酷いのは理解し難い。もう少し待遇を改善して、全力で戦わせる気は無いのか?

 ……無いのか?

 酷い目にとことん遭わせて、任期を満了した生き残りに懲罰大隊送りは死ぬより最悪だと話を広めさせるためか?

「歌え、野戦軍行進曲! お前等屑共に唯一許された歌だ、心して歌え!」

 懲罰大隊で急に行われる行事の一つ、軍歌の強要。演奏はラッパ手一名のみで、歌劇歌手のように人狼少佐も胴を膨らませて歌い、楽団不要の音響を奏でる。


  荒れ野征け、堅き隊伍よ

  足を揃えよ、上を向け

  聖なる神と皇帝は、我らの征く先見せるなり

  歩く兵士よ、川向こうまで

  風に向かいて進め

  歩けよ、その先、駆けろ尽きるまで

  鉄の壁、火の山、連隊旗


 歌っているかいないか、督戦隊が各員の前を歩いて聞き耳を立てる。歌えていない者、声が出せない者は隊列の前に引きずり出される……二番の歌詞が飛んだ。まずい?

 引きずり出された者は百名近いだろう。多くは負傷、病気で弱っている者達である。立つ気力もここで消え、倒れて起き上がれない者ばかり。

「病は気合が不足しているからだ! 臆病の病は気合で俺が治療してやる。これより懲罰大隊三等兵共を百分の一の刑に処す。良かったなお前等! エーラン帝国より十分の一も少ないぞ!」

 愛国心はそれなりにあるつもりだ。だがこれはなんだ。どうして国は、軍はこんな仕打ちをしなければならない?

 視界の端で粉塵が立ち昇る。後れて爆音が一つ、腹と足の裏に響く。

 敵の砲撃だ。

 粉塵が昇った位置から少しずれて順番に、同じ時間を置いて爆発が繰り返される。

 北側から順に南へ一歩ずつ進むように、塹壕線の中でも凝固土で固められた陣地が砕け散って瓦礫と埃になって潰れる。

 整列はまだ解かれない。

「敵の砲撃如きで中止にはならんぞ!」

 百名近い者達は、入れ墨顔のエデルト人憲兵が持った長柄の斧で叩き殺され始める。

 そうしている内に砲撃は着々と線を描いて進み、整列している我々の目前の陣地に到達。

 砲弾が空に広がって点々と見え、段々と集束して地上の一点に集まって爆発。

 並の砲弾では砕けないと言われた、土を被せた凝固土の陣地が噴き上がって、落ちて、沈没。

 我々の整列している広場に凝固土の瓦礫、砕けた木壁、煉瓦が降って頭と肩を潰し始めた。

 とても整列したままではいられず「逃げろ!」と誰かが叫んだ。列を崩そうと皆が姿勢を変えようとするが「ウーハー!」と人狼少佐の喝が入ると我々は調教でも受けたかのように足が止まる。

「命令を出すのは私だ! 総員、前へ進め! 今から敵陣に突撃しろぉ!」

 武器も無く、前へ進めと命令された。何だこれは?

 列を囲む督戦隊が銃口を我々に向け始めた。突撃ラッパが鳴り始める。

「ハーウ!」

 この声だ。あの人狼少佐がエデルトの喚声を上げると、全員の足が前に動く。それでも動かない者には銃撃。武器を取りに宿営地へ行こうとする者も撃たれた。

「武器は川で拾え!」

 こんなことがあっていいのか?

「ハウ! ハウ! ハウ! ハウ!」

 単純そうで受け入れられない事実の中、破壊されたばかりの陣地を踏み越えて、またあの斜面の堤防へ行く。武器も無く。

 川原、回収されていない死体の傍に転がる小銃、工具を拾って皆が行く。

 明るい朝に見ると一層汚い、戦場のごみだらけの川を渡る。撒き菱を足裏に刺したまま進める者は早々おらず、足が止まった直後に督戦隊に撃たれて倒れ、その背中を後続の者が踏んで進む。

 今度は敵陣地にも砲弾が降り注いだ。この前のは何だったんだ?

 斜面を登って有刺鉄線に取りつき、鋼線鋏で切断して突破口を開いて進む。敵の射撃が始まるのが夜の時より遅い、少ない。

 塹壕に取りつくと敵兵がほとんどいなかった。一見して負傷兵しか残っておらず、必死の覚悟で自爆用の爆弾を抱えながら抵抗し、最期には弾けていった。

 こんな理不尽で奇妙な突撃、成功していいのか?


■■■


 堤防を上がった先の敵の塹壕、第一線を確保した。しかも、重傷の敵兵が最期の抵抗をしたものの、ほぼもぬけの殻。

 帝国連邦軍は意図して後退した後にとんでもない地雷を仕掛けていると聞いたことがある。レッセル市が壊滅したような、そういう規模だ。

 この先の塹壕、第二線には敵が待ち構えている。

 流石の人狼少佐も待機命令を出した。そして西岸に置いてきた装備を交代で取りに戻った。

 敵から奪った塹壕内を漁って何か残っていないか探る。

 飲み水が入っていた水槽には糞尿入り。食べ物は無い。冬毛のネズミが走っている。

 唯一のように残っているのは、共和革命派と原理教会派の小冊子。そんなものに効果があるのか分からないが、手に取って読む者はいなくもない。中には口に出して読む者がいる。それに反感を持つ者が罵って喧嘩になる。

「貴様ら共和主義者か!」

 そして憲兵や督戦隊が警告無しで容疑者を銃殺しに来る。

 とりあえず良いことは無い。

 その中で手術する。左のふくらはぎに銃創を負っている患者で、糸を解して細くし、傷ついた血管を慎重に縫ってから大きな傷を縫合した。

「自分で撃ったな?」

「え? 違う!?」

「傷口に火傷と、煤が混じっている。銃口をつけて撃った証拠だ」

「違う!」

 摘出した弾丸を見せる。

「傷が小さい、弾丸の変形もほとんど無い。火薬を減らして撃ったな。だが間抜けだ。これは帝国連邦の銃弾じゃない」

「敵はこっちの武器も使ってる!」

「大声を出すな。嘘を吐いていると言ってるようなものだ」

 治療を終えて、そいつの頭を引っぱたく。

「生きていたら次はもっと上手くやれ、馬鹿垂れ」

 負傷で許してくれる部隊じゃないだろうが。

 治療を続ける。冷えてきて、泥が凍り出す。泥についた足跡がそのまま固まる。

 暗くなったら塹壕にある部屋の中で、皆で固まって寝る。人の体温を使わないと凍え死にそうな程冷え込む。波のように冬の寒暖が繰り返す。

 寝入りそうになってから地面の下から音が聞こえ始めた。

 皆起きて、地面に耳を当てる。

「あ、近っ」

 部屋の底の一部が抜けて落ちた。そして巨大なネズミ、モグラ? の顔が見えた。なんだこの化物? 化物にしては間抜けで可愛らしいが。

 すぐ頭が引っ込んだ。

 頭が引っ込んだ穴、かなり狭い。大人なら蛇の真似をするように這って入るのが限界な程。追撃不能。人間なら手や道具で何かを掘るどころではない。

 あれは東方の獣人か? こんな狭い坑道をこの真下に張り巡らせているのか?

「どうするこれ?」

「手榴弾あるか?」

「やって攻めてきたらどうするよ?」

「とりあえず……」

 子供の仕返しのように、出る者はその穴に小便をした。勿論自分はそんなことはしない。何にもならない。


■■■


 冬は元から暗いが、空に雲以外の煙で層が出来る。

 冬の森林大火。敵が森を焼いている。建物だけではなく森まで焼き尽くしているのが見える。何を狙っている? まさか、薪を取らせないため? そんなに徹底するのか? 困るのは間違いないが。

 敵の第二線に向けて友軍の砲撃が始まり、少ししてから突撃命令が出た。ネズミと同衾しながら噛まれて起き上がる日々も終わる。

 突撃ラッパが鳴る。懲罰兵の列に足を引きずる自傷した奴が混じっている。小銃を杖に、肩を貸して貰っている。

 前進。塹壕間を走り、前のめりに転んだ。

 頭、全身に土が降ってきて気付いた。爆風に背中を押されて転んだのだ。

 少し前までいた第一線の地雷が爆発して、噴き上がって、落ちて、沈んだ。

 懲罰大隊の三等兵は助かり、後ろで控えていた督戦隊のほとんどが吹き飛んで、バラバラになって降ってくる。憲兵は裸になって骨が砕けても何故か入れ墨入りの肌は裂けぬまま。こいつらも化物?

 ここで敵から”降伏しろ”という誘惑があったら成功したと思ったが、銃弾と砲弾だけが前方から飛んできている、

「ウーハー! 前に進め!」

 まだ生きてる人狼少佐の声で足がまた動き出す。

 咳き込んで混乱している者がいた。毒瓦斯と騒ぎ出した。

「診せなさい」

 咳の発作が出ている者が防毒覆面の中で喀血している。己の血で防護硝子が血塗れになって視界が赤に染まり、しかも呼吸困難。発狂しかけている。

 防毒覆面を外して視界を血塗れから戻してやり、血が口から落ちるように下を向かせる。顔が白い、窒息寸前。背中を叩いて吐き出させる。

 肺炎? 首に腫れ物。瘰癧、結核か。

「ここで休んでいなさい。歩くことも出来ないだろ」

 重症になるまで見逃していたのか。全員を診断して歩くことなど出来なかった。

 少し様子を見ていたら咳と血を吐き尽くすようにして倒れて失神、おそらくこのまま死ぬ。これは、処置のしようがない。しかしこれは大分感染が広がっているぞ。

 突撃は続く。弱っているはずの懲罰兵達も、不思議と前へ進んでいく。

 この疫病部隊、前線で処理されるのか。


■■■


 歩兵の役割というのは何なのだろうか? 悪い武器を与えられているのに塹壕、第二線を確保してしまった。

 後方からの砲撃が良かったのか? 自分は負傷者を見て回っていた。他の皆は塹壕に飛び込んで、使えない小銃を棍棒にして、少ない敵を叩いて咆えていた。

 第一線と同じように敵の大半は逃げ去った後で、残ったのはまた必死の覚悟の負傷兵だけ。これは意図的に簡単にされている?

 良く分からないことばかりだが、全部消し飛ぶ。懲罰兵が第二線各所に行き渡り、残存兵の掃討や持ち去り忘れの食べ物が無いか探り、遂に食べられる缶詰があるぞと大喜びもつかの間、全域消し飛ぶような地雷の爆破が行われた。

 自分は塹壕より西側、後方で新しい診療所を作っていたおかげで助かった。治療などしていられず、埋まった生き残りを探すことになる。

 地雷の直撃を受けて助かることはないが、壁が崩れて生き埋めになった程度なら助かることもあった。塹壕各所の部屋の中にいたものは、天井が崩れず空気が残っていれば助かる。

 救出作業中に吹雪いてくる。生き残った督戦隊も作業に加わり、大隊の後方要員はそわそわしているようだが見ているだけ。これで突撃が中断されればいいが。

 夜通しの救出作業も終わりが見えず、死傷者を分別し、助かりそうな者から優先して治療を始めて気付かされる。自分が今まで診てきた者は、所詮は狭い行動範囲内にいた者に限定されていた。

 負傷者の肌に赤い発疹が多く見られる。皆が「風邪だと思う」と言うが、病状の進展に差異がある。

 同時期に麻疹に一斉に罹ったかと疑い、腹と胸から出ているから傷寒かとも思い、たぶん両方罹っている者が混じっている。

 肌から出る”出来物”も種類があり、鬱血の赤、膿の白、そしてこの疱瘡は黒死病? 指先が黒いのは末期の凍傷かと思ったが、寒くなってからあまり日数も立っていない。寒さと合わせてなっているのか?

 ここは疫病の見本市か? 懲罰大隊のまともな二等兵以上が近寄ろうともしないのが良く分かる。

 こんな状態であるのに、入隊時期の違う部隊間で撃ち合いが始まる。忙しいのに新鮮な血が見える患者が連れて来られる。

「何をしている!?」

「あいつら食い物盗んだんだ! 俺達は悪くない!」

 頭が痛い。深呼吸しないと失神しそうだ。

 力が抜けて来る。腹に力を入れないと腰から崩れそうだ。

 更に吹雪が強まる中、突撃ラッパが吹奏される。何かの間違いかと思ったが、我々に向かって吹かれている。

 ラッパが鳴り終わったと思ったら再度吹かれる。

「休憩は終わりだ屑共三等兵!」

 また聞こえて来る、名乗りすら聞いていない人狼少佐の「ハウ! ハウ! ハウ! ハウ!」という声。

 何故か逆らえない。歩いている時には足の動かし方を考えていないように動き出す。止まれと思っても頭の中までで、首から下に降りない。治療しようと思った時だけ振り返ることが出来る。

 後方からの砲撃が始まって敵陣に弾着が始まる。規模が凄いのか分からないが、徹底的に隙間無く叩いている、かもしれない。

 第三線へ向けて、一体どれだけ生き残って、動けるか分からない懲罰兵が前進する。負傷兵が、先程まで治療していた者達が誇張も無く這ってでも進む。

 積った雪に足形が付く。

 農業用水路で突撃が止まる。膝下水位で、汚いその水面下には低い有刺鉄線が張られ、足が絡んで転ぶ。転んだ背中を踏んで進む。

 助けられそうな者は有刺鉄線から外して、乾いた地面に引っ張り上げる。

「動き続けろ、冷えて死ぬぞ、諦めるな!」

 濡れて凍え始めた者の背中を叩いて、不本意ながら、人狼少佐の突撃命令を遂行するように促す。走らせないと低体温で死ぬ。

 水路に沈みそうな者達を助け続ける。治療をしている暇はないが、死亡者数を減らすことにした。

 冷えて指先の感覚が消える。指に何度も棘が刺さっていると思うが麻痺して分からない。

 吹雪が更に強まる。まるであの人狼少佐か、それより上の司令部がこの天候を分かっていたかのようで、装備の悪い懲罰兵がどんどん東の塹壕、第三線へ向かって進み、別の水路でまた足が止まって、また倒れた背中を踏んで進む。助け合えと言う余裕は無い。

 水路に雪が溜まるようになってきて、水面に白く積もり、氷が張っては進む懲罰兵が作る水流で崩れる。

 敵の銃弾、砲弾が前からだけではなく左右から飛び始めた。

 塹壕、第三線へ飛び込んでいたと思っていた皆が後退するかのように見えた。実際は後退しているのではなく、次々投入される懲罰兵が死傷して倒れて、立っていられる位置が下がってきているだけだ。

 今更気付いたが、水路で転んでいる者達に新兵が混じっている。軍服が比較的綺麗で穴が少なく、顔の肉付きも肥え気味で健康に見える。

 もう元からいた一万人など消え去ったのではないかと思っていたら水路沿いに砲弾が飛び、着弾爆発するまで何人も弾いた。自分の目前にも飛んで、直撃は生きているからしていないが、片耳が聞こえなくなった、と思う。防毒覆面の防護硝子が割れ、目も一瞬で悪くなった。

 この浅い有刺鉄線張りの農業用水路は、何本も重なっている様子。吹雪が一度弱まった時、地面に落ちる前の雪を巻いて水平に飛ぶ砲弾の軌跡が幾筋も見えた。

 こんなところ進めるのか?

 とにかく水に浸かっている者の救出と、足から先に見て、大量出血していないか確認して止血して「凍えないよう動け!」と声を掛ける。この繰り返し

 どれだけ時間が経ったか。日が落ち始め、吹雪の空で更に暗く、銃砲の発光だけが灯りのようになってくる。

 どうしてこんなに身体が動くのか、ふと不思議に感じた。人狼少佐の声か?

 砲弾とは違う重い音が聞こえ始めた。馬にしても違う。死体が浮き、氷が張った水路を巨人が踏み潰した。


■■■


 主に三線からなる複合的な塹壕線を我々は突破した、らしい。休む間もなく塹壕で休憩など許されずに今度は街道を東進中。

 運河を渡ってから何日経ったか? 体感的にはもう春が見えてきそうだが、一か月くらい? 突撃中は記憶が飛ぶぐらい忙しく、塹壕の中での待機時間は長くてなんだか分からない。

 巨人が何だったかという情報など懲罰大隊が発することもない。

 この道中には小さな地雷が規則性も無く配置されている。踏むと起爆し、死なないが一生歩けなくなる程度の、おそらく絶妙に弱い威力で足を破壊してくる。

 地雷で足が壊された者を治療するが、本当に生かしておいて良いのかと疑問が浮かぶ。殺すのが一番では?

 人狼少佐の指導方針は「担いででも連れて行け」というもの。一体何が目的なのか分からない。

 こうなると自分が治療に入る前に負傷者が殺されることが多くなる。安楽死は……。

 道沿いの風景は一様、かもしれない。焼けた街、村、林、畑が広がる。教会から物置小屋まで崩れている。金属類は持ち去られている。

 カラスや野良犬はいるが家畜はいない。果樹は倒され、その切り口に黒い油が塗られる。敵が大量に持ち運んでいる毒らしい。産業廃棄物の類?

 運河を渡る前から生き残っている懲罰兵の多くは無気力表情。病気、体力消耗、精神疲労、栄養不良、全ての積み重ね。生きて歩いているのが奇跡。補充されてきた新しい懲罰兵と比べて明らかに身体が細い。脂肪も筋肉もそげ落ちている。一度転んだら支えられないと起き上がれない。

 新兵達はこの”先輩”達の姿を見て冗談も言わなくなる。

 行軍中に現れる症状は様々で、とにかく悪い。

 歩行障害で倒れる者が出る。物を掴むことすら難しくなったり、変な踊りをし始める。

 おしゃべりになり、全く喋らなくなることもある。空想上の相手と喋り出す。

 現実とは違うような昔話を始め、大声で歌い出す。突然叫び出し、服を脱ぐ。

 大きな音が鳴ると悲鳴を上げて座り込み、痙攣して泡を吐く。

 寝られない者がいて、寝ていたら突然叫び声をあげて起き上がる。

 急に記憶を失って友人を忘れたりここがどこだか分からなくなる者がいた。母を呼び始めることもある。

 具合が悪くて頭を下げていて、肩を友人に軽く触られただけで驚いて腕を振り回して殴り始める。

 ここまで来たらもう、静かなところで家族と共に過ごすぐらいしか治療する方法は無いのだが、そんなものはここに無い。

 破壊された町には食べ物や飲み物が残っていることがあって、たまらず皆が食いついてのたうち回る。胃腸が弱った状態で食べたから嘔吐したのではなく、健康な新兵も同じ。全て毒入りだった。

 そしてそんな中、わざと血抜きまでして食べる用意がされた人間が倉庫に吊るされていた。牛や豚のように熟成、準備されていた。人間性を捨てろという誘惑だ。

 似たような調子で水や酒が入っていそうな瓶、樽にはバラバラにした人間の死体が入っている。

 井戸、水路、川、池、とにかく水源の汚染は手が込んでいた。

 腹を裂いて内臓を垂らした個体。そのままの個体。脳や内臓を抜いて保存料として塩、香草、ミョウバン漬けの個体。その三種の人間と豚、鶏、家鴨が底に沈められ、回収し辛いように石を抱かせて縄で巻かれた状態だった。長期的に腐敗した成分をとどめようという執拗な試みで、およそ人間が考えることではない。

 あの、見た目通りに人でなしの人狼少佐でもここまでのことはしないだろう。あれはあくまでも乱暴な人間が乱暴な演技をしている範疇。こんな丁寧で、ある種の繊細さまで持ち合わせていない。

 皆の自殺も目立って来る。突然、道から外れて銃口を口に咥えて撃ち始める。

 こうすれば上手く頭を吹き飛ばせるのか、と自殺の撃ち方が広まると人数が増える。新兵にも伝播する。

 人狼少佐のこんな時の対処方法は待遇の改善ではなく、弾薬の携帯禁止。全て督戦隊が管理する弾薬運搬車に収められた。そして”闇”銃弾が煙草と酒と取引され、自殺にすら対価が掛かるようになってくる。

 自分は凍傷で指を三本切断したが、まだやれることがあると考えた。こんな時だからこその虫歯治療だ。

 麻酔無し、今の道具だと鋼線鋏で立ち割って砕いてから切除することになる。

「先生、マジでやるの!? マジでやるの!?」

 ”歯が痛い”と、まだ元気に騒いでた兵士を皆に取り押さえさせる。

「虫歯は健康に悪い」

「どうせ死ぬって! 死ぬって!」

「最後まで生きることを諦めるな」

 こんなことで、生き残る希望を見いだせるという論理が作れたことに自分で驚いている。

 またある提案をした。悪魔の誘惑に負ける提案だが。

「皆、聞いてくれ。最終手段だと思ってきたが、もうこうするしかないと考えた。死んだ人間を食べよう。そうしなければ助からない。敵の妖精や獣人共のような恥ずべき行いだが、そうでもしなければ生き残れない。希望する者だけまず口にしよう。肉は辛いかもしれない。血を水で薄めて飲むことからでも始めよう。栄養が取れなければ死んでしまうんだ。こうも痩せていては簡単な出血で死んでしまう。血ならまだ格好良いかもしれないが、下痢で死ぬぞ。まずは生き残ろう」

 敵が残した人間、死んだ仲間達。これを口にしないとこのままでは死んでしまう。栄養不足は最大の健康の敵。

 集合ラッパが鳴り、整列させられる。

 あの人狼少佐が皆を呼んだ。道の脇、広場のような場所。雪を被っているが休耕地のように見える。

「ありがたく泣き叫べ! 今日は恩赦を与える日だ! 呼ばれた者、生きていたら故郷に戻っていいぞ。お母ちゃんのおっぱいでも親父のチンポでも好きなだけしゃぶれ!」

 隊列を組んで、順番通りに並んで、転んだ。

 後頭部を打って頭の中が揺れている気がする。周りの者、自分から一度離れて、それから「先生!」と駆け寄ってきた。心配される謂れは無い心算だ。

 落ち着け。動揺しているのは間違いないが、その中ではある程度冷静だと自己分析する。

 手は動く。足は。足?

「誰が列を崩していいと言った!」

 そう言えば疲れたな。

 空はそこそこ青めだ。


■■■


 特別作戦軍”盾乙女マールリーヴァ”隷下懲罰大隊

 元軍医大尉リミネス・ツォルヴァイク三等兵

 オトマク暦一七五〇 ~ 一七九一

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