第386話「飼い馴らされる」 ヤネス

 水門工事現場と言う名目で設営された大規模野営地、関税同盟に対する前進基地にて筆を取る。冬から始まった人狼作戦における我々の戦い方を伝える、人狼戦術に関する報告書を纏めている。酷い荒くれ者となる彼等の統率方法、強い筋力からの高機動力、恐ろしい見た目と声の活用法、特に重要なのは機関銃導入後の戦法。それから口輪を嵌めた時の精神状態も――個人差が強いだろうとも――付け加える。

 その報告書を横で眺めながらお絵描き……否、”立派”に仕事を手伝ってくれているのはリュハンナ様である。椅子と机の落差があって、効率化のために机の上で膝を突くなど少々不作法であるが、作戦経過や戦法を記号化した図面に起こしてくれるので他人に説明しやすい見目になっている。図の端に意味の無い落書きもあるが訂正の必要を認めない。

 この報告書は後に写し取り、エデルト軍並びに聖都騎士団へ納める。人狼を今後運用する予定の双方にこの戦訓を伝えるのだ。

 エデルトへ持ち帰る役目は巫女のゲルリースが負う。

 巫女殿はこの報告書作成にはほぼ手出しをしない。文盲ではないものの、口伝式古宗教教育修了者とでも言うべき学歴の持ち主であって形式整った書類、文語作文能力が無かったのだ。占術、まじない印字、薬学を初めとする医学、祭事の段取りに道具の作り方、楽譜無き音楽、北方伝承や民話の暗誦が出来るなど間違いなく博識ではあったのだが、こう近代的ではなかった。

「リュハンナ様、お願いが」

「いいよ」

「案件聞かれる前にそう言われるのは……」

「知ってるよ」

 強がりの口癖なのか、本当に相手を見透かし”先読み”しているのか分からない。彼女の父、悪魔大王の幾つもの不確かな噂を頼りにすればこのくらいやってみせてもおかしくはない……おかしくはないと思わされているか?

「個人的なことですが、私は北の、南エデルト地方出身でして、海に近い低地で育ちました。湿地が広がって森も中々深くて、結構不気味です。そこには湖の乙女ゲルリースにまつわる伝説が残っております。話は無数にありまして、怪我をした旅人を助ける、代償と引き換えに病気を治す、勇者に妖剣を授ける、政争に破れた王子を保護して育てる、さらった子供を怪物に育て上げる、獣人と会話が出来る、美しい姿と声で誘って童貞、処女でなければ湖に沈めて食べるなど色々あります」

「うん」

「このゲルリースという名前、古い、今でいうベーア系の名前でして現代風ではありません。古い時代のお話が元になっていると分かります」

「うん」

「私が角の生えた馬、そう名付けたゲルリースと出会ったのも若い頃、森の中の湖です。あの時はまだ修道誓願をする前、読み書きも出来なかった頃です。不思議な馬がいて、人を見て襲い掛かり、家畜や子供を食い殺すなど悪い噂話もあれば、森で迷っている時に助けられた、馬車が脱輪して立往生していたら車体を持ち上げて助けてくれたなど良い噂もありました。冒険心から会ってやろうとして道に迷い、綺麗な水が無くて泥水でも飲もうか飲むまいかと愚かに悩んでいた時に出会ったのです」

「うん」

「ゲルリースは道案内だったのか私など当初は眼中に無かったのか、あの時の朦朧としていた意識では定かではないのですが、綺麗な泉まで案内してくれ、木の実が茂るとこも教えてくれました。伝説の湖の乙女の化身か何かかと思いました。そしてこの馬がいれば自分も何者かになれるのではないかと森の外へ連れて行こうと考えたのですが、当時の私はもちろん竜騎士ですらなく、あの大きな馬体でしたから力ずくで連れて行くなどは不可能。じゃじゃ馬馴らしのように乗ろうにも、振り落とされるどころか無視されたのです」

「うん」

「そして愚かと笑って頂いて構いませんが、二年付き纏って通じているか分からない言葉で一緒に来てくれと誘い続けた結果、森の外まで来てくれるようになり、馬が手に入ったらもう騎士になれるぞと浮かれて、聖都騎士団の支部を訪ねたものです」

「うん」

「そこで修道騎士になれないかと尋ねました。丁度先の聖戦の最中で人手不足、審査もほぼ無く馬に乗れるならいいだろうというぐらいの簡単さで修道騎士誓願を果たすことが出来ました。それから魔神代理領軍と戦い、生き残って竜騎士になり、聖都騎士団員として各地で色々と仕事をゲルリースと共にしたのです」

「うん」

「自分語りが長くなってしまったのですが、その伝説のゲルリースの話があって、たまに現れる常とは違う不思議な姿の幻獣、そんな馬にゲルリースと名付け、この身になってからその名前の人狼が現れました。偶然にしては、その重なり過ぎと言いますか……」

「あの名前嘘」

 仕事からただのお絵描きに戻っているリュハンナ様、鼻で”うん”と言うだけで上の空かとも思ったが、はっきり言った。

「そう思われますか」

「運命の女になって言うこと聞かせて便利」

「でしたか」

 もう少し若ければ、いや、アデロ=アンベル殿を脱獄させた後に心を折られる前であったなら魅惑の破滅――堕落か――へ誘う者に逆らうことは出来なかったかもしれない。しかしそれは感性が萎れた結果であって、老い以上の悪い状態であって、一度は竜騎士となって失われた男の機能が人狼になり復活した時にあの臭いと姿と声と態度の……力が抜ける。背中に体重を掛けたら椅子の背が圧し折れて転んでしまった。転んで、起き上がるのが面倒。

「どうしました?」

 姉妹イヨフェネが騒音を聞きつけ、竜騎士の衛兵も連れてやってきた。獣性が暴走するやもしれないと仲間にも警戒されているわけである。

「兄弟ヤネス?」

「悩みが解消しました」

 床が冷えて気持ち良い。夏場は毛むくじゃらに辛いのだ。

「それは……椅子一つだと安いかもしれませんねっと、こらリュハンナ様!」

「うん」

「うんじゃありません! 机の上に座るなんてはしたないです、降りなさい!」

 二人のやり取りが面白そうなので起き上がる。リュハンナ様はお絵描き続行、顔も上げない。姉妹イヨフェネはいつもの”お母さん”である。

「それじゃ男の人にモテないよ」

「モテる必要ありません。修道誓願しましたからいいんです!」

「どうして?」

「出家していわば聖なる神と結婚したのです。世俗と違うんです」

 そしてリュハンナ様、お絵描きをイヨフェネに披露。

「怒ったイヨフェネ」

 そのぷんすか怒った絵を見た供の竜騎士が「あぁ」と言って笑う。

 似てる。両手を腰に当てた姿、そのままだ。

「お説教しましょうか」

「イヨフェネのお話好き」

「……もう!」

 これには勝てない。


■■■


 犬の口に入れる食べ物はお粥、野菜、果物、乳製品、そして修道騎士の時の倣いで定められた日のみ、動物食品は良く火を通した上で茹でて生から可能な限り遠くして食べる。口輪をしているので隙間から差し込んで食べないといけないから匙のような食器は必須となっている。手掴み、直食い、獣の行いは常々謹んで理性を意識するべきであろう。人狼から人犬になった、なろうとしている己の新たな修めるべき道である。

 人犬修道、体系化すべきか? 制御の難しい人狼は教会に相応しくない。飼い馴らされるべきだ。

 銀製の匙をリュハンナ様から頂いた。救いを貰った上でこのような物まで頂くのはと一度遠慮したが”んん!”と唸られた上”わたしのお金で買ったの”と言われれば受け取らざるを得なかった。

 匙は特注で、大きい手に合わせて重く頑丈で、不意に強く齧ったり弄んでも折れ曲がってしまうような造りではない。そして掬う楕円の先端が肉叉のように三つに尖り、突き刺しも出来て便利である。

 食事を終え、リュハンナ様に裾を引かれる。

「ヤネス、遊ぼ」

「何をしましょうか」

「お散歩」

「どうぞ」

 四つん這い、手足の長さが四つ足獣と違うので股をかなり開く。これで背に乗せて走ると大層楽しいようで”お”を連呼する。

「高いの」

「高い方ですね」

 獣のような姿勢は改めて肩車。人犬の膂力と彼女の小ささも有り、意識しないと忘れる羽根のような軽さである。

「何時ものように落ちないよう髭でも耳でも遠慮なく掴んで下さいね」

「うん」

 耳を握られる。毛は比較的簡単に抜けてしまうのでこちらの方が安全だ。髭は体毛より硬くて抜け辛いが滑る手触りで、手に巻かれるのは流石に気になる。

「痛くない?」

「大丈夫です」

 野営地を歩いて回る。服装はこの体格に合わせて仕立て直した修道服で、皆に出来るだけ危険な存在ではないようにとわかりやすく首から聖なる種の首飾りを下げる。勿論口輪も嵌め、少なくとも文明側に立つ存在と主張。靴は趾行性のこの足に合い、物が用意出来ていないので足袋を着用。

 口輪は思いの他、想像以上に良い。この管理、制御されている感覚を忘れさせない拘束具は理性を高める。

 川辺を歩いても危険はない。既に関税同盟軍によるイーデン川渡河攻撃は中止され、西岸のこちら側に残留していた前衛部隊も一時休戦を結んで後退した後だ。しばし戦火から遠ざかっている。

 水門工事現場にはオルメン軍が到着し、聖都騎士団も偽装を解いて重装備率を高めている最中。ガートルゲン軍も小数だが駐留し、その旗で圧力を高める。旗の陰には実数以上のものが見えるのだ。

 再度の渡河攻撃は難しいものとなっている。奇襲の失敗で敵は好機を逃し、一時取った対岸も放棄。人狼隊の皆殺しに近い損害は意味があった。

「お兄さん達どこから来たの?」

「ヴァッカルデンだよ」

「どんなとこ?」

 リュハンナ様は物怖じせず、ガートルゲン兵に色々聞き始める。土地、名産、人柄などで自慢するところを聞き出し、隣領の話題から悪口も引き出して直ぐに好意を引き出してしまった。そして、

「戦争、恐くない?」

「俺達はへっちゃらだよ! なんせあのポーエン川渡河の生き残りだしな!」

「そうなんだ」

「そうともさ!」

 これは男達を死に導いてしまう言葉だろう。やはり幼くともあの恐ろしい悪魔大王の娘か? 今はそれ以上になってしまって言われないが、ベルリク=カラバザルは”妖精使い”とも呼ばれた。何かこう、誰かを思った方向へ進ませる力を持っているようだ。

 散歩ついでにエデルトへ帰還する仮称ゲルリースとわずかに生き残った人狼、エデルト人狼兵達の見送りに参加する。報告書を渡す時に別れの挨拶はしたが、短期とはいえ共に戦った戦友達である。去る背中ぐらいは見るべきだ。

「道中お気をつけて」

 彼等はナスランデン領内を陸路で突っ切る。その西部はロシエが圧倒、東岸部は制川権を握っている関税同盟が優勢、中央は最前線、東部は安全と言い切れない。そんな中を行く。船はもう船籍偽装をしても臨検、拿捕される可能性が高くなっている。

「やっぱり!」

 仮称ゲルリースが人差し指を突き付けて来た。

「何ですか」

「道理で私でも駄目だと思ったら幼女趣味だったんですね!」

「そうだよ」

 何という返事をしてくれるのかリュハンナ様!

「違います」

「違うの?」

「出家して、いわば聖なる神と結婚したのです」

「イヨフェネも同じこと言ってたよ」

「姉妹イヨフェネと同じことをしたからです」

「私も?」

「リュハンナ様は洗礼なさっていますが修道誓願はしてらっしゃらないでしょう。大人になってからどうするか決められると良いでしょう。聖職も修道も世俗も、それぞれ可能性があります」

「うん」

 聖女猊下の養女ならば、地位こそ世襲ではないがその足跡を辿るのが自然。だがそこは大人になってから自分で決めるべきだろう。聖オトマク寺院で暮らし、神学を中心に学んでいるからといって必ず出家しなければならないわけではないのだ。

「あなた、ゲルリースなんて名前ではないでしょう」

「んふ、さようなら」

 姓名不詳の某は、答えたくないように指だけ前後に動かし、それを別れの挨拶として背を向けた。

「それでは良く名前の分からない誰か、としか記憶が出来ません。次会った時は変な雌な方と呼びますよ」

「……アースレイルです」

 古風なエデルトの女性名のようだ。エデルトが海賊としてまだ各地を沿岸襲撃していた頃、未改宗だった時の話にそんな感じの名前があったと記憶している。

「ではアースレイルさん、さようなら」

「ふーんだ」

 振り返りもせずアースレイルは去り、人狼兵は胸を叩いて遠吠えするなど、彼等らしかった。

「ヤネス、意地悪」

「私はもっと意地悪されました」

「喧嘩、良くないんだよ」

「それは実はあまり良くありません」

「そうなの?」

「人の度量には限りがあり、時々こぼしてやらないといけません」

「そうなんだ」


■■■


 水門工事現場は建設を得意にする聖都騎士団の手により小都市と化して来ている。防壁に砲台、役所に司令部、病院に墓場、裁判所に刑場、宿舎に厩、市場に銀行、倉庫に牧場、鍛冶屋に洗濯屋も屠殺屋も揃い、売春小屋と礼拝所もある。農場に果樹園は土壌づくりから始めなければならないのでまともな収穫があるとすれば数年後。

 諸々揃えば郵便局も機能する。軍と教会が扱わず、信頼性の低い民間の隊商に頼らず手紙が届く。

 自分宛てに聖都から転送されてきた。封筒には検閲済みと印が押されている。

 ”兄弟ヤネス・ツェネンベルク、届いているだろうか? 届いても読めないまで黒塗りになっていないことを祈る。

 敢えて魂の兄弟と呼ぶことを許してくれたら嬉しい。

 今、私は南大陸で働いている。全く完全に望んだ通りではないが夢が叶っている。現地の、新しい故郷で多くの人に望まれて居ることが許されている。ロシエとの戦いの後のような悲惨な状態ではない。

 聖なる教義には反するが離婚前からいる現地妻に息子が生まれた。私の命を救ってくれた二人の名をつけた。一人はあの黒人少年ハザクで、もう一人は兄弟ヤネス、彼方だ。

 フラルの妻とは離婚したが財産は与えたし、娘達にも一応は不自由させていない。私なりに八方へ誠意を尽くしたつもりだ。後悔は無いが懺悔するとなれば口が不自由になることは否めない。

 私の仕事はベルリク=カラバザルが白人へしたようなことを黒人へすることだ。全てがそうではないが、良さそうな行いも聖なる教えの敵である魔なる信徒や獣人を助けるためにやっている。政治、経済的な理由があるとはいえ博愛からは程遠い行いをして教会に敵対していると言ってもいい。これはきっと兄弟、彼方が見れば目を背けるだろう。危険を覚悟してまで助けたのにと怒り憎悪するかもしれない。だがとにかく小さくはないことを成し遂げようとしている。

 何をどれだけ伝えるべきか悩んだが、兄弟が救ってくれた私が無為に怠惰に生きているわけではないことだけは伝えたかった。そして最後に生きて妻子に会わせてくれたことに感謝したい。

 北コロナダ及びクジャ人による都市国家及びディーブー王国による同盟所属フェルシッタ傭兵隊隊長兼イサ帝国軍事顧問アデロ=アンベル・ストラニョーラより”

 ”追伸。略して北部同盟だ。たぶんそっちの地図には載っていない”

 イサ帝国……南大陸奥地、暗黒世界の一大勢力だったか。ロシエと敵対しているのなら今は味方だな。

 返事はどうしようか? 人狼のことなど伝えられない。

「何も書けないか……」

 そもそも自分は対外的には死んだことになっているはずだ。書けない。せめて生きているとだけでも伝えたいがおそらく駄目だ。検閲官に尋ねる暇も無い。


■■■


 情勢は変化している。

 セレードによるカメルス伯国侵攻と同時に、アソリウス軍によるイスベルス伯国無断越境事件が発生。そしてカメルス伯国防衛義務があるはずのマインベルト王国に軍事圧力が掛かり、結果は静観。名を落してまでもそのようにするとは相当な理由があったに違いない。

 保護されなくなったカメルスの降伏は確実視されている。もう既に降伏してセレードに併合され、その事を伝える早馬がこちらに走って来ていてもおかしくないぐらいだ。

 マインベルト静観の報が伝わった事を機に関税同盟内では聖領財産没収開始が本格的に始まっている。各所で暴動から内戦のような状況に発展していると聞く。聖職者から軍事支援要請が頻繁に飛んできていることもこの耳があちこちから聞き取っている。

 関税同盟は反乱分子の粛清とそれに伴う騒乱を制御し、対外戦争に影響無しと状況を認識出来るぐらいの余裕を得ている。その認識が正しいのならばあちらが優勢。

 聖戦、革命戦争、アレオン戦争と立て続けに大損害を被ったはずのロシエ王国だが余力がまだあり、関税同盟との共闘に積極的で内戦中のナスランデン掌握に大量の義勇兵、装備を投入している。宣戦布告をするような表立った声明こそ出していないが並の一国程度では相手にならないぐらい規模で介入している。

 少し前まではロシエは豊かが過ぎて失業者に溢れ、余剰人口を国外に移民として排出する傾向にあったが、今ではアレオンや一度植民地としたクストラから人を呼び込む方へと――エスナル系住民を発端にした反乱の気配が濃厚で、闘争よりも祖先の母国帰還を望む者が続出しているらしい――逆転している。相次ぐ戦争で失ったはずの人口がもう回復しているのだ。加えて奴隷解放により隠れていた人口も姿を現しているという。

 劣勢に傾いているとでも言うべき状況下で新たな命令を受けた。聖都騎士団は総力でエデルトへの安全な北への道を”絶対”に確保せよ、とのことである。何の為に、と聞く必要は無い。聞かせるべきではない重大案件。

 具体的な行動としては、軍事力を用いてこちらが支援するユロング派と共同して街道、道々の拠点を再整備して要塞線を確保することに重点を置く。

 兵力として基本的な銃兵、騎兵、砲兵、工兵、従軍聖職者から奇跡使い、角馬に乗る竜騎士、人狼ならぬ人犬、そして空を飛ぶ天使まで投入することが決定。聖都守護の、聖遺物で造られた異形の彼等を引っ張り出すような重大案件。

 人犬は自分が責任を持って本庁から補充された人狼を調教して仕立てることになった。報告した人狼戦術が一定の評価を得た証拠だろう。

 人犬は竜騎士同等に重装甲化し機関銃兵としても訓練する。ただ身体能力に依って暴れるのではなく、組織立って動いて他兵科と連携し、火力と衝力を兼ね備えて戦えるようにしなければならない。

 道の確保まで時間的猶予はある。明確ではないが次の春か、最低でも夏までにという御達しである。

 今年はオトマク暦千七百八十五年。八十六年の夏までとは気が長いようだが劣勢のままならば一年は短過ぎる。

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