第372話・第九章までの主要人物、国家、略史
*ネタバレを含みます。いきなり読まない方がよろしいでしょう。
*作中では語られていない設定も少し含まれています。第九章終了時点までのことなので、疑問なところがあれば疑問のままにしておきましょう。
*第八章までの主要人物、国家紹介で説明した箇所の一部は省略します。
*地図は近況ノート参照
〇18年目・夏
01話:往年の貴女 ~ 02話:獣人の世界
〇18年目・秋
03話:議会の開催 ~ 7.5話:何をしたい?
●19年目・冬
08話:家に帰る ~ 16話:アデロ=アンベル斬首
〇19年目・春
17話:転んでも ~ 18話:ハザーサイール入り
〇19年目・夏
19話:鉄兜 ~ 20話:帰還
〇19年目・秋
21話:会談 ~ 23話:ディーブーを侵略
●20年目・冬
23話:ディーブーを侵略 ~ 28.5話:今日から解放しよう
〇20年目・春
29話:重用されて感謝されたかった
〇20年目・夏
30話:何か言う資格は無い
●魔神代理領
四千年末の不安感、魔都の焼き討ちから二代目魔神代理の御隠れ、大戦による莫大な負債、揺れるハザーサイール帝国、そしてベリュデイン新大宰相の醜聞と共同体分断の予兆とも取れる凶事が連鎖。流言飛語や急進派の台頭により混乱が続く。
*フィリッペス川
大イスタメル東部の大河。メノアグロ州都ジラツやテクレシェ市、エーベリオン市などが流域で栄える。
*ラウム海
中大洋の北東隅の多島海。ヒルヴァフカ州都ギロドラや、魔神典礼派主教座があるセパルタス州都ザセリなど大都市が沿岸部に面する。幾度とない聖戦で難攻不落と謳われたウダンプル要塞も面する。
〇ケテラレイト
男:ジャーヴァル人:魔族・ケファール
三代目魔神代理
ジャーヴァル事情も汲んだ政治的妥結により新しい魔神代理となる。確かに適格者は彼を除いて存在しなかったが、二代目が御戻りになるまでの間の暫定的立場とも見られている。臨時皇帝に続き臨時代理であった。
〇ベリュデイン
男:魔族・イレイン
大宰相
共同体防衛を確実にするため守旧派が反対する魔族化推進を掲げて新大宰相となる。就任早々魔族の種取引醜聞の危機に晒されるが自ら公表。結果ロシエからの後出し暴露により怒りの矛先が多少転換される。その道は茨。
*魔族化親衛軍
軍人魔族、奴隷で主に構成された親衛軍へ、天魔大戦中に編制された魔族軍を混ぜて作られた新編中央軍。
○アリファマ
女:グラスト人:秘術・シッセリアの赤子
グラスト魔術戦団筆頭術士
ベリュデインの指示によりグラスト魔術戦団の実働戦力は全て国外軍預かりとなる。身体は歴戦と強化手術で傷だらけ。
*ザモイラ術士候補生連隊
術の才能がある旧バルリー出身の選別された少女達。更にまた選別される予定。歌詞の書かれた本にて合唱するように集団魔術を発動させる”詠唱術”を習得。実戦でのお披露目はまだ先。
○ギーリスの娘セリン
女:ファルマン人:魔族・アスリルリシェリ
イスタメル海域提督、マリオル県知事
魔神代理領海軍を木造から鋼鉄艦隊へ再編、再建中。皆さんご存じの通り、感情の揺れ幅が大きいので優しい時は極端に甘い。
○セリンの息子ダーリク=バリド
男:セレード人
ベルリクの第二子長男。世界中どこだって行けそうな海上騎兵を目指す。乗馬と操船以外にも学と技が必要である。がんばれ。
▲帝国連邦
第一回帝国連邦議会が開催され、特に単なる軍事集合体であったスラン川以東の服属勢力が国家等として相互認識される。大再編事業により動けない正規軍に変わって国外軍が設立され、脅迫、演習、外征と早速各地で活躍する。
*マトラ低地
鉄道敷設、マインベルトとの貿易活発化、イスタメル人移住、同人傭兵投入により緩衝地帯から西側攻略橋頭堡へと変化した。
〇ベルリク=カラバザル・グルツァラザツク・レスリャジン
男:セレード人
総統、ウルンダル王、国外軍元帥
主人公。下の毛に白い物が混じってもまだまだ元気なおっさん。ミィヴァーから投げ矢を受けるも心臓が右に生えていた悪運により死を免れた。主人公補正という霊力が宿る。
○ザラ=ソルトミシュ・グルツァラザツク・レスリャジン
女:セレード人
ベルリクの第一子長女。政治、思想的混乱下にある魔都こそ勉強になる場所だと敢えて留学先に選ぶ。議会では仲良し演説を披露した。かしこい。
○ベルリク=マハーリール・グルツァラザツク・レスリャジン
男:セレード人
ベルリクの第四子次男。親父が死ねば彼が”ベルリク戦記”のタイトルを引き継ぐだろう。ちっちゃい。
〇アクファル
女:レスリャジン人
総統秘書、親衛千人隊隊長代理
世界初、飛行船切り込み攻撃を成功させた。剛腕で唸るが奴隷騎士の捻じれ合成弓は引けなかった。
○クロストナ・フェンベル=グルツァラザツク
女:エグセン人
内務省長官
通名ジルマリア。教会税問題で神経をすり減らし、夫婦喧嘩に手榴弾まで持ち込む。五人目は出来なかった。
〇カイウルク
男:レスリャジン人
レスリャジン族頭領代理
マトラ低地を利用してイスタメルへの影響力を強める。既にナヴァレド城主後継者を己の血統へ移す程。
*リビュア
ナヴァレド城主ラハーリ・ワスラヴの娘。カイウルクの第二夫人。
〇ユルグス
男:レスリャジン人
イスタメル傭兵隊長付き少年士官候補生
カイウルクの長男。母はジャーヴァル遠征時に知り合った第一夫人。第二夫人リビュアに男児が生まれるまではラハーリの暫定後釜候補。
○ルサレヤ
女:古スライフィール人:魔族・ゴルゴド
魔法長官、秘書局局長、総統代理
頼れるベルリクのお悩み相談相手。
〇ナレザギー
男:メルカプール人
財務長官、持ち会社組織の長
毛むくじゃら。戦乱に乗じて貿易拡大するだけではなく、莫大な負債を利用して国内に大規模な投資を呼び込むことまで成功させる。打ち出の毛むくじゃら。
〇ラシージ
マトラ妖精
国外軍大将、副司令
前線復活のラシージ。大体、面倒そうなことは任せておけば問題無し。親分の工兵力は世界一!
○ルドゥ
男:マトラ妖精
親衛偵察隊隊長
エルバティア兵を偵察隊に導入して部隊能力を底上げ。むっつりしてて可愛い。ダーリクに狩猟を教える。
〇ゼクラグ
男:マトラ妖精
軍務長官
ラシージの後を継いで長官が務まるのはゼっくんをおいて他にいないだろう。
○ストレム
男:マトラ妖精
国外軍中将、砲兵司令
エルジェ湾では地対艦撃沈世界記録保持者となりうる戦果を上げる。
〇ナルクス
男:マトラ妖精
国外軍少将、親衛突撃隊長
今回はあまり活躍場がありませんでした。反省。
○ナシュカ
女:アウル妖精
総統の料理番
歳を取って体力が落ち、ラシージの指示で総統周辺人物専門の料理番に転向。薬学などの知識がある。
〇キジズ
男:アッジャール人
国外軍少将、骸騎兵隊長
人食い騎馬狂戦士の長。国外軍では恐怖と最先鋒を担当する。
*骸騎兵
元から狂暴な性質の無分別者達を集め、怖ろしい身形で整えて人食いを好むように教育された恐怖を煽る精鋭騎兵達。
〇ニリシュ
男:チャグル人
国外軍中将
全てにそつのない珠のように完璧な男。国外軍の理性、人間の口を担当。
○クセルヤータ
男:竜族(飛竜)
竜跨隊隊長
アクファルの相棒。愛ならブランコも痛くない。
▲ジャーヴァル帝国
女神党は新帝が神々の夫として相応しくないなど無茶を言う反発もあり国内は相変わらず一纏まりではない。ケテラレイトが魔神代理となることで一先ずその混乱は収束。
*女神党
ジャーヴァル多神教の内、特に諸女神を拝一する者達の派閥。理屈が通じないので感覚で対応しなければならない。
○チェカミザル
男:アウル最上位妖精
アウル藩王、妖精軍管区大代表、赤帽党党首
南洋諸島から帰還早々に魔都演習へ精力的に参加。ベルリクに相撲指導した。
〇マフルーン
男:メルカプール人
南大陸会社責任者
良く働き、ヴァルキリカを前にしてもビビらない度胸もある。諜報員の真似をしないところ、余計な仕事はする気がない。
▲ハザーサイール帝国
南大陸北岸部の覇者。アレオン問題や後継問題で揺らいでいたが国外軍が外科手術的に解決してしまう。魔導評議会管理下に無い虫人の魔族の種を保有し、そこから多数の虫人奴隷騎士部隊を編制して近代化に乗り遅れてもそれなりの軍事力を有していた。
*帝都アグラレサル
サイール海湾口に位置する。交易中継地点の要衝。
*アレケセル海
トゥリーバル半島内側の細長い海域。
*ダウナ島
トゥリーバル沖、ファランキア両属の主権曖昧な地域。曖昧さを利用して戦時でも取引が行われる。南北の主要交易拠点の一つ。
*アプリリャ諸島
アレオン沖、ペシュチュリア両属の主権曖昧な地域。以下ダウナ島に準ずる。
*アレオン地方
アレオン山脈北方の水に恵まれた肥沃な土地。近代的なアレオンとは聖将エンブリオの遠征に伴う北方人種による虐殺を伴う植民事業で形作られた。古代では黒人、サエル人等が栄えた。アレオン山脈を指して山アレオン、その南の裏アレオン砂漠は俗称に近い。
*エランヤード州
アレオン東方州。州都グリガセン。主要河川はハリカ川。
*ベンシャル州
アレオン東北州。海峡を挟んで北にベルシアがある。
*ラルバサ州
アレオン中央州。州都ミグニア。主要河川のルッコ川河口部にはラスタチナ市や、要塞のあるエルジェ半島が作るエルジェ湾がある。
〇フィルダスィ
男:サイール人
皇太子
母后をムピア人とする、所謂黒人皇太子。成人したばかりで政務能力は発揮されておらず実力評価もされない。戴冠式はまだ。
*ハドマ
母后をサイール人とする白人皇帝である先帝。故人。
*魔神教法典派
不文である魔なる教えを成文しようとする派閥。ハザーサイールで採用される厳格なウライシュ派、一番単純明快とされるアルワニー派などがある。変化に富んだ対応が特徴の魔なる教えを対象にする法典の編纂は非常に難しいと言われる。
〇ダリュゲール
男:古サエル人:魔族・”古い”虫人
宰相
担当するアレオン問題を穏当に解決出来るところだったが国際情勢が許さなかった。ハザーサイール騎士道に則り反抗するも御旗にしたはずのイバイヤース皇子に裏切られて魔族の種に加工。六百を超える齢だった。
*ハザーサイール騎士道
正義を重んじ、女色を排して惑わされず、男同士で世間一般における友情を越えた同性愛的な団結力を獲得することを目指す。家族を持たない軍人奴隷の間で流行し、虫人による魔族化が導入されて以降も精神は引き継がれる。
○アークブ・カザンの息子ダーハル
男:ムピア人:魔族・”虫人”アムリドル
国外軍顧問官
大宰相を降りて在野のところを国外軍に拾われてハザーサイール担当顧問として活躍。戦後アレオンの後始末をする。
▲ギーレイ族
黒い犬頭の騎馬民族。高級奴隷の輸出が従来の稼ぎ方だったが、今では傭兵の出稼ぎ先で奴隷を買い、地元の鉱山に連れて来て働かせて稼ぐという好循環を達成している。
○ニクール
男:ギーレイ人
ギーレイのガロダモ
一線は退いたが北部同盟へ傭兵を大量に送り込む判断を下すなど、高級将官としての役割を担っている。
*ガロダモ
軍老と訳せる。軍務長官職に近い。
*給仕
大好きなタンタンと一緒。良かったね。
▲イスタメル州
”大イスタメル”西部、そして中心部。魔神代理領統治より二十年、カイウルクの政策によりレスリャジン族の影響力が浸透している。
〇ドルバダン・ワスラブ
男:イスタメル人
イスタメル傭兵隊長
ナヴァレド城主ラハーリの親戚。マトラ低地のイスタメル移民を守護する。
▲ファスラ艦隊
独立軍事集団の上、更に独立性の高い海賊なので行動にほぼ縛りがない。ホドリゴ救助の縁にて縄張りの南大洋を離れてエスナルへ親善航海。
〇ギーリスの息子ファスラ
男:ファルマン人
頭領
魔神代理領とエスナル友好の切っ掛けを作るという奇跡を起こした。
〇ギーリスの曾孫ファスラの孫イスカ
女:ファルマン人
ファルマンの魔王号乗員
死んだ(と思われている)シゲのチンポの張り型を持っているホドリゴの新妻。暴れ牛乗りでエスナル人から人気を掴む。
●北コロナダ及びクジャ人による都市国家同盟
略称北部同盟。中核都市はコヤントン山に在るイクスードで、アセルシャイーブが武力制圧してから本格的に都市化がされた。同盟都市は他にバールジェバ、ダルマン市がある。コロナダ盆地やディーブー地方へも拡張中。
*ハシュラル川
ワアンガ高原を源流とする大河でコロナダ、クジャ、ムピア、ミルヤーフの地を抜け大陸海峡付近で海に出る。上流と中流をメルシュの瀑布が寸断する。
〇アセルシャイーブ=イゾルカ・ベレンボ
男:コロナダ人・青虹鱗
北部同盟首長、イクスード市長
通称”とさか頭”。名はベレンボ氏族のイゾルカ、奴隷名アセルシャイーブの意。高級奴隷の教育を担当していた優秀な解放奴隷。北部同盟結成を呼び掛けた盟主。
*コロナダ族
蜥蜴頭の広義の獣人。身体頑強、闘争心が強い。鱗の色で部族が伝統的に分かれるが時代により変わる。北部では青虹と斑鱗が、南部は暗色系黒鱗が優勢。
〇ジェーラ・イクスード・アセルシャイーブ
男:クジャ人
北部同盟軍司令官、ジェーラ大隊長、ディーブー王
名はアセルシャイーブが育てたイクスード出身のジェーラの意。アセルシャイーブの呼びかけに応じた解放奴隷。
*クジャ人
黒人。魔神教救世派信仰と男尊女卑の伝統が強い。
*ジェーラ大隊
ジェーラが育てた私兵部隊。ハザーサイール騎士道を模範とする。
〇ハザク・ジェーラ
男:クジャ人
ジェーラ大隊員
名はジェーラに育てれらたハザク。アデロ=アンベルの帰郷の際にお守り代わりに付き人となり、スペッタ包囲時にミィヴァーの背後を突こうとして返り討ちに遭うも、その隙に逃げる時間を稼いだ。
〇アデロ=アンベル・ストラニョーラ
男:グラメリス人
フェルシッタ傭兵隊長
副主人公。伝令出身の色々経験豊富な歴戦の傭兵隊長。南大陸業務で一躍英雄となるも、本国帰還後の軍務にてヴァルキリカに裏切られて失意、死刑寸前だったが男ヤネスに助けられて再起。最終的にはイサ帝国軍事顧問に収まり、職業軍人としての夢を叶える。フラル出奔前に本妻と離婚手続きを済ませた。
*フェルシッタ傭兵
信頼と実績と伝統がある高級傭兵。フェルシッタ市と疎遠になった現在、ほぼ北部同盟の正規部隊である。
*リエルテ
アデロ=アンベルの女ばかり姉妹の末娘。曰くフェルシッタの太陽。サトラティニの妻、妊娠中。
*黒真珠
クジャ人の現地妻、後に本妻。伝統から女なので名前が無く、黒真珠は愛称。
*ハザク=ヤネス
黒真珠との間に出来た大望の長男。名は命を救ってくれた南北の男の中の男二人から取った。
〇サトラティニ・オッデ
男:グラメリス人
隊長付き伝令
軽騎兵出身の度胸が据わった男。アデロ=アンベルの娘婿で、元妻と小遣い付きで不倫していた。
●黒人妖精族
ウンバボ! 言葉の理解がまだ初期段階で自称も不明。ディーブーの南、ブエルボル北はクーシ山脈の向こう側の熱帯雨林地帯で古代エーラン帝国をわずかに彷彿とさせる文化を築く。
●黒鱗朝
コロナダ盆地のパラドゥンボ政権。黒鱗を優良種とし、他の鱗色を差別して核心勢力から求心力を得ていたがハシュラル川の戦いに敗れた後、経済侵略を受けて崩壊が始まる。また南部にブエルボルから追い払われたゲムゲム族が難民匪賊として侵入して来ており混迷が広がる。
〇バビンカ・ロロンエ
男:コロナダ人・黒鱗
国王 ※王の中の王
名はロロンエ氏族のバビンカの意。時代の変遷に対応出来なかった。
*※王の中の王
この称号についてであるが、領域国家としての王国より格下の部族王、氏族長などの首長格を束ねて統率する意での王であり、皇帝号には値しない。
*ゲムゲム族
鼠頭の獣人。言葉は喋れるが頭は良くない。身体は小さくすばしっこいが特別凄くはない。驚いたりすると簡単に恐慌状態に陥って統制が利かない。何かすぐ口元にある物を噛む癖がある上、病原菌を強く保持しており鼠咬症を引き起こす。友人にも戦友にも奴隷にも適さず、見た目も愛らしくなくて愛玩にすらならない。
●ディーブー帝国
南大陸北岸から南下したサイール人が現地諸族、少なくとも二言語系統を有する纏まりの無いチャブ=ロングル川流域地方を統一して興した王朝。帝国号は部族王国に優越し、どこにも服属していないとの、特にハザーサイールを意識した称号であって国際的には王国相当。最強の者が王になるという伝統から長らく内戦を続けており、官僚組織が消滅する程に文明が後退。その隙を北部同盟に侵略されてほぼ征服される。
*セングラ族とアブカ族
ディーブー東部草原砂漠地帯に住む遊牧騎馬民族。クジャ人とは古くから抗争を繰り広げており、北部同盟侵略の際には見せしめと復讐に民族浄化される。
*ベカ族
チャブ=ロングル川上流域にて伐採業で発展した。長らく南部森林部の黒人妖精と戦いを繰り広げていたが北部同盟の攻撃を受けて滅ぶ。
●カウニャ族
金獅子頭の獣人部族。ワアンガ高原北部にて牛の畜産を至上とする遊牧民で、騎馬文化ではない。健脚故徒歩で騎兵並みの機動力を発揮する。一夫多妻制だが妻集団が夫を選ぶため男余りが酷い。今回は牛疫が流行って更に男余りが激化し、一部は傭兵稼業に身をやつす。
●イサ帝国
首都は太陽信仰宗教の中心地であるソナコレイ、交易の中心地は旧都ゲンナ。ザリュル川とオロワ川流域に栄える内実共に帝国。鬣犬頭のイサ人を筆頭にする多種獣人国家だが皇帝は魔族。誘拐、購入などの手段で黒人奴隷を多数従えている。軍事技術の遅れからロシエ植民地軍に敗北しかねないところであったが北部同盟との接触で危機を免れる。
*鬣犬
”たてがみいぬ”と書いてハイエナの和訳となる。作者はその言葉を知らず、ブチハイエナを斑(ぶち)のジャコウネコ科ということで無理に斑猫と当てたのだが、これはハンミョウ、つまり昆虫の名前だったので修正した。おちゃんけぴろぴ!
〇????
女:魔族
女帝
六肩四脚一尾の蠍に似る姿の魔族。太陽神の化身とされており現人神である。通常下賤の者が謁見する際には寝礼を取り、目を手で覆って直視しないのが礼儀となるが余所者には柔軟。国際社会から見れば秘境の地にいる神秘の存在だが開明的である。
*イサの天眼
イサ人が神格化して奉る太陽のこと。
*女帝の目
広範に国内外を監視、観察して情報を集めて来る巡察使の俗称。秘境の地にありながら最新の話題を把握している。
●ベルブ族連合
鰐頭の広義の獣人族の緩やかな連合体で外敵には一致団結。水中行動を特にし、故地の気候風土も相まって近代装備のロシエでも未だに槍一本で寄せ付けない。イサ帝国へは川沿いに交易、出稼ぎに出てくる。
●山アレオン勢
周辺地域、通過した軍のはみ出し者達による混血所帯で民族アイデンティティーは希薄。アレオン山脈に割拠する諸民族というよりは諸軍閥。谷一つにつき独立勢力が一つあるぐらいに統一されていない。アレオンの虐殺された肥沃な土地へ、貧しい山岳生活を捨てて多数が移民中。また後に魔王軍の襲撃を受けては同地へ排斥される。ごく一部がベルシアの山岳地帯に土着している。
●サビ族
裏アレオン砂漠にいる騎馬遊牧民の総称。独立的な北部集団、親ハザーサイールの東部集団、親ロシエの南部集団などあったが魔王軍の襲来を受けて北部集団は壊滅。東と南の集団は内部分裂も伴って離散して各地に保護を求め、大集団としての形は失われた。
●魔王軍
元首は魔王を名乗るだけで氏名も公表されず、外交窓口も無く対話も不能のイバイヤース政権敗残兵を中心した新興勢力。アレオン山脈、裏アレオン砂漠、マバシャク族領を瞬く間に征服してしまった。行動目的も不明。主力は虫人奴隷騎士。
〇イバイヤース
男:サイール人:魔族・ダリュゲール
魔王
真珠と評される程の完璧な人物だったが、魔が差したように本国を裏切り、身を寄せた先の恩師ダリュゲールも裏切り、己を魔族化して姿形に名前も捨てて”魔王”を号し、好き放題に生きると決めた。
*バウルメア
魔尊師と訳せる。魔術に長けた上で尊敬に値する大人物に贈られる称号。
●ロシエ帝国
技術史を塗り替える新兵器を投入してフラル戦争では聖戦軍を圧倒、ベルシア王国を併合。アレオン戦争では先行醜聞暴露とルッコ川の地雷とイバイヤースの裏切りを察知出来ずに大敗。莫大な損害を被ったが新兵器は良く実験され、ロシエ革命で無数に現れた扱いづらい義体化障碍兵も合法処分、本国は無傷である。
〇ポーリ・ネーネト
男:ビプロル人
ビプロル侯爵、宰相
骨や心肺を術金属で理術的に強化、種族的短命を解決。故ロセアの作戦計画を基に強いロシエを目指す。彼の優れた理術具製作能力は政治をやっている場合ではない程で、あの強化外骨格はお手製だった。
*ポーリ術金
ポーリが術で生み出す謎の金属。金属中毒症状を起こさず軽量で頑強で腐食に強く、簡単な消磁装置で磁気の影響を受けなくなる。
*鉄兜党
小説”鉄兜”と頭部狙撃でも軽傷で済み動揺もしなかったポーリから取られた武闘派政党。急進な支持者はシンボルに鉄兜を被っており、頭突きをし合う挨拶が流行っている。
〇ランスロウ・カラドス=レディワイス
男:ロシエ人
国防卿
父である前国防卿の仇を取ろうと躍起になるも正面作戦で失敗し、謀略に大敗。生き恥を晒して戦後処理に当たる。史上初の大規模陸海空共同による同時四正面包囲作戦を敢行した指揮能力を持っており無能ではない。相手が悪かった。
〇ミィ〔ゥフ〕ヴァー・ギィ〔ゥイ〕スケッ〔ゥッ〕ルル
アヴナナール伯爵、槍と秘跡探究修道会修道騎士爵
副主人公。名はロシエ読みでミラ・ギスケル。”ヴェ〔ァゥ〕ハグー”は赤目の意で、転じて赤目卿。片目と片腕を失って世捨て人だったが義手、義眼を手にし往年の活気を戻す。武門はなめられたら終わりを体現して酷く暴力的。武術、魔術、理術具の扱いに優れて実験的特殊作戦もこなしてベルリクの暗殺すら成功しかけるも相手が異常だった。
▲アラック王国
サエル人を排除して後の北方人種の植民で近代的な民族が形成された。アレオンやマバシャク関係者、亡命者が良く住んでいる地域でもあり、大望の奪還作戦には血が騒いでいたことだろう。
〇レイロス・アントバレ
男:アラック人
国王
ベルシアのフェルロ王と従兄弟。幼少時の留学先は他王家ではなくアルベリーン騎士団であり、その時からミィヴァーへ少年のように憧れている。敗戦後は敗残兵の一部を引き連れて砂漠越えにて植民地領まで脱出する。
▲ベルシア王国
首都トラストニエは中大洋を東西に二分する海峡を望む。先の聖戦で荒廃した国土の復興ならぬままフラル戦争にて短期降伏、ロシエ帝国に組み込まれては戦略的要地として莫大な投資を受けて再興の道を辿る。
〇フェルロ・アントバレ
男:ベルシア人
国王
幼少時の留学先は他王家ではなくアルベリーン騎士団で、従兄弟のレイロスと同室。兄弟分で頭が上がらない。息子のルベロ・アントバレはロベセダ王である。
●エスナル王国
首都はペラセンタ。ランマルカとの和約の代償にクストラ植民地を放棄し、西大洋での安全を得る。世界周航艦隊の奇跡により魔神代理領との通商条約も結んで内部事情を除けば安泰。過激な軍閥は南大陸事業へ送り込むことで一先ず解決。守旧派の金冠党、親ロシエの鉄兜党が国内を二分しようとしていた。尚、金冠とは鉄兜への対義語として用いられており自称ではない。
〇ホドリゴ・エルバテス・メレーリア・アイバー
男:エスナル人
世界周航艦隊提督
前回失敗した世界周航事業を無事達成。航海中にエスナル的情熱さでもってイスカと結婚し、その件について国王に突かれた時に凄く浪漫な台詞を吐いたとされる。
▲槍と秘跡探究修道会
俗称アルベリーン騎士団。竜と悪魔殺しの秘跡を探究、尋常ならざる神敵を打ち倒す目的で、その体現者たる聖アルベリーンを模範として結成された。入会する際には聖戦誓約を交わす必要がある。かつては神聖教会圏各地に所領を有していたが没収などされて現在ほぼ皆無となり、後援者がエスナル王国となってその尖兵と化す。ベルシアがロシエ傘下となった機に、神聖教会とは縁を切ってエスナルに本部を移動して看板と実態が伴った。
〇ジェリル・マルセーイス
男:エスナル人:竜騎士
総長
先代総長バセロの弟。強面、強硬的だった兄と違い温和で調和を重んじる性格。平時に活躍出来る。
*竜騎士
竜や竜のような存在すらも屠れる、竜狩りアルベリーンにあやかった超人的な戦士のこと。異形とならぬように魔族の種もしくは不朽体と呼ばれる物を使って超人化する。旧アソリウス島騎士団はこの秘儀を知らなかった。
*不朽体
聖なる木乃伊。常人の木乃伊もあれば魔族化可能な木乃伊も存在する。
〇ラベラス・グウィンデス
男:フラル人:竜騎士
総長代理
有名無実化したベルシア本部を纏める歴戦の勇士。数多の負傷を物ともせず現役で、先頭に立つのが似合う。裏切りのミィヴァーに急所を焼かれて呆気なく暗殺される。
▲カロリナ挺身修道会
アルベリーン騎士団程には聖都と縁を切ったわけではないが、ほぼエスナルの軍閥的な振舞いをする。聖カロリナを模範とし救護活動や補給業務など銃後の活動を得意とし、前線で戦うことは基本的にない。
●聖皇領
フラル半島中部の聖皇直轄領。聖なる神の教えの総本山のはずだがロシエ革命以降手足がもぎ取られてきており、帝国連邦からは金をせびられて金欠気味。ロシエから奇襲を受けてスコルタ島を失陥、聖都を爆撃され、諸戦でも敗北してベルシアを失うも怪我の功名にて北フラル諸国を統一する。サエルの妖怪である天使など、教義に反するような化物を作り出している中、それを守護存在とする中で公会議を開催する予定。
*フラル海
フラル半島とアラックに挟まれた海域。
*スペッタ
フラル半島中部西岸に位置する都市。海側に都市、山側に要塞が守りは堅固だった。北へ街道を行くとレーメス市が、西の対岸にスコルタ島がある。
*スクラダ山脈
フラル半島を東西に分ける山脈。アレッツォ川などの源流。山脈は南北に分けることも出来て、その境目の高原は通行にそこそこ容易。
*人の神
聖遺物。かつて新大陸に存在した獣の神と対になるような存在。食らった獣を人のように変態させる。見た目と挙動が気色悪い。
*浄化の炎
聖遺物。これに焼かれて死ななかった者は炎の奇跡を良く操れるようになり、目付きが変わる。木乃伊である魔族の種などとはまた異質。
*交雑の聖杯
聖遺物。種の隔たりを越えた受精卵を作成出来、それを畑に埋めると合成生物の赤子が生える。
*天使
元はサエル人が信仰した天神教における”天の神から遣わされた使者ないし使徒”のことである。聖なる神の教義では異教の妖怪ということになるが、それを模した合成の幻想生物が爆撃される聖都で活躍したことにより守護存在として認識され始める。
〇ヴァルキリカ・アルギヴェン
女:エデルト人
第十六聖女
聖女という名の聖王。豪腕と謀略を振るって弱い者には徹底して負けない。強者に勝てないのは所属勢力の地力の無さが大因である。聖皇領が未だに権威に権力も伴って一応の西側の代表的存在にあるのは彼女の働きによるもの。アデロ=アンベルとフラル世俗軍を生贄に神聖公安軍を大規模再編し始める。
〇チタク・ダスティオ・ブレーメラ
男:エスナル人
エンブリオ枢機卿
少年猊下。聖将エンブリオの霊力を借りるための生ける旗印。アデロ=アンベルの奮闘を見てただの旗印ではなく、聖将の再来となるべく決意を固める。
*エンブリオ・ブレーメラ
神聖教会における大英雄、聖将とも呼ばれる。カラドス以来魔神代理領に対しても連勝を続け、アラック、アレオン、エスナル聖戦において歴史的快挙を成し遂げる。厳格で好戦的な人物であった。
▲聖都巡礼守護結社
俗称聖都騎士団。聖皇近衛隊の立場にある。農場経営から通商、インフラ事業まで手広く行っており組織としては自立可能。
〇ヤネス・ツェネンベルク
男:エグセン人:竜騎士
修道騎士
男の中の男。ケツ顎マッチョ。己の騎士道を信じて動く古風な男。アデロ=アンベルの脱獄に加担し、処罰される。愛馬は幻想生物たる角馬で馬格は非常に良い。
▲浄化救済の尖兵修道会
俗称スコルタ島騎士団。本部は島内中心部のヴィサリルオノに在る。騎士と呼ばれるのは重装甲騎兵を輩出していた頃の名残。絶海の閉鎖的な孤島にて聖都の指令で幻想生物の研究作成を行っていた。象徴は聖遺物”浄化の炎”と灯火の鎚矛で実際に武器としても扱う。
〇バートラン・レバ
男:アラック人
大総長
アラック人らしい気性を持ち老いても戦場を駆けた。スコルタ奇襲の前準備のため、指揮系統混乱のためにミィヴァーに暗殺される。
▲穢れ無き聖パドリス記念騎士団
略称はそのままパドリス騎士団。中大洋東岸部に聖戦軍国家が存在した時代に誕生。魔神代理領に追い出されて以降は流浪の身として各地を転々とし、現在ではフラル半島に落ち着いて聖都巡礼守護結社の保護下にある。
▲フェルシッタ共和国
フラル北東部に位置するフラル化したグラメリス人による内陸都市国家。主だった産業も無ければ交通の要衝にもなく、その代わりに精鋭傭兵を売りにそこそこの知名度を得ていた。今回の総督選挙で親神聖教会を明確にし、誇りである傭兵も切り捨てる舵取りをした。
〇メチオ・エランブレ
男:グラメリス人
総督
元フェルシッタ司教。フェルシッタっ子として傭兵を尊敬しているが、教会の方針には逆らえなかった。
●エデルト=セレード連合王国
ドラグレクからヴィルキレクへ国王が代替わりする。セレード閥の反動を危惧して従来からの扱いを改めて、自治権拡大を許した。南大陸ではブエルボル植民事業を行っており、害獣同然のゲムゲム人を強硬的に排斥。
〇シルヴ・ベラスコイ
女:セレード人:魔族・シェンヴィク
ブリュタヴァ公爵、ヴヴァウェク氏族長、セレード大頭領
セレード自治権拡大の流れに乗って祖父がかつて持っていたような大権力を掌握し大頭領職を作成、着任。公会議の開催に向けて一つ企んでいる様子。
〇ヤヌシュフ・ベラスコイ
男:セレード人
アソリウス島嶼伯
人狼兵相手に全く引けを取らない武門。愛人と子供達はさて置いてグルツァラザツク家のエレヴィカと結婚。遠い島の出来事ながら大陸のセレードに大きな影響を与えそうである。
〇エレヴィカ・ベラスコイ
女:セレード人
アソリウス島嶼伯夫人
ベルリクの腹違いの妹。貴族的な政略結婚ではあったが拒否感は無し。単純で力自慢でたぶん馬鹿の夫は、可愛いの範疇であるらしい。
〇マルリカ・ユーグストル
女:アソリウス人
医療助祭
でぶにゃん。聖都留学で学を、スコルタ島で技を得て、同性愛者になるようにポルジアに導かれ、ミィヴァーに連れて行かれて前線を経験してベルリク暗殺作戦にまで参加して現地で捨てられて帰郷してシルヴに拾われる。
●聖王領
主にエグセン中、東部諸国のメイレンベル大公を頂点に頂くという認識を持つ諸侯群。ロシエの横断戦略の対象である。中央同盟戦争の経緯があり、神聖教会やエデルト、マインベルトとは仲が良くない。双頭の犬の親衛隊は国外でも活動中。
〇ポルジア・ダストーリ
女:エグセン人
潜入工作員
故フィルエリカの末娘。謀略や危険で興奮するのがたまらない脳内麻薬中毒者。少年に変装するのが容易い外見。ロシエの奇襲作戦を誘導し、聖都では天使の死体を入手した。後に存在が露見することを危惧して姉エマリエと国外逃亡。
〇エマリエ・ダストーリ
女:エグセン人
潜入工作員
故フィルエリカの娘でポルジアの義母。目立たないよう長期的に浅い情報を少しずつ流す役目を負っており、スパイマスターの役目も負う。ダストーリ姓は現地フラル人と結婚した際に合法的に入手したもの。家に夫がおらず実子もいないのはそういうことである。
▲マインベルト王国
周囲を歴史的敵対国に囲まれたエグセン北東の国。手を結べる相手が帝国連邦ぐらいしかいなかった。
@おまけ
作中世界の略史。
年代はズィブラーン暦を基準。魔神代理領史観にやや沿う。
作中の記述、特に登場人物の証言とは矛盾する箇所があるかもしれません。
●0年代以前
・初期魔神教がメルナ=ビナウ川流域で誕生。魔族も既に存在した。
・降臨上帝と後に呼ばれる伝説の人物が後の天政文明を築く基礎集団を纏め上げる。
・古ジャーヴァルで多神教が登場。異形の神々は古代魔族とされる。
・人間は身体能力で勝る獣人を相手に大半は劣勢に立たされており、一部集団は絶滅。
●0年代以後
・メルナ=ビナウ川分岐点にて魔神代理領成立。組織的に魔族、魔術の力を用いて外敵を圧倒。これより一千年間、平和と繁栄を謳歌したと言われる。
・フォル江流域に城壁で囲まれた古代都市国家群が現れる。この一纏まりの地域を後に”古”中原と呼び、初代統一王は後に開地上帝と呼ばれる。
・古ジャーヴァル、パシャンダで拝一神教国が多数成立。長く緩やかな戦国時代に突入していく。
・青銅器を手に入れた人間文明は獣人などを相手にある程度対等に戦うことが出来るようになる。
●1000年代まで
・戦車や鉄鉱石から鉄器を量産する技術が各地に広まり、人間による中央集権的な古代国家が古代大文明発祥の地以外でも見られるようになる。一部の獣人集団が辺境へ追いやられ、絶滅し始める。
・後にフレッテ人のみになる夜行長命人種が環状列石や巨石墓を建設し始める。
・後にビプロル人のみになる猪牙大型人種がウルロン山脈以北に定住を始める。
●1000年代
・初代魔神代理崩御。二代目魔神代理が即位するも魔族軍閥が乱立。群雄が覇権争いを始める。
・”古”中原王国が”外”中原と呼ばれる地域にまで勢力を拡大し、本格的な古代帝国を成立。天政という概念を作り出した初代皇帝が後に公武上帝と呼ばれる。
・北大陸内陸部で乗馬戦闘を行う遊牧騎馬民族が現れ始め、一大勢力として台頭を始める。以降、草原砂漠からの襲撃が断続的、世界的に行われる。
・一部獣人の中からも人間に遅れて鉄器や乗馬を導入して王国を築く者が現れ始めるが、南大陸や辺境以外では人口差から大勢が決する。
●1300年代
〇後期
・分裂した魔神代理領を”神の如き”ケファールが統一。
●1400年代
・ケファールの大遠征開始。魔族軍閥を擦り減らして周辺地域を征服、服属させて初代最大版図を上回る。直轄地と属国を区分するため魔神代理領共同体という概念が出来上がる。
・南大陸の古代ムピア王国の黒人王が大量の金塊を持って魔都を訪問する。
・フラル半島にエーラン国成立。他にも都市国家群が確認される。
・中大洋東岸部を拠点にサエル人の海洋活動が活発化。
●1600年代
・ケファールが痴呆症を患い、退位を拒んで魔神代理領治世が硬直、腐敗を始める。
・サエル人の海上帝国が中大洋に出現。沿岸各地に植民都市が築かれ始める。
●1700年代
〇初期
・”魔剣”ネヴィザによるケファール暗殺事件。腐敗一掃と同時に内戦激化。
・フォル江が破局的大氾濫を起こして流域が変動、河口が移動。食糧難から被災民が匪賊化、混迷の時代を迎える。
・エーラン国がフラル半島を統一。西側世界において初めて帝国を号する。
・ジャーヴァルに初の統一王朝が出現するも宗教改革に失敗して短命で滅ぶ。
●1800年代
〇初期
・魔神代理領とエーラン帝国との間で長期に渡る戦争が始まる。外敵の登場に魔神代理領の統一が進む。
・混迷を制し、拡大し他文明も取り込んだ天政の文字、度量衡、法律を統一した者が後に立法上帝と呼ばれる。また同時期にフォル江において懸案事項だった治水事業が大規模に行われるも国内の混乱と疲弊を招く。
〇中期
・立法上帝崩御の後、国内各地で反乱が勃発。制御不能となり戦国時代が始まる。
●1900年代
・エーラン帝国がウルロン山脈以北に住むグラメリス人やベーア人を傭兵として用い始める。またフラル海の西、南沿岸部のサエル人を服属させる。
●2000年代初
〇初期
・魔神代理領に”竜王”ゴルゴドが登場。飛竜を南大陸からもたらし、新戦術でエーラン皇帝を戦場で敗死させる。親衛隊のグラメリス人が軍人皇帝となる。
・”竜王”ゴルゴドと初期神聖教会と見られる宗教団体との交戦記録が残り、この頃に竜狩りアルベリーン伝説が作られる。
・天政の戦国時代を終わらせた者が後に太平上帝と呼ばれる。
〇中期
・軍人皇帝時代のエーラン帝国では皇帝暗殺が横行。政情不安が行き詰まりサエル人政権の西帝国とフラル人政権の東帝国に分かれて内戦が始まる。
〇後期
・エーラン東西帝国が統一を目指して争うも決着つかず。ゆるやかな連合となることで和解。
●2200年代
〇初期
・世界規模での寒冷期の訪れ。大凶作に見舞われる。また強力な遊牧騎馬民族が大挙して北大陸内陸部から通年の略奪を超える規模で侵攻を開始し、民族移動の連鎖が始まる。
・海面の急低下により海岸線が大前進。海上交通網が破壊される。南北大陸間に大陸陸峡が形成、ランマルカ諸島が半島化する。
・民族移動に対処するため魔神代理領では辺境政権に大きな軍権が付与され、それが魔族の増加と軍閥の台頭に繋がっていく。
・西ヤゴール人がオド川流域から西方へ移動開始。ベーア人がモルル川流域から西へ押し出され、更にグラメリス人がウルロン山脈から押し出されてフラル半島北部へ進出。エーラン東帝国を弱体化させる。
・天政は多方面からの異民族集団による侵略に耐えきれず戦国時代がまた始まる。
〇2219年 オトマク暦元年
・初期神聖教会が改宗グラメリス人と共にエーラン東帝国のフラル半島本領を乗っ取り、聖皇を擁立。初代聖皇とされる聖オトマクに因んだ暦を使い始める。
・東帝国の妖精将軍ゼクラギスなどの軍事政権を筆頭に亡命政権がイスタメル地方に残留する。
〇中期
・ベーア人有力者のカラドスを神聖教会が後援してウルロン山脈以北を統一させた後に聖王として戴冠させる。聖皇、聖王の同盟関係を神聖帝国連合とも呼ぶ。
・カラドスがポーエン川中流にシトレ伯を、エーラン東帝国亡命政権や魔神代理領地方政権を下して”大”イスタメルに東方副王領を設置。
・この頃にはベーア人という大雑把な概念が細分化されて各民族独自の呼称が尊重、自作される。
〇後期
・エーラン西帝国は神聖教会に対して激しい海賊行為を働き、沿岸部には人が住めないと言われる程に怖れられる。
・カラドスはエーラン西帝国へ遠征して敗死。
●2500年代
・寒冷期が収束。世界的に豊作となる。
・海面が低下した分の陸地開発が進んで各国繁栄する。
・魔神代理領の分権化は進み、ほぼ軍閥乱立状態となる。この頃から独自に軍閥が対外遠征などを繰り返すようになる。悪名高い魔族共和制も誕生。
・中原に乱立した無数の政権を統一した者が後に豊都上帝と呼ばれる。気候の回復と合せて史上類を見ない大繁栄を遂げたと評される。
●2600年代
・魔神代理領のアレメット軍閥が南大陸に進出。スライフィールからナサルカヒラ地方まで征服。獣人奴隷を輸入する流行を作り出す。
・魔神代理領の商業組合閥が大内海地方に進出。植民都市を沿岸部に建設し海路を掌握し遊牧騎馬民族との交流が活発になる。
●2700年代
・ハイロウにて魔神代理領のイュルミエ軍閥と天政軍がぶつかる。これを機に東西で相手の国家認識が広まる。それまでは遠方の幻想的な存在だった。
●3100年代
〇初期
・シトレ伯が”小”ロシエ地方とユバール地方の一部を掌握。第二のカラドスとして期待され神聖教会から戴冠。ロシエ王国成立。暗黙の聖王となる。
〇中期
・神聖教会がエーラン西帝国に対して聖戦軍を発動。主力となったロシエ王の活躍により現ロシエ南東部から排除に成功する。
〇後期
・神聖教会が魔神代理領に対して聖戦軍を発動。軍閥同士連携が取れないその間隙を縫って初期聖戦軍国家が誕生する。
●3200年代
〇初期
・聖戦軍が大規模な成功を収めて中大洋東岸部に大規模な聖戦軍国家群が誕生させる。この誕生時の敗北からの約二百年を魔神代理領では大氾濫時代とする。
〇中初期
・バルハギンの統一遊牧帝国が世界侵略開始。各地は荒廃し遊牧政権が乱立し、中でも天政は征服される。
・オルフ人の間でバルハギンへの恐怖から救世神教が流行し始める。
〇中期
・低下していた海面が戻る。世界各地で大津波が発生。南北大陸の接続は寸断、ランマルカ半島は諸島に戻る。聖戦軍国家の多くが壊滅。
・大内海でも大津波が発生してメルナ=ビナウ川流域が大氾濫で壊滅。
・世界各地で陸地面積の減少と同時発生の異常気象による大凶作に見舞わられる。
〇中後期
・”賢者”アスリルリシェリが海洋環境の激変から混乱状態にあり、敵対も危ぶまれた水棲種族や水竜との和解に成功して南大洋を安定させる。
・バルハギン統政権下の天政官僚であった者が津波の被害の収束に当たり民心を集めて天政再興を掲げて蜂起。不完全ながら旧領を奪還。死後、文化上帝とされる。
・ランマルカ諸島を中心に北から海賊が来襲して北海から西大洋、中大洋西側の沿岸部まで略奪して回る。
・残留聖戦軍国家である各魔神代理領服属政権が編み出した魔神典礼派を神聖教会が公式に邪悪な異端とする。
〇後期
・文化上帝の後を継いだ者が旧領を奪還した上でバルハギン残党政権のいくつかを属国化して辺境防衛を固める。後に制覇上帝と呼ばれる。
・神聖教会はバルハギン残党政権であるセレード族に対して聖戦軍を発動。敗北する。
●3300年代
〇初期
・北海海賊の一軍であったアルギヴェン氏の長を神聖教会が改宗、戴冠してエデルト王国を成立させる。また同じようにランマルカ王国も成立。沿岸襲撃が徐々に弱まり始める。
〇後期
・キサール高原にイレイン誕生。馬賊から身を立てキサール高原統一を目指す。
●3400年代
〇初期
・バルハギン統の娘婿となったイレインがキサール大王としてジャーヴァル北方を征服してイレイン朝ジャーヴァル帝国を成立。
・イレインは帝位を息子に譲ってから初代魔神代理領大宰相に就任し魔神代理領統一を開始。
・神聖教会がエーラン西帝国に対して聖戦軍を発動。アラック地方を征服する。
〇中期
・イレインによる魔神代理領統一成る。共同体防衛者の称号を得る。
・ジャーヴァル帝国が南部パシャンダ地方を征服して統一を果たす。
・エーラン西帝国の流れを受けるアグラレサル政権のサイール王国が魔神代理領共同体への参加を表明、保護を求める。
●3500年代
〇初期
・イレインが魔族の種になって諡号に”魔帝”を授けられる。
・聖将エンブリオによる聖戦軍の準備が始まる。フレッテ、ビプロル人の武力改宗や大イスタメルの東方国境の画定などに成功。
〇中期
・エンブリオ戦争本格化。聖戦軍はアレオンを奪い、エーラン西帝国を崩壊させる。残党はサイール王国へ亡命。追撃でトゥリーバル地方に侵入しサイール、ムピア連合軍との戦いにて奴隷騎士ダーハルの活躍で敗北して進撃が止まる。
・サイール王国がムピア王国を併合してハザーサイール帝国が成立。同時に天神教から魔神教へ改宗。しかし国情に合致せず、法典派が編み出される。
・聖戦軍はエスナルに侵入してエーラン西帝国の流れを受ける現地政権を征服して一部が土着化する。これ以降、断続的にアレオン国境線で武力衝突が繰り返される。
●3600年代
〇初期
・現ユロン高原よりレン氏が地方軍閥、遊牧騎馬民族などを糾合して大勢力化。平和と繁栄から軍事弱体化していた天政を侵略、皇帝位を禅譲させてレン朝を成立。
・エンブリオ戦争の経緯から魔神代理領より貿易禁止措置を取られていたエスナル王国が西回り航路を開拓して新大陸を発見。現地で旧大陸由来の疫病が猛威を振るう。
〇中期
・エスナル王国が新大陸現地人から救援を求められ、現代まで続く対ペセトト戦争が始まる。
●3700年代
・ロシエ王に”大王”マリュエンス三世即位。フレッテ、ビプロル人を服属させ、聖戦軍領のアラック、アレオンを譲り受け、ユバールの完全統合も成し遂げる。
・この時代から神聖教会圏諸国による新大陸、南大陸植民地事業が活発化。
●3800年代
・オルフ統一王ゼオルギが大規模水利事業を成功させるも、没後に統一は失われる。
●3900年代
〇初期
・ランマルカ王国で産業革命。蒸気機関などが普及、実用化、工業生産能力が向上。また工業労働者などの粗雑な扱いから労働問題が現れ始める。
〇46年
・ランマルカ革命。革命指導者ダフィドによりランマルカ王国から人間が排除され、わずかな生き残りがエデルト王国を中心に各地へ亡命。クストラ植民地国家も属国化される。
〇61年
・北領戦争。エデルト王国の南下政策をエグセン諸侯が食い止める。
〇65年
・塩戦争。エデルト王国がセレード王国を通過してオルフ諸侯を下し、塩取引問題を解決。
〇66年
・セレード継承戦争。セレード王を排除した、セレード王家の血縁でもあったエデルト王ドラグレクが王位について同君連合が発足。それを不服に思う集団が各地へ散らばる。
●3970年代
〇初期
・現代、先の聖戦と呼ばれる戦いが勃発。ロシエ王国がハザーサイール帝国と断続的に行っていたアレオン戦争に対して前聖皇が聖戦軍を発動して介入、局地戦から全面戦争に至る。
〇中期
・魔神代理領軍が反撃に出てベルシア王国を征服。聖都直撃を狙うがヴァルキリカ義勇軍が防衛に成功、功績により第十六聖女となる。軍功による聖女認定は初。
〇後期
・ルサレヤ軍がイスタメルを突破。後にモルル川流域まで浸透、聖戦軍は広がった戦線への対応能力を失う。
●3982年
・先の聖戦終結。その三日後に一章一話開始。
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