第407話「鉄骨軍団」 ゼオルギ

 ベランゲリを出て少し。ゲチク公の軍指揮を見て学び、ペトリュク南の広大なテストリャチ湿地帯を通り、関門を抜けてダルプロ川流域を南へ上り、アッジャール朝にとっては因縁の中洲要塞へ至り、四か国遠征軍と共に合同演習に励む。

 この場で行った演習は派手な物ではなく、部隊混じっての行軍、野営程度である。これらの行動を通じて互いの号令の仕方や使用する軍隊語を確認して通訳の精度を高めた。お互いに見慣れて友軍を撃たないようにしようという意味合いが強かった。

 演習全体の指揮は国外軍副司令ラシージというマトラ妖精の象徴的存在が執った。無駄口を叩かず、無駄な指揮をせずといった印象。何か間違いが起こることがないように見えた。

 ラシージ副司令と比べるとこちらのゲチク公はその無駄口は多い気もするが、部下を気遣ったり激励したりする手段として使っている。間違いや誤解が多いようにも見えた。

 どちらが理想だろうかとしばし考え、妻のシトゲネに相談。

「妖精と違うんだからちゃんと人のこと考えてあげないと駄目よ」

 とのこと。確かにその通り。

 空き時間に弓射の稽古をしながら侍従に手紙を読ませて聞く。

 マフダールよりオルフの近況。不穏な気配は無し。しかし仲裁する権威であられる君主の不在は、恥ずかしながら我等政府中枢の不安に繋がっている、とのこと。

 ジェルダナよりニズロム公国から帝国連邦に直通する電信から起こした電文。何かが即時に起きる気配は無いものの、動揺に弱くなってしまっている。しかし敢えてそうして、事あらば帰還しその力を示せればそれも可、とのこと。

 これを受けて苦笑いしてしまったのは、もう電信が帝国連邦に直接繋がっていることを初めて知ったことだ。民生用という隠してもいないが明かしてもいない方法でもう浸食がされていた。

 連れて来た息子のサガンが立射で同じ的を狙って弓で狙い、飛距離足りず。直ぐに馬に乗り、背の高さを補って騎射をすることで曲射気味に的の下部に当てる。

「それでは殺せない。これから戦場に行く。銃を使いなさい。小さくても相手が殺せる」

 侍従に指示し、型は小さいが機構はそのままの子供用小銃をサガンに使わせる。以前、ベルリク総統の子供達が宮殿と宮幕に来た時、彼の娘が小さい銃に毒塗り弾丸を仕込んでロシエの重騎兵を殺したという話の時に――珍品でもないので簡単に――作らせたものだ。確かに子供でも銃ならば無力ではない。前線に出す心算はないが後ろが襲われることは何時でもあることだ……あると聞いている。

「良く狙って、でも早く狙って撃ちなさい」

「はい」

 サガンが小銃で騎射、外れた。数打ちの雑兵仕様でもなく、施条式で後装式だから問題無く扱えるはずだ。自分もそうだった。さて、マフダールの教えを思い出してみよう。

「引き金は勢い良く弾くように引いてはいけない。あくまでも絞るように」

「はい」

 再度装填し、撃って、的の端に当たった。

「一番は撃つ勇気だ。まず撃たなければ何も始まらない」

「はい」

 しかし殺したことも無い自分が言うのは奇妙だ。マフダールからの受け売りそのままできっと良いはずだが……武術指南役と別のことを言って混乱させていないか気になってしまうな。

「先生と違うことを言っているか?」

「絶対に殺せ、死体と思っても突けとも言われました。後は、同じだと思います」

「そうか」

 人のことを考える……。

 射撃訓練は続けながら、弓から銃にも持ち替えつつ、書記に口述筆記をさせ、各公への手紙を出す。内容は差し障りの無い物とする。現在自分が何処で何をしていて、どう思ったかとその程度。後はその家族に関することを連ねる。分かっていることは書いて、分からぬことは……母に調べて貰おうか。気遣う、しかし見張っている。この状態を作り上げるところから始めよう。

 ……喋り通し。侍従から茶を受け取って飲む。ジャーヴァル産で、今日貰って来たものだ。

 朝に中洲要塞に到着したベルリク総統のところで挨拶代わりに、今朝はナシュカという妖精の料理を馳走になってきたのだ。美味かった、あれは癖になる。その時に茶葉も土産に貰った。

 昼の食事はシトゲネが鉄鍋を握って作る。それは昔からで、母はそういうことをする人ではなかった。風習の違いである。

 煮た馬肉に野菜と炊き飯。あのナシュカの香辛料の、こう、真夏の直射日光と嵐みたいな物よりは遥かに慎ましい程度に香りと色付けがされている。

 深皿を出す彼女の顔が固いように見える。あちらで食べて来たことは分かっているのだ。

「一番美味い」

「やだゼオルギくんったらーおっせじー」

 シトゲネが笑ってサガンの隣に座って「お父さん何言ってるのよねー」と抱き着く。

 味と香りだけではない。


■■■


 列車編制、各隊搭乗順の調整が終わってから出兵式となる。

 中洲要塞の広場は大軍の整列のために良く均され非常に広く、四か国連合軍三万が武器に馬も伴って並んでも風通しが良い。こぢんまりとしてすらいる。流石は帝国連邦、正規軍の騎兵砲兵も合わせて八十万が一斉整列出来るようにされているだけはあった。想定する戦争の規模が我がオルフと格段に違った。なるほどこれは圧倒的である。

 壇上にベルリク総統が代表として立つ。他代表として自分ゼオルギにニコラヴェル親王、ピルック大佐が並ぶ。

 グラスト術士という怪しげな風体の魔術使いが術でベルリク総統の声を増幅。怒鳴らずとも広く響く。

「四か国連合軍の皆さん、おはようございます」

『おはよーございます!』

 妖精達の息を合わせた変に間延びした大きな返事に人間の声はほぼ消された。

「本日出兵となります。初めはガエンヌル山脈にいるエルバティア族の征服になります。かの地域は非常に標高が高く、事前に高地順応訓練を行ってから出向くことになるので直ぐに戦いとはなりません。戦いとなれば、そう人口の多い地域ではありませんが苛烈な抵抗に合うことは間違いないでしょう。作戦上、敵の射撃の的になって貰うことや、肉弾となって陣地に攻め込んで貰うことにもなります。他種族から見分けが難しいでしょうが女性も、子供も場合によれば殺戮することになります。そしてこちらがそうするようにあちらも容赦せず、捕虜となれば生きながらに内臓を啄まれるような憂き目に遭うことでしょう。死を厭わず戦う勇気は勿論、高地にて何の活躍も出来ずに病死することや、所謂無辜の民、罪無き人々をその手に掛けること、そしてそのようにされることを覚悟して頂きたい。それはエルバティアの次に予定されるタルメシャでも同様です。戦いの可能性があるジャーヴァル、極東方面は先行きが見えておらず予定も明確に立っていませんのでこれはこの戦いの中で明らかになっていくことでしょうが、事あれば盤面上で駒を動かすような戦争ではなく、軍民入り混じる、誰が敵か分からない中に飛び込むことになります。ただ覚悟をして下さい。我々は所謂、清く正しく愛される正義の味方などではないということを覚悟して下さい。容赦の無い侵略者です。生まれと育ちによりますが自分の子供達に自慢出来ない所業に手を染めることを覚悟して下さい。では……」

 整列時にそれぞれ手に杯を持つよう指示されていた。遠征、野営用に皆好き好きに硝子から陶器、木製に角製、遊牧民の中でも骸騎兵と呼ばれている異様な恰好の連中は皆揃って髑髏杯で頭髪付きも――虫が付きはしないか?――見られる。それらには乾杯用に酒が注がれ、見る限り頭の足りない者は”もう飲んじゃった”と空にしている。

「血と泥と糞に塗れ、生血を啜り、泣き喚く子供を焼けた家に放り込む覚悟があるならお手元の杯を掲げて下さい」

 ベルリク総統が掲げたのは、フレッテ公ウィベル・ジュットパリテの髑髏杯。砲撃で潰れた物を金継ぎで修復した一品。突き出る犬歯、骨に食い込んだままの弾殻片が洒落ている。

 自分が掲げたのは、シトゲネが綺麗に作った父イスハシルの髑髏杯。ここでは全員に勝ったと思えた。事前に自慢したところベルリク総統からは”いいなぁいいなあ!”と言われ、その妹の呪い師? アクファルは”お久し振りです。お元気でしたか……”などなどまるで生きているかのように話しかけ始めたものだ。

「乾杯! 全ての敵をぶち殺せ、ホゥファー!」

『ホゥファー!』『ウォー!』『キィギャァラァー!』

「神の敵をぶち殺せ、ウラー!」『ウラー!』

『フラーイ!』『ダフィドフッラーイ!』

『フラー!』『フゥラー!』

 それぞれ喚声を上げてから飲み干す。

 ゲチク公が勢いを間に合わせた。マインベルトが遅れて一番弱かった。

 そして帝国連邦の軍楽隊が各国行進曲を繋げて演奏する中で列車への搭乗が始まる。

 兵隊が指揮号令の中で順番に進む中、民間人がその間をうろうろしている。報道記者らしいが、中には穴の無い銃砲のような物を構えている者もいた。

「あれは?」

 壇上から降りて自軍の指揮監督に戻った時に侍従へ尋ねに行かせた。

「陛下、あれは写真機というものだそうです。硝子板や化学薬品を使って、筆ではなく光に絵を描かせる機械。ロシエ製です」

「大したものだ」

「代表者の集合写真を撮りたいそうです。ただ絵が描かれるまで一食作る程度の時間は掛かるそうです。見本を借りて参りました」

 見本は正装した、椅子に座った婦人の背後に立ってその肩に手を乗せる夫という構図。色彩は白黒灰と単調ながら細密画など及ばぬ対象の再現性である。人形のようで不気味さもある。

「面白いが、他の方はどうか」

「写真機を持っている会社の者が今方々当たって回っている最中の用でして、話がまとまるまで少々掛かると思われます」

「ご苦労。こちらは参加に前向きと伝えておけ」

「は」

 後に写真撮影を実施。一切微動だにせず結構な時間を待たされて撮影が完了した。後に現像した物を見せて貰った。

 一番背が高くて太っているニコラヴェル親王とその子供にも見えるようなピルック大佐が手を繋いでいた。仲が良いようにしか見えない。

 妖精はこの人懐っこさのままに突然殺しに掛かるというのだから怖ろしい。産まれもほぼ一緒のある屋敷の令嬢と世話係というより遊び相手の妖精がいて、どう見ても親友のまま他の妖精とそう関わることも無く十数年仲良く育ち、革命勃発の日にはその子の首を切って両親の食卓にニコニコしながら並べたという話が亡命ランマルカ人界隈では有名。類話であるらしいが。

 自分の写された姿は、鏡を見た時の感想でもあるが若いし年相応に細く、威厳が薄い。美青年らしいが君主に必要と思わない。父は立派だったそうだがこの顔、髭が薄い。産毛のようなものを伸ばしても更に見っともないものだからいっそ綺麗に剃るようにしている。

 ベルリク総統は何だろう、絵なのにその顔が動きそうだ。喋っているようにも見える。悪魔のように誘っているのか、脅しているのか。


■■■


 三万の軍勢とその分の装備、馬を合わせた重量は相当な物である。皆をそれぞれ”己の足で運ばせている”時には感じられない困難さが見るだけで分かる。

 何にたとえようか、生きていて己の足で歩く者は実質重さが無いに等しいどころか、それ自体が荷物を運ぶ。それが死体ならば物も運ばなければ悪戯に重くて引き摺るのも苦労、担ぎ上げるのは大変だ。車両で軍勢を運ぶ今、それが全て死体になったも同然。それを運ぼうというのだ。

 通常時は東西行きで使い分けられる複線の大陸横断鉄道が二車線とも東行きに変更され、部隊毎に分けられて乗車。車両も今作戦に合わせて普段は別に運行されている物が接続、牽引する機関車への負担も増大するので先頭だけではなく後尾にも中間にも接続。

 この発車準備の時点でオルフで運行されているエデルト式単線鉄道の規模が如何に小さく、商用に特化して軍事的に弱いと分かってしまう。東の果てから何十万という軍を持って来られるのであれば当然相応の運行が可能ということだが、実際にそれを見せつけられると気圧される。実際的にも敗北感しか無い。

 馬や兵器が積載される貨物車、兵卒が詰められて乗る三等車、士官級が乗る二等車、指導者や司令官級が乗る一等車に分乗。オルフの物と違って等級分けは貴賤分離というものではなく仕事上の都合を付けた物になる。車内で地図や書類を広げて会議が可能かどうか、という違いが大きい。豪勢な寝台など無い。装飾も同様である。ひたすら質実剛健。華美を鼻で嗤っている。エデルト王室御用車両に天井画があったことを思い出した。我がオルフの御用車両にもあったな。

 ランマルカ海軍様式を受け継ぐという水兵服姿の鉄道員達の統制された、まるで儀式のような動きの結果から巨大に接続された列車が発車していく。

 国外軍の第一陣が進んだ。次にマインベルト、次に我々、その次に国外軍第二陣とランマルカ、それから第三、四陣と続いていく計画。

 列車に慣れない、言わば訓練の足りない機械文明に遅れた者達が乗車時に混乱したこと以外は淀みなく計画が進んだ。

 自分の乗る列車も汽笛を鳴らして発車し、スラーギィの草原が過ぎて砂漠へ入る。


■■■


 東スラーギィの砂漠の中継地点、マンギリクに到着してここで一旦休憩。大規模運行による支障が無いかの慣らし運転も兼ねており車両点検が早期に行われる。見えないところでは全鉄道計画の再確認も電信を通して国全体で行われているそうだ。

 人や馬は車両点検のために降車し、この僻地に見合わない慰安設備が充実する中で休憩。車両移動中は何もすることが無く、手足の曲げ伸ばしも――一等車は自由で助かったが――憚られて疲れる。

 我々が東進する間にも他の列車が運行されていたが、全ての対向車両は待避線に避けてこちらに道を譲っていた。これらの指示は電信と、このような戦時運行時に重点配置される目視と手旗で最終確認を行うこれも水兵服姿の監視員の手腕による。


■■■


 マンギリクでの休憩を終えてイブラカン砂漠を通過。厳しい砂漠だからこそか今までより機関用の給水塔間隔が短い。蒸気機関は水を食う。

 途中、チェシュヴァン族の半地下都市カランサヤクでは石炭と水を補給するために一時停車した。降車する程の時間は取らなかった。

 カランサヤクで停車中に東から来る列車が数本通過し、それから発車。段々と草原に戻ってきてオド川に接するガズラウ市に到着。川を渡す鉄橋を通過し、ここからイリサヤルにまで続く新市街区画を抜ける。

 ここからの光景は不思議だった。街が次の都市まで壁のように続いていた。流石に線路の脇から遠くにまで広がってはいなかったが、こう、魚の骨のように尾鰭のガズラウから巨大な頭のイリサヤルまで続いた。主要街道沿いには宿場町が定間隔であるものだが、それとは性質が全く違う。


■■■


 中心都市、帝国連邦最大の工業地帯であるイリサヤルに到着。見渡す限りの壁、屋根、夜を拒否するように林立する街灯、煙突とまるで火災の様な排煙。空気が臭い。鉄を叩き引っ掻く音が遠くと近くから乱打で大小響く。広い道は人と何か物を載せている車だらけ。壮麗さではベランゲリが勝ると言えるが、この実用性には圧倒的に負ける。

 ここでも車両点検、石炭や水の補給、人と馬を休ませるために休憩時間を取る。鉄道、操車場付近は大量の人と物が乗降させられるように広場となっていて都市部より多少距離がある。あの何十万という軍勢の一部でもここに一時展開出来るようにという工夫だ。

 乗降台には手押しの車両が到着し、貨車から馬の糞塗れになった敷き藁が回収され、清掃――放水車による単純な水洗いだけではなく洗剤が香る――の後に新しい藁が補充。

 給食を配る配食係が炊事車を引く。下着の回収と新品の提供も行っていた。

 兵士と馬を全て流れ作業で検診する医者と、医療衛生に理解が無い馬鹿向けの棍棒を持った警備兵も現れる。異常有りと見られた者が強制連行されていく。病人の強制隔離については同意済みで、祈れば問題無いと強情を張る従軍聖職者が連行され、ゲチク公が対処した。

 マンギリクよりも遥かに多い整備員が複数の組になり、一斉に車体を見て回り、下部に潜り込んで流れるように作業開始。車体を持ち上げる扛重機が差し込まれ、部品を点検、交換していく。かなり手早く、作業の様子から少し目を離した隙に一工程が終わってしまい、先程まであれこれと手を動かしてた組はもう別の車両へ移動している。これがオルフで、エデルトでも出来るものか? 少なくともエデルト人技師がこのような指導をしてくれたことはないはずだ。

 これが大量動員の一端。

「ゲチク公」

「こりゃ一朝一夕で真似出来ませんな。怪物だ」

「怪物ですか」

「バルハギンが騎馬軍団で席巻したように、現代は鉄骨軍団がそうする。白い骨何本束ねようが細い鉄一本でぶち折る。その一本、ちょっと手間掛けりゃどこまでも太くなる。敵わない」

「装甲列車と戦った方の言葉なら信じられます」

「あれは……一言で言えません」

「私は尊敬していますよ」

「あれはっ! あー、無知で馬鹿でそれと、シルヴ元帥の、今は頭領ですか、のお陰です。後は……うー」

「失礼、踏み入り過ぎました」

 武勇伝にだけ彩られているわけではないようなのでこれまで。言葉に出来ないことはある。


■■■


 イリサヤルで国力差を見せつけられてから、また魚の骨の街区を通ってエシュ川に接するジラカンドの港に大量の石炭や鉱石が荷揚げされる光景を眺めながら鉄橋を渡って対岸へ。

 それから一転するように良い草が茂るラハカ川流域を通り、かつての黄金のアルルガン族の中心地であったアジルラハカに到着。鉄橋を渡り、次いでカレレビ川沿いのオルメイの鉄橋も渡り、ベルリク総統に滅ぼされたレーナカンドがかつてあったユドルムの山脈が見えて来る。

 世祖アッジャールが勢力を起こし、太祖バルハギンの領域に迫らんとして失敗した我が王朝の故地。そこへ馬にも跨らず、ランマルカ妖精の技術で、帝国連邦が運用する機械車で早馬より遥かに早く、数日経たずに西の端からやってきた。

 車窓を開け、顔を出して山を見たシトゲネがサガンに言う。

「あの山がね、イスハシルお爺様の故郷だよ」

「お爺様の方の」

「そう」

 サガンも顔を外に出し、山を見て声を少し出す。

 緩やかに上り坂となり、機関車の足が少し鈍り出した。次の停車駅、山脈麓のティミヌルで機関車が更に足される。馬の骨なら万本折っても出来ないことを鉄が成し遂げている。我々は今、長距離を進んで脱落者もほぼ無く――急病人が一名だけ――怠惰な疲労しか感じていない。

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