第480話「ファロン作戦」 ランスロウ
ファロンと呼ばれる南国の地は、道路事情の悪さから図面より広大で未知なる世界が広がっている。山、密林、複雑な水系、恐ろしい獣に虫に魚に蛇から鰐に寄生虫から疫病まで色々、それらが実質的な距離感を引き延ばす。
ここでは雨季になれば大半の陸路が大雨に破壊されるので移動の基本は沿岸と川を伝う船舶航行。
今年の雨季は入りが少し遅いらしく、雨は降っても小雨、晴れた道路を歩けば土埃が舞う。
飛行船を使った航空偵察は晴れ間を狙って行い、標的であるグァジャロ議員軍の行軍予定路を予測。軍規模と重装備率、駄獣と荷車の数、北ファロン主都でメリナコ川の河口にあるブロリアナで補給した物資量から予測幅を縮めた。
彼等が十分な水軍を、我々の視点からでは多く用意出来ていないこともブロリアナ港で確認した。彼等が徴用できたのは、エスナルなら当たり前だが木造の帆船、櫂船、小船の程度で、軍全てを乗せて素早く移動する規模ではない。鈍足というか並の脚。
彼等は雨季初期の内に川伝いに素早く進み、雨季本番になったらペセトト国境付近に基地を設営し小規模戦闘を繰り返しながら戦争勃発の既成事実を作り、後戻り出来ないところまで来たと大ファロン議会を諦めさせてから増援を受け取って乾季到来になってから大規模戦闘へ移行する計画であると推測。
我が無番号の独立戦略機動軍は標的の行軍予定速度から、ブロリアナで補給する物資の量を調整してメリナコ川を遡上。大河なので中流までは喫水の深い海軍艦艇でもそのまま入れる。
我が艦隊は全て蒸気機関搭載。人も兵器も全て艦載して完結。一個で完成された陸海空統合部隊。新大陸、南大陸、事あらばパシャンダまで展開することを考慮して編制した。
南大陸派遣には編制が間に合わなかった。予算と時間が足りなかった。このファロンには急ぎで、陸上戦力だけなら旅団規模まで間に合わせた。
煙突から煤煙を吐く我が艦隊は、議員軍の兵士達が風の無い中で船曳きをする姿を確認するまでに追いつく。蒸気の力は筋力に勝る。
部下に理術式拡声機で言葉を掛けさせる。
《こちらはレイロ・アントバレ副帝殿下と忠義に厚い大ファロン議会の命令により派遣された独立戦略機動軍である。グァジャロ議員とその軍はペセトト帝国への北進を止め、来た道に戻れ。繰り返す、来た道に戻れ》
この鋼鉄艦隊の武装なら瞬く間にこの船曳き共を壊滅させることが出来るが、我々の目的は撃破ではなく阻止である。
「提督代行、射撃は”応相応”で。出来るだけ殺さず、しかし容赦はするな」
「了解」
全兵力投入しての今作戦は過剰なので、代行ではない提督に兵力の半数を預けてブロリアナ港で待機して貰っている。
「ヴァンロット大佐、道の先に海兵隊を上陸。同じく射撃は”応相応”で。基本方針は現状変更しない」
「了解」
砲打撃可能な戦闘艦は川沿い、大砲と機関銃を鋼鉄板越しに議員軍へ向け、機関圧力を落としてゆっくり並走。
この序列二位の副旗艦から小船に乗り換えたヴァンロット大佐は揚陸艦へ移乗し、増速して川を遡上して行った。
「ギスケル卿、出来るだけ戦闘にはならないようにしますが、この艦橋は狙われやすいところです。船室の方へ」
「レディワイス司令、私に気遣いは無用です」
居てくれるだけで精神が高揚状態で安定するのはフレッテ貴族の女騎士ミラ・ギスケル卿。そんな、こんなところでも一緒にいて頂けるのか?
しばらく我々は議員軍とゆっくり並走する形で睨み合った。発砲無し、罵声はそこそこ。エスナル語は威勢だけは良く、喋っている本人も知らずに酔っぱらって口が回るのでやかましい。
遂には真横に戦闘艦が並んでは仕事に集中できず、次第に船曳きの手が止まりだす。議員軍の隊列間を騎馬伝令が右往左往を繰り返す。
伝令を動かすのが遅すぎるだろお前等。
またしばらく時間が経ってからメリナコ川の上流側から迎えの小船が下って来た。
「ギスケル卿、私はこれからグァジャロ議員のところへ向かいます」
「お邪魔でなければお供しましょう」
「光栄です」
彼女の手を取ろうとして手を差し出すと、やんわりとこの手が畳まれ”お気持ちで結構”と拒否される。淑女である以前に武人であるというのは分かっているのだが、何かにつけて身を捧げたくなるのだ!
■■■
我々の敵前上陸方法には基本的な手順がある。
艦砲射撃による制圧は今回の作戦では不要。しかし不測の事態に対処するため、揚陸艦は川岸に向かって全力射撃準備を整える。
揚陸艦は後部格納庫扉を開き、そこから屋根無しの上陸舟艇を発進させる。舟艇には上陸部隊を直接支援する機関銃座があり、これも不測の事態に対処するため射撃準備。
上陸舟艇は平底、ポーリ機関で動いて船底にある暗車の他に車輪とも歯車切り替えで連動して簡単に――鈍足、悪路不可、部品損耗早い――陸を走れるので水際でなく、実際に岸辺へ乗り上げ、船首扉を前倒しに開ける。上陸する海兵の靴下を濡らさない程度に出来れば合格。
先行して上陸するのは、かつてギスケル卿が使った”脚長”強化外骨格の量産型を装備した海兵、それから随伴海兵。素早く上陸地点周辺を広めに確保する。
次に戦列装甲機兵と随伴整備士。先行部隊が確保した地点に展開し、最大脅威目標側へ移動してその機体を壁として並べて戦列を成す。
その次に獣を模した四脚輸送機に機関銃や迫撃砲のような重量物を運ばせる海兵本隊が展開。
最後に防衛圏を確保してから弾薬物資や野戦病院に野戦厨房、野戦砲に転用可能な艦砲を揚げる。今回は、艦砲は陸揚げ準備だけしておいて艦内で待機。
我々は迎えの小船に乗って茶色く濁り切ったメリナコ川を遡上。太陽光を前に色眼鏡を掛けるギスケル卿に代わって太陽を呪う。
土がむき出しの街道上で、議員軍の先頭を抑えている海兵隊の封鎖線を水上から眺める。展開状況から問題無く手順は実行されたようだ。
小船から下船する時に、先にギスケル卿が――なんと!?――降りて靴を濡らし、自分を抱き上げて岸へ濡らさず揚げてしまった。
あぁ何と罪深い! 従卒にやらせるようなことをあの誉れ高き騎士にさせてしまうとは……不覚?
この心臓よ早く鎮まれ。自分はここで少年に戻ってしまうわけにはいかないのだ。
ロシエの洗練された理術兵器群の目前には、比べるとみすぼらしさと田舎臭さと貧弱さから藁と獣の幻臭が漂ってきそうな議員軍歩兵と騎兵がいる。上級士官の恰好はもはや儀仗兵か劇男優。もしかしたら武器まで未だに非施条の黒色火薬小銃なのではないかと思えてしまう。兵士の群れの奥の方に大砲が見えるがこちらに砲口は向けていない。
強化外骨格を装備しながら現場指揮を執るヴァンロット大佐から状況を聞く。
「連隊長格は見えるようだが」
「グァジャル議員は街道外れの町に行って物資援助を乞うているようです」
古来、軍とは蝗のように民衆から嫌われるものだが。
「川沿いからは見えなかったが義勇兵の募集はしていないか?」
「北ファロンはシパテク系居住区が多いですが……情報部から提供された資料ではどの辺りにどんな町があるか分からないですね。集会場になる神殿があったら一気に数が増えるかもしれないですが」
自分も資料を思い返すに、ここのその”町”がそうであるかどうかまで分からない。
フェリーコ・グァジャル議員。名前はエスナル風だが、父方の血筋を辿ると今はペセトト領のシパテク地方の旧王家で、グァジャルは都市国家の祭神名に因む。
名を上げるために手っ取り早く旧王族を僭称するのはありがちだが、古くからグァジャル一族はファロンのシパテク系居住区では名士扱い。
彼は渡来貴族嫌いの王党派である。戸籍では庶民扱いだがエスナル人ではないというだけで権威は地方限定で存在する。
エスナル貴族ではないから軍人としては一兵卒から始まって、そして優秀であることと旧王族の影響力があったか大尉まで昇進した後に退役。そこから地方議員となり、今回のファロン独立による議会拡大の影響で国会議員へ格上げ。地に足が着いているとも言える。
情報部からの報告ではこのような背景がある人物だ。要素が多くて他所の人間には把握し辛い。
ペセトト侵攻を受け、戦いはファロンの外であろうと同胞の虐殺を見過ごせずに戦いたいと考えるのが王党派の主流。このシパテク族の末裔ならば旧領奪還の号令まで掛けかねない。
道行く先々で兵士を募って大軍を作るというのは中世では成功することがあり得る挙兵方法だ。だがこの現代では血塗れだけが待っている。これを防がねば。
戦列機兵の一機に手を挙げ、頭部機関銃座の兵士に声を掛ける。
「肩に乗せてくれ」
「は!」
機関銃手が伝声管で操縦士に指示。手を地面に突いて屈んだ戦列機兵の腕伝いに肩へよじ登る。
「三歩前だ」
「了解国防卿」
機関銃手は伝声管で操縦士に指示。戦列機兵は立ち上がり、三歩前へ出る。
「国防卿は止せ……」
高いところから理術式拡声機で声を掛ける。声を吹き込み発する大型拳銃大の機械と、有線で繋がり手提げ鞄に収まる増幅機で成る。
《こちらは独立戦略機動軍司令ランスロウ・カラドス=レディワイスである! フェリーコ・グァジャル議員はいるか!? 議員にはレイロス殿下並びに大ファロン議会より出頭命令が出ている。この逸脱した軍事行動に鑑み、拒否すれば反逆罪の適用も考えられる事態である! 速やかに姿を現せ》
反逆罪の言葉で議員軍兵士達に若干の動揺と、怒りの表情。
乗っていた戦列機兵の装甲版に銃弾が当たって、跳弾して地面へ刺さる。撃った馬鹿の顔は”脅かしてやったぜ”である。
こんな簡単に発砲をするとは民兵もどき共め。軍服は飾りか。
この戦列機兵の陰には、機体の陰を日除けにしているギスケル卿がいた。歴戦の彼女ならば動揺などしていないのは確実であるが……。
《貴様、ご婦人に当たったら何とするか不埒者!》
「ご婦人とは何のことだボンボンめ! 戦場に女連れかぁ!?」
議員が騎馬のまま兵隊の群れの奥から現れた。原住民顔に正装の白色巻き毛のかつらが似合わない。
少し観察、下馬する様子は無し。
「奴の目線に合わせる。手を出せ、そこに立つ」
機関銃手は伝声管で操縦士に指示。戦列機兵は肘を曲げて右手を前に出したのでそこへ腕伝いに歩いて立つ。そして騎乗する議員の目線と自分の目線が合うように高さを調節しながら前進、そして停止。揺れも少なく迷い無く、良い操縦の腕だ。
「フェリーコ・グァジャル議員か。あなたの軍はどう見ても弱い。装備も貧弱で不足で時代遅れ、練度も明らかに低い。ペセトトとの戦いには勝てない。悪戯に戦争を誘発させるだけの有害行為だ。国家戦略方針に明らかに逆らっていて愚かである。愚行と自殺は個人でしたまえ。祭壇に捧げるのは己だけにしろ」
「黙れロシエのボンボン、お前のような外人傭兵に何が分かるものか!」
「部下の発砲も統制出来ない奴が言うことか! 見ろあのチンピラ兵、命令外で撃ったことを恥じるどころか得意げに笑っているぞ。それを咎める士官もいない」
発砲した兵士を指差す。まだ得意げにしている。高と里が知れる。
「ボンボンの”カカシ”軍と比べて、何だってぇ!?」
この独立戦略機動軍はこんな奴等を相手にするために人と金と時間と労力をかけたわけじゃないのだ。
また他の兵士が発砲。自分が携帯する磁気結界装置が、直撃ではないが傍をかすめようとした弾丸を弾いた。
撃った奴は銃煙で確認可能。本当に子供、髭もなく顔も小さい、民兵素人以下じゃないか。
「お前の軍は屑の集まりか!」
鞘を付けたままの剣で議員の顔を殴打。拡声機を口元に寄せる。
《戦列機兵十歩前進、前へ!》
殴打と拡声と機体の大きさに耐え切れずに議員の馬が暴走、反転して逃げ出した。
戦列を成した装甲機兵が地面を揺らして前進開始。その中で腕を伝って再び戦列機兵の肩の上へ戻る。
「ご苦労」
「はい司令」
乗っていた戦列機兵と他の機体が横並びになったところで肩から、背中の方へ飛び降りる。
戦列機兵の威圧で議員軍はたじろいでいる。逃げ腰というところまでいかないのはエスナルの熱き魂といったところか?
戦列の背後にいてくれるギスケル卿のところへ戻る。レイロス副帝が彼女を自分の傍に付けてくれた。議会の合意の下で議員軍の阻止命令は下っているが、鎮圧へと拡大解釈して良いかは難しいところだ。
「二度も発砲、抑止する者も見当たりません。鎮圧したいと考えています」
「左様ですか。指揮官は決断をするものです」
「はい」
手を振って前を指す。
《出来るだけ殺すな! しかし容赦をするな!》
後はヴァンロット大佐が具体的に指示を出して鎮圧行動に出る。
防毒覆面を被った海兵が擲弾銃で催涙弾を発射し、白い瓦斯雲で議員兵の目と鼻を麻痺させる。目と鼻と喉に激痛、咳とくしゃみが止まらず呼吸困難。
戦列機兵は再度前進、足と腕振りで群れを散らす。
そして棍棒を持った海兵が突撃し、議員兵を殴り倒して戦列機兵より後方へ引き摺って行って、分断しつつまとめて捕縛。
ファロン作戦、移動費用に対して実行費用が安過ぎて、雑種相手には過剰だった。
■■■
中ファロンのグルチス川河口部にある首都ココバまでグァジャル議員と士官以上を逮捕して連行した。
下士官以下はブロリアナ市駐留の陸軍に預けた。勝手に釈放しそうな気もするがそれはそれで良しとした。実刑が下るとしたら議員と上級士官の内、計画立案者達である。
我が軍は獄吏ではないし、ファロン兵に対する責任は多く持たない。
独立宣言以来何事も決まらないファロン議会は連日の開催が止められない。有名人とはいえレイロス副帝の訪問を断ることも出来ずに”君主のような曖昧な存在”として受け入れている時点で不安定さが知れる。自らの手で秩序を作ろうという意気が無い。
連邦国家が崩壊するかもしれないという恐怖感が大ファロン首脳部を支配している。各地から集められた議員が故郷に帰れば良からぬことを考え、誰かに考えを吹き込まれて内戦を巻き起こすと思われている。閉会させられない。
彼等がどうやって解決するかまでは我が軍の知るところではない。
「独立戦略機動軍司令ランスロウ・カラドス=レディワイス、フェリーコ・グァジャル議員を連行しました」
四人で議会へ入場。自分、議員とその両脇を抱えて抑える憲兵二人。
グァジャル議員は入場してからようやく拘束から解放され、肩の座りが悪そうに回しながら議員席に移動。”俺は悪くない”と不貞腐れた顔のまま、拍手と罵声や沈黙など様々な出迎えがされる。臨席の同党の議員とは握手。
議会に席がある者を路肩で殺すことは、一応政権側に属する者がすることではない。不本意ながら。
この新しい議会では色々と決まり事がはっきりしていない。自分は、己の直接命令系統上では上位に位置していると認識する、エスナル王に代わって最上席に座るレイロス副帝へ直接報告書を渡す。前副王、現大統領の視線は気にしない。
どうこの議会が成長していくかは知らないが、個人的には副帝が席の位置と同様に最上位のままでいて欲しい。
「ランスロウくん、私は阻止を命じたはずだ!」
報告書を読んで直ぐにレイロス副帝がいきなり大きな声を出した。普段から大きいが更に議事堂内に響く程。この人の怒声は慣れない。頭から思考が抜けそう。
「銃撃を受けました。正当な防衛で、早期に鎮圧しなければ大規模戦闘へ発達する恐れがありました。鎮圧直後に確認出来たのは死者八、傷者百二十名、全てグァジャル議員軍側。最小限の犠牲です」
「心が足りないんだ!」
「は、心ですか」
「もっと話し合ったのか!?」
「戦術戦略両面で勝算が無いことを指摘しましたが理解されませんでした」
「ばっかもーん!」
自分は責任者である。返答をしなければ。
「見逃せば開戦、虐殺の危機でした」
「違う、彼は間違ったが勇気は間違っていなかった!」
「それを理由として何をせよと?」
「こうだ!」
気付いたら涙を流すレイロス副帝に抱きしめられていた。
わからない、自分にはわからない。
「ランスロウくん……独立戦略機動軍には本国への帰還を命ずる」
■■■
悪魔大王ベルリク=カラバザル。東の凶相。
敗北、死体の山、兵器の残骸、金と血の税が荒野に吸われた。彼も彼も若かった。父の遺体は奴の手に。
魔王イバイヤース。魔族の虫頭。
騙し討ち、また死体の山、殺さず見逃し、哀れな見せしめにしやがった。アレオン橋頭堡完全失陥。
国防卿解任。
レディワイス家の”家業”が自分の代で終わる。家の仕事も教育も出来ない放蕩糞女風情が文句を垂れる。なぜ教会は離婚を不法とする。
ファロン追放。
レイロス様が新大陸土人とその混ぜ物共の、野蛮人の前で罷免……。
「……うわぁあ!」
夢? 頭を触ると汗で濡れている。悪夢か、呪わしい。
「ウーロォ?」
見下ろす赤い一つの目、一つの義眼、たぶん知らないフレッテ語。
「お、おはようございます」
西大洋洋上。船底の鋼鉄板を海水が擦る音がする。船窓から日の光、白い雲が和らげている。
いつの間に寝室にギスケル卿が? 招いた記憶は……いやいや、何時でもいらっしゃって結構だが!
あぁ……悪魔に落ち込む間も無く元気が出て来たかもしれない。救いの自分だけの聖女、心の主柱よ。
鉄と油の船内に花と茶の香りが……混ざって丁度良い?
「フレッテ趣味で良ければどうぞ」
軍司令寝室の卓上には湯気立つ茶器と生け花。塩の砂漠に沸いたオアシスか。
「ありがとうございます」
流石は五感に優れるフレッテの、洗練された貴人。無骨なにおいを打ち消し、勝っている。
「……鎮圧は間違っていたんでしょうか」
「一騎士は政治を語りません」
ん? ギスケル卿はレイロス副帝の代理人ではなかったのか?
「聞きたいことがあります」
「はい」
「レイロス殿下は何故貴女を私の傍に置くようにと?」
「心の支えになるようにとお願いされました」
心? 政治指導ではなく?
「ランスロウくん、まずは口をつけて」
手渡しで茶器を受け取る。
「ふあい」
こ、こんな狭い部屋であの白い指に触れてしまった!
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