第361話「襲撃」 キジズ
女子供の悲鳴はどこでも変わらない。高くてキャーギャーヒィャー!
逆手に持った槍で逃げる背中を刺す。強い奴の首じゃないから斬って干す価値はない。
畑は実って収穫時期。村のアレオン人共が畑に出て鎌で刈っているところを囲んで火を放つ。麦の中に隠れた連中を探すのは面倒だから燻り焼き。家も焼く。火矢と松明は使い分け。
逃げる奴は追って背中に矢を突き立てる。銃弾は火薬が勿体ない。矢は出来るだけ回収。
山奥、林の奥まで逃げた奴等まで追わない。どんなことがあったか知らしめる伝令になって貰う。
逃げ遅れはこっちに来いと誘導し、一まとめにしてから棍棒で殴って抵抗を抑え、研いだ匙でツルっと目玉を抉っていく。速度が命。
村一番っぽい女の髪を引っ張って部下に見せる。アレオン女性はハザーサイールの白人黒人と違って顔も髪も晒すのでパっと見て大体外見の程度が分かる。これは美人さんだ! ケツもデカいぞ。
「いいかい男の諸君、こんな美人さんでもチンポコ使っている暇はありません! むしろ堪え性の無いスケベが手を出す前に殺しましょう! 骸騎兵は速さが命!」
『骸騎兵は速さが命!』
短剣で喉を切って、切れ口に指を入れてこじ開けて血を噴出させる。
「こういうことは女の人が率先してやってあげましょう! いいかな!?」
『はーい!』
「キジズ将軍、質問です!」
「はいそこの君!」
「可愛い桃みたいなケツの少年がいたらどうしましょう!?」
「おちんちんにうんちついたらばっちいので駄目です! それ以前に時間も体力も使うから駄目です! 君のチンポコ待ちに部隊を待機させることなんてありません! 誘拐なんてしてたらお馬さんが重荷で疲れます! どうしても我慢出来ないなら妖精さん達から貰った干しまんこでも使って下さい!」
「はい分かりました! チンポコしません!」
「よし次! 早くズバっとやりまくるぞ!」
我が骸騎兵は叫びを上げた。奪った家畜が騒ぎ出す。
■■■
言うこと聞かない悪いアレオン人をやっつけるために骸騎兵は総統閣下よりご命令を戴いた。部隊を分けてエランヤード州をなめるように横断して道行くアレオン人居住区を焼き、適度に殺し、適度に目玉を抉って風のように去っていくこと。適度というのは目につく全て、時間を掛けてまで隅々までは探さない。
恐怖をまき散らす。我々がどこにいるのかも分からない程に混乱させるべく早く進む。彼等に噂が流れた時、東から来た? 西にもいる? どこにいる? となるように。それから潜むアレオン民兵がこうしてああすればこの事態に対処出来る、などと知恵を絞る時間や情報を与えない。
骸騎兵隊三千は両翼中央に別れ、更にそこから百人隊ずつに分かれて浸透突破していく。それぞれの隊にはトゥリーバル軍の伝令が追随していて、一応ちゃんと遅れないでやってきている。
伝令は現地にいるハザーサイール軍との連絡以外にも、あの村はアレオン人の村、あっちの村は入植者の村、などと教えて貰う。そうしないと見分けがつかなくて大変。アレオンの白人面とサイールの白人面は正直違いが分からない。巻き添えしちゃったらごめんなさいだね。
地図を見て村を日に何か所も襲い、城壁で囲ってあるような大きな町には伝令を出し、食糧供給とアレオン人の退去を求める。アレオン人ばかりの町は大体応じない。民族構成が違うと上手くいったりする。少数民族とは仲良ししよう。
求めに応じたらお腹一杯に食べながらアレオン人の目玉を抉る。素早く抉るから間違って眼窩抜いて脳みそ掻いて殺しちゃうけど、仕方が無い。
求めに応じなければ記録だけして素通り。反抗的と記録した町は後続の本隊が虐殺する予定。
食事は町からの供給が無ければ、馬は道で刈った草、略奪した穀物に豆など。植物はお馬さんのためにある。我々が食べる物は別にあって現地調達が基本。素早く確保出来る物に限る。
「今日のご飯は温かく美味しい肉団子鍋だよ!」
「やった!」
「肉団子鍋大好き!」
材料は人間。人間は鈍くて大きいし簡単に狩れるし群れを成していて、顔色とか肌の状態から病気を持っているかどうか結構見分けやすい。血は栄養たっぷりだし、慣れない水でも煮ればお腹を壊さない。磨り潰した肉は消化に良くてお腹に良い。子供が一番美味しい。
先駆けになる骸騎兵は、後続の本隊が必要とする食糧には出来るだけ手をつけないで進む。食人はその手段の一つで経済的。奪った穀物に家畜は残置したり後方へ送って本隊に譲渡。速さが命。
今日まで一緒に走って来た馬は後続の管理部隊に引き渡し、新しい馬を受け取ってまた明日から元気に走る。
交代制で馬上で寝ながら進軍する。移動と休息を兼ねる。馬は寝る時間が短いし、下馬行動に寝させたりと調節出来る。作戦効率を上げていく。
■■■
「お馬さんは!?」
『草を食う! 侵略すればするほど草場が増える!』
「我々は!?」
『人を食う! 侵略すればするほど狩場が増える!』
「略奪は!?」
『侵略すればするほど物が増える!』
「そうすると!?」
『補給が楽になる! 更に侵略出来る!』
「すごくいい!」
音にすると大体、アッギャルボルギャー! と皆が叫ぶ。
三十の百人隊は村を滅ぼし、町を訪ね、横に伝令をやり取りして相互に位置を確認しながらなめるように進んで行く。
柔らかい無数の目標は我々で潰す。これは粗削り。
固くて少ない目標は本隊が潰す。これが本削り。
そして後からやってくる第二、第三、第四陣の仲間達が最終仕上げにアレオンを磨いて綺麗にする。どうもハザーサイール軍の兵士達はこんな簡単なことも出来ないということなので仕方がない。一応後方連絡線の確保はしてくれるらしいけど、何だか頼りない。南大陸の戦いってそんな暇なのか?
次の村に到着。
まずは遠巻きに包囲し、高所を取り、馬の背に乗り、望遠鏡に狙撃眼鏡を使って村人の様子を窺う。民兵化しそうかどうか慎重に見極める。
武器も持たずに畑へ収穫に集団作業に出ていれば丸腰と分かるので簡単だが、そうではないと慎重になる。今回はそうではなかった。
包囲、狙撃準備を整えている中で静かに先駆けの部隊を前進させ、弓矢に刀槍で静かに殺していく。襲撃が察知されるまで出来るだけ数を減らし、相手が気付いたら周囲から狙撃開始。敵の頭を押さえ、その間に家や畑を焼いて炙り出す。
トゥリーバル軍の伝令が降伏勧告を出す。
敵が武装して出てきたら出来るだけ先駆けの部隊は身の安全の確保を第一にして狙撃部隊に任せて敵を減らす。隠れた場所から擲弾矢で爆撃すると戦いは綺麗に進む。
戦意喪失、降伏して村の者達が出て来て並んだら目玉を抉る。きっとどこかに隠れ潜んでいる奴がいるだろうか後はそいつに任せて次へ行く。
「キジズ将軍、本当にこんなことを、アレオンを横断してまで行うんですか?」
「勿論! 総統閣下が何故無敵なのか僕達が教えてあげるよ!」
トゥリーバル軍はちゃんとした戦争を知らないようだから教えてあげないとね。
「骸騎兵のお歌!」
『骸騎兵のお歌!』
姿は髑髏の騎兵隊
既に死して恐れ無き
魂削って鍛えたる
腕は刀で示そうぞ
荒野を渡って幾晩も
敵とあらば追い込める
狩りて集めるその首を
総統閣下に自慢しよう
西の地上を踏みつけて
東の天下に血の雨を
降らせて轟け雷の
急襲吶喊征討歌
世界に冠たる連邦の
最優騎兵は誰なるか
死んでも戦う我々ぞ
風になるまで攻め掛かれ
帝国連邦国外軍。栄えある外征軍。
第一陣は既にトゥリーバル州を立って初めのエランヤード州に入って作戦中。我々はその先駆け。
第二陣はアグラレサルに上陸してから、後からやってくる。
第三陣はイダーンに上陸する予定。第二陣がいきなりこちらへやって来なかったのは受け入れ体制が整っていなかったことと、ハザーサイールの人々への宣撫活動目的。ちょっと回りくどいと思う。
第四陣はこのエランヤード州州都グリガセンに上陸予定。海上の状況に応じて上陸場所はイダーンに変更されるとも。
我々骸騎兵は少なくとも、第四陣がグリガセンにやってくるまでにそこより西へ浸透し、同市に戦力を集中すれば何かしらの妨害が出来るなどという想い付きをさせないようにすること。
全面に襲撃を仕掛けると敵は防衛作戦を練り辛い。どこを集中的に防御すればいいかという判断が難しくなる。
村々を襲うのもそうだが、道行く旅人、行商人もアレオン人と判断したなら襲撃して殺すか目玉を抉っている。荷物は道端に置いておけば後続が回収するか焼却する。
襲撃しながら進んで遂にアレオン第一の大河、ハリカ川に到着。
川沿い、灌漑沿いには農村地帯が大きく繋がって並んでいて壮観。これに対し、連絡を取り合って同時、全面に襲撃を仕掛ける。
見事な畑が焼けて火の海になり、町も焼く。葦を使った建物が多いので良く焼けて楽しい。消火する手を撃ち殺す。
川へ逃げる船は火矢を掛ける程度で追わない。水上騎兵のように操船訓練は受けているが、今は先にやるべきことがある。
アレオン人の大人口密集地帯を襲撃している間にトゥリーバル軍の伝令が対岸へ渡す船の手配をする。大河なので橋など無い。
農村地帯はそれは大層に広く、大分手が掛った。川沿いのせいか密輸業者とも接触しやすいらしく、銃を持って抵抗する農民が今までより多く見られた。
そして敵と勘違いしたハザーサイール軍と対峙し――伝令が仲介することも多いが――一部では戦闘に発展した。
ハザーサイール兵の持つ銃はほとんどが旧式。大砲も旧式。警戒すべきは虫人奴隷騎士の強弓。
骸騎兵の戦闘方法は総統閣下が鍛えた親衛軍騎兵とほぼ同じ。まずは距離を取り、高所を取れるところまで逃げる。追い疲れたり、不利を悟って後退し始めるなど、攻撃の姿勢が緩むまで逃げる。それでも追い付く素早い騎兵は背面騎射で撃ち殺す。
ハザーサイールの馬はルハリ馬の系譜。脚は早くて大きい。大きい分は矢弾が当てやすいし、神経質さも継承していて銃声には多少訓練で慣れていても鏑矢や奇声に驚く。近づけばこちらの人と馬の髑髏面を怖がって怯える。
十分な射撃距離を稼いだら馬の背に立って乗り、更に高さを確保した後に狙撃眼鏡を用いる狙撃部隊が小銃で狙撃。射角を取ってやや曲射になるくらいにして一方的に斉射。奴隷騎士の外骨格だって撃ち抜く。
射撃で打ち負かせて弱らせている間に、予備待機中の別働突撃部隊が接近。底碪式小銃で連射しながら接近し、一部が弓を使って鏑矢の異音で脅して敵人馬の耳を混乱させ、そして衝突前に拳銃一斉発射、それから滅茶苦茶な絶叫を上げて槍騎兵が先頭になって突っ込む。
我々の悪霊のような見た目に敵も敵の馬も慌てて逃げ出す。
「ウッギャホギャー!」
ハザーサイール兵の胸に槍をねじ込んで持ち上げて下して落とす。
逃げる背中を追って槍で突いて殴って馬で潰して追って、散らばる背中へ、弓に切り替えて矢を突き立てまくってトゥリーバルの伝令が仲介に入って、無視して、ハザーサイール軍が大砲も入れた戦列を組んだ列が見えたところで進行方向を変えて追撃を中止。
自分一騎だけで前に出る。
「帝国連邦国外軍少将、骸騎兵隊隊長キジズ! 帝国連邦軍をなめた糞ド馬鹿は誰だろうが殺す!」
■■■
現地のハザーサイール軍の判断だが、ハリカ川の襲撃では何とアレオン人であろうが構わず保護して都市や町の壁の内側へ隠してしまった。出来るだけ避難民の列に射撃に突撃を仕掛けて轢殺してやったのだが数が多くて殺し切れなかった。素早い浸透突破が主目的だったので化学装備をしていなかったことが悔やまれる。
それからハザーサイール軍に捕らえられてしまった一部の我が兵達だが、かのレスリャジンのオルシバ老を見習い、捕まっても敵を殺せの精神で暴れたため帰還率は低かった。相手側は遺体の返還要請には応じた。
壁の内側は我々が手を出す領域ではないが、記録して報告しなければいけない大事件である。イバイヤース皇子という発言力の高い者が総統閣下に同行しているので対処してくれるはずだが……しかし、これは悔しい。
死んだ仲間も悔しかろうと、彼等彼女等を先へ連れていくためにその日、遺体を解体して鍋にして食った。骨は鏃に治した。
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