第337話・第八章までの主要人物、国家

*ネタバレを含みます。いきなり読まない方がよろしいでしょう。

*作中では語られていない設定も少し含まれています。第八章終了時点までのことなので、疑問なところがあれば疑問のままにしておきましょう。

*第一部までの主要人物、国家紹介で説明した箇所の一部は省略します。

*地図は近況ノート参照



〇16年目・秋

 01話:新境天国 ~ 13話:矜持

●17年目・冬

 14話:計画 ~ 19話:峠越え

〇17年目・春

 19話:峠越え ~ 24話:こっちも頑張る

〇17年目・夏

 24話:こっちも頑張る ~ 36話:化身

〇17年目・秋

 37話:龍道、龍脈 ~ 42話:カギ海戦

●18年目・冬

 43話:次の戦い ~ 44話:難儀な戦い

〇18年目・春

 45話:龍人王 ~ 47話:戦後策

〇18年目・夏

 48話:油相撲


●魔神代理領

 龍朝天政南覇軍の奇襲から始まる大戦の結果、領域だけは拡張するも多大な戦費と人的被害を受けて疲弊。魔都中心部焼き討ちによる被害で、永遠に平和な都という信頼を失って価値を下げた。そして何より魔神代理御隠れという衝撃は共同体の未来を暗いものとする。

*魔都

 大河メルナ=ビナウ川が大きく分流する位置に栄える最古級にして最大級の都。龍行軍による襲撃を受けてその中心部の大半が焼き尽くされる。しかし広大な故、都市能力は喪失していない。

*大陸海峡

 かつて繋がっていた南北大陸の陸峡部分が海水位の変動と潮汐で削れ、水没して海峡化。


○????

 魔神代理

 二代目魔神代理。葡萄の蔦のような巨体を持つ。魔なる教えに権威と正統性を与えて暴走を抑制し、魔族の種を管理し、魔都中心部を守護した。火鳳を取り込んでその身体毎何処かへ消える。


○アークブ・カザンの息子ダーハル

 男:ムピア人:魔族

 大宰相

 ハザーサイール帝国最強と謳われる虫人魔族奴隷騎士出身。政治的に保守派。今大戦に上手く対応出来ず、支持は低下している。


○アレメットのバース=マザタール

 男:アレメット人:魔族・ファマール

 魔導評議会議長

 若い頃は神童と呼ばれ、記憶力に優れて今の地位を得た。政治的に保守派。思考の電流の魔術により相手の思考を読み取れる。ミイラに近い姿をしている。


○ハルバハール

 女:魔族

 魔導評議会副議長

 蜘蛛女のような姿をしていて、巣も張れる。乳房が大きい。


○アスタムス

 男:魔族

 親衛軍長官

 四つ目の姿をしている。親衛軍第三軍団を率いて龍行軍を壊滅寸前に追い込んだ。


○ラスマル

 男:魔族

 南大洋大提督

 時代遅れとなった魔神代理領式海軍を憂う。筋骨隆々な四肢に翼の、蝙蝠と竜の中間のような姿。鋼鉄のような硬く重くなる体の魔術を使う。


○シャミール

 男:魔族

 大内海連合州総督

 一時北方総軍司令を任され、新しい形での大規模陸上戦闘の被害規模に衝撃を受ける。つるすべ肌の目の無い手脚付きの魚か蛇のような姿。念動の魔術を使う。


○エスアルフ

 男:魔族

 レスリーン州総督

 武術に優れたが、特別な龍人の身体を持つレン・セジンには一歩及ばず重傷を負った。赤い単眼を持った蛇人間のような姿。睨んだ相手を催眠で麻痺させる魔術を使う。

*レスリーン人

 金猫頭とも呼ばれる。軽快な身のこなしが特長。


○ベリュデイン

 男:魔族・イレイン

 シャクリッド州総督

 若手急進派高級官僚。魔族増加案を推進させ、大宰相位を狙う。繊細な心の割には大胆で、愛国心が高い割にアソリウス島事件の魔族の種取引にも噛んでいて複雑な人物。青い肌の姿。遠距離から素振りの拳で対象を叩き潰す魔術を使う。

*ガジート

 ベリュデインお付きの獣人奴隷筆頭。ヴィラナン人。


○アリファマ

 女:グラスト人:秘術・シッセリアの赤子

 グラスト魔術戦団筆頭術士

 魔族化した胎児を胎に入れ、骨格全体に呪術刻印を入れて金型を嵌るなどの処置で驚異の術力を得た女達の筆頭。今や帝国連邦軍の術戦力からは外せない存在である。


○ラコニオンのイスパルタス

 男:ゴルコ人:魔族・バイクル

 目立った業績を持つわけでもない術帆走技能を持つ水兵。魔族増加の流れに乗って著名な飛び鮫バイクルの力を継承、鮫みたいな頭を獲得。龍道入りの術を会得し、魔都を襲撃した黒龍公主とレン・セジンを討つ金星を挙げる。


○ギーリスの娘セリン

 女:ファルマン人:魔族・アスリルリシェリ

 イスタメル海域提督、マリオル県知事

 タルメシャ沖の海上遊撃戦にて天政海軍を苦しめるも決定打を与えられずに撤退することになった。魔都直撃の際には鋼鉄艦隊編制中のダッスアッルバールから駆け付け、水中からサウ・コーエンの首を取るなど活躍。


○セリンの息子ダーリク=バリド

 男:セレード人

 ベルリクの第二子長男。義母セリンは海軍業務で忙しいのバシィール城で生活中。ふかふかもふもふのナレザギーの奥さんに懐いた。きっと良い趣味になる。


▲帝国連邦

 第二次西方遠征から大返しに間断無く始めた第二次東方遠征を成功させ、伝統的な北大陸遊牧民の領域をほぼ征服し、極東の海の玄関口を得るに至って大成功を収める。魔神代理領との世界を縦に、ランマルカ革命政府との世界を横にする地政学的国際戦略の姿が見えつつある。

*東イラングリ

 主都タルベリク。今回の侵略でイラングリ人はほぼ民族浄化の憂き目に遭う。

*ラグト

 主都アスパルイ。かつてはアッジャール政権に並ぶほどの勢いを誇ったラグト朝の故地。ヘラコム、ベグラト山脈を隔てて東へハイロウへと繋がる。

*ヘラコム山脈

 要衝アイザム峠。北極洋へと注ぐティラール、ルア川、北ハイロウを縦断するユルケレク川の水源地がある。

*ハイロウ

 主都ダシュニル、ダガンドゥ、エンザなど。東西南北、北大陸内陸世界の中継地。帝国連邦軍の侵略と政策により一部荒廃した。南ハイロウ西部はザカルジンが領有。

*カチャ

 主都カチャ。ハイロウに比較すれば小さな都市連合。

*ランダン

 主都トルカント、サルラ、ティーツン。北からハヤンガイ盆地、ランダン盆地、アインバル高原と三分出来る。龍朝天政の避難政策により人口は激減。

*ヒチャト回廊

 ランテャン高原北端部にある峡谷地域。コショル川が流れ、ルラクル湖へと注いでいたが帝国連邦軍による大規模水利工事の末に一流れを西から東に変えられた。戦後はルラクル湖利用に戻される。

*チュリ=アリダス

 主都カラトゥル。チュリ=アリダス川流域の都市連合。南方にあるオング高原が南への通行を切断する。トンフォ山脈を隔てて東へウラマトイへと繋がる。

*オング高原

 非常に険しい山岳地帯。南北を分ける分水嶺近辺は特に険しく、軍隊どころか冒険者すら寄せ付けないほど。アリダス川の水源地。

*トンフォ山脈

 要衝センチェリン峠。北大陸中央と東側世界を分ける。

*ウラマトイ

 主都タラハム。遊牧民の中では最も天政文化を受け入れていた。

*旧白北道

 主都ユービェン、ジューヤン。天政内地ながら気候は草原地帯。南部は後レン朝が領有。

*旧外北藩

 主都キルハン、ヤレンハル、エヌアギ。ガルハフト、マドルハイの土地はユンハル族が獲得。

*ユンハル

 北極圏に近く、広大であるが大都市は無い。

*ユロン高原

 一時は名前を消されていた名前をユロン族が復活させた。尚双方の名の由来は人物に拠るが、全く別時代の別人物。トウ江、エーラン、アシュキ川の水源地。

*ウレンベレ

 エーラン川河口部の港湾都市。極東諸民族の交易の中心地でもある。帝国連邦初の本格的な海洋港でもある。光復党から脅迫して奪い取った。

*ハイバル半島

 ハイバル軍がゾレン族とビルチャン族を征服して獲得した、未開発ながら広大な土地。最高峰の山の名前がブットイマルス。かっこいい。

*北極圏

 小リョルト王子率いる北極開拓団の探検によりほぼ北大陸沿岸部の全容が明らかになってきている。西からルア、ティラール、チュリ=アリダス、ティラール、ゴイ=ホウボウ川、五つの大河口部を発見。毛象もいるよ!


○ベルリク=カラバザル・グルツァラザツク・レスリャジン

 男:セレード人

 総統、ウルンダル王

 主人公。降りた幸運を掴んで離さず己の帝国連邦を三倍近く拡張させることに成功した。また内部統制の強化、民族練成の推進も同時に行った。死傷率が激烈に増加した新たな戦場でさえ懲りずに指揮官先頭にて突撃を繰り返し、それでもまだ血に飢えている。


○ザラ=ソルトミシュ・グルツァラザツク・レスリャジン

 女:セレード人

 ベルリクの第一子長女。知性の高さを母から受け継いだのか、幼くして新しい弟に詩的に彗星くんと名付ける。かしこい。


○ベルリク=マハーリール・グルツァラザツク・レスリャジン

 男:セレード人

 ベルリクの第四子次男。マハーリールとは彗星の意。まだまだうんこ垂れ。


○アクファル

 女:レスリャジン人

 総統秘書、親衛千人隊隊長代理

 ベルリクの慧眼により生きた人間が嫌いということが判明。遂に三十歳を過ぎても処女なので霊媒師にクラスチェンジしてしまった。霊媒方法は髑髏腹話術。


○カイウルク

 男:レスリャジン人

 レスリャジン部族頭領代理

 イスタメル土着貴族筆頭ラハーリ・ワスラヴの娘との間に生まれた子供を彼の後継者に推してかの地への影響力増大を画策する。


○オルシバ

 男:レスリャジン人

 レスリャジン部族の長老格

 カイウルクの父。サウ・エルゥ当時参将暗殺を目論見、半ば成功したが蘇生に等しい龍人化までは見通せなった。現場にいたザリュッゲンバークに殺害される。


〇ギーリスの娘ルーキーヤ

 女:ファルマン人

 極東艦隊司令

 マザキの裏番ならぬ裏公、海軍の女大将だった。ファスラ艦隊の助けがあってマザキ陥落直前に海軍要員等を六千名以上連れて脱出、帝国連邦へ逃れて海軍創設を主導する。

*シラハリ・ハルアキ

 シラハリ家の三男。殺人出来る度胸はある。


○ラシージ

 マトラ妖精

 軍務省長官

 鉄道開通からの電撃訪問で機密情報をベルリクに告げ、ついでに極東から戦後政策を、電信を使って各部と連絡してまとめてしまった。やっぱり親分だね!


○ルドゥ

 男:マトラ妖精

 親衛偵察隊隊長

 まるで大砲による間接、曲射砲撃でも行うような施条銃による超遠距離銃撃を行う観測技術を会得して戦術に貢献。馴虎を毛皮にしたりもした。


○ゼクラグ

 男:マトラ妖精

 シャルキク方面軍司令

 北方軍集団や南方総軍司令という重役を戦時拝命。遂にはラシージ軍務長官の後継にと内定する。指揮下に入った南ハイロウ軍に対しては無慈悲に対応し、彼等は敵や味方の死骸を食らいながら絶望的な突撃を繰り返して遂に消滅へ至った。ゼっくんがそれに対して良心の呵責を覚えるわけがなかった。


〇ボレス

 男:マトラ妖精

 マトラ方面軍司令

 南方軍集団司令を戦時拝命。高地管理委員会軍事部長に就任する可能性有り。


○ジュレンカ

 女:リャジニ妖精

 ワゾレ方面軍司令

 戦後、第二教導団司令に内定。精神不安定な女帝レン・ソルヒンを手懐け、ほぼ傀儡化することに成功した。百年後の未来には化け狐とか呼ばれているかもしれない。


○ゲサイル

 男:マトラ妖精

 中央軍砲兵司令

 戦後、陸軍大学教官に内定。帝国連邦軍東征の火力指揮を担う。ウレンベレより先ずランイェレンへの鉄道延伸指示を出すことで終戦間際最後の突撃を成功させた。


○ストレム

 男:マトラ妖精

 ユドルム臨時大統領、ユドルム方面軍司令

 主にアイザム峠突破時に活躍。国外軍砲兵司令に内定。サニツァにとってはちっちゃいストっくんおにいちゃん。


○ナシュカ

 女:アウル妖精

 料理長

 相変わらずご飯が美味しい。

*給仕の古参

 タンタンが好きな妖精の子。ナシュカの許可でニクール専属へ転職。


○サニツァ・ブットイマルス

 女:イスタメル人

 特命作業員

 ヒチャト回廊ではウータイマースーの名で恐れられた。特務巡撫レン・セジンの抹殺、新コショル川の開削、峠道における重砲運搬、肉団子鍋による脅迫などなど英雄に相応しい大活躍。


○ジールト・ブットイマルス

 男:ヤゴール人

 大陸浪人

 サニツァの義理の息子。北極妖精との交渉、ハイバル軍の誘導、ユロン族勧誘、極東探検で活躍。痒い所に手が届く仕事をした。

*第二部番外編

 があれば具体的な活躍が見られる。


○メハレム

 男:ギーレイ族

 大陸浪人

 ジールトの相棒。にくきゅうと言うと怒る。


○ルサレヤ

 女:古スライフィール人:魔族・ゴルゴド

 魔法長官、秘書局局長、総統代理

 自らを老害的な保守派と気付いて落ち込む。ダガンドゥでは後方総軍司令として、官僚時代の影響力も使って魔神代理領軍との折衷を行い、兵站面においては大過無く作戦を遂行させた。

*本流派

 魔なる教えの正統派とも言える。時代や情勢に合わせて教条的にならず、柔軟に対応しつつ次代へ繋げようという考え。魔神代理という象徴を保障にしている。

*法典派

 ハザーサイール、ジャーヴァル北部で主流。教条的にしない本流派に反し、あえて魔なる教えを条文化しようという試みをしている。

*開悟派

 神秘主義。繰り返す読経や動作などで瞑想状態に入って魔なる教えを理屈ではない段階から悟ろうとする。精神の安定を目指し、何か解決方法を導き出そうという考えではない。


○ナレザギー

 男:メルカプール人

 財務長官、持ち会社組織の長

 魔神代理領共同体の経済危機につけ込んで貿易の寡占化などを図って成功した悪い奴。

*フルース

 第一子長男。毛玉ちゃん。


〇ガユニ

 女:サスカチュル人

 ナレザギーの奥さん。ふかふかでもふもふのサスカチュル美人。現実世界で言うところのアディゲ美人くらいの感じ。


○ニクール

 男:ギーレイ人

 ギーレイのガロダモ、黒旅団長

 ルサレヤの筆頭獣人奴隷より老いて引退すると言ってからも現役が長かったが、遂に過酷な第二次東方遠征で心が折れた。


○クセルヤータ

 男:竜族(飛竜)

 竜跨隊隊長

 アクファルの相棒。実はベルリクが今まで飲んできたコーヒーはクセルヤータのうんこだったんだよ!

*シャーシール

 身体が大きいがまだ飛行可能な程度の年寄り。驚異的な肺活量からの咆哮が強烈。多少魔術が入る。

*バルミスド

 若くて身軽。愛称バッドくん。

*バイアルル

 空中射撃の名手。彼を真似した竜が天政軍による対空射撃で多く落命。


○シレンサル

 男:アッジャール人

 ウルンダル世襲宰相

 ラグト方面の調略、アイザム峠突破時に主に活躍。突撃時に隻腕となるが、むしろ弁舌が冴え渡るとした。ベルリクに心酔。


○クトゥルナム

 男:ケリュン人

 極東方面軍司令、極東軍区司令、ウレンベレ特別市市長

 大きな肩書を複数ベルリクより渡され、実質極東における総統代理となる。ほぼ不可能だったアクファルとの結婚への挑戦は終わり、危ない弟を持つ世界屈指の美女キアルマイと結婚することになった。


○トゥルシャズ

 女:ケリュン人

 クトゥルナムの補佐

 極東に移って役職は実質解かれた状態。これからは息子を盛り立てる。


〇ハイバル

 男:ランダン人

 ハイバル王

 実は恩義ある主君ウズバラクを裏切った、お姉ちゃん大好きの少年。離反の功績によりハイバル部族の名乗りを許可され、北オング高原調略、ユロン族との交渉、極東諸族との交渉や戦闘を経てほぼ未開発の極東にハイバル王国を建国する。ジールトの協力無しでは不可能だった。

*ウズバラク

 ランダン王。ベルリクに比して弱く、目をかけたハイバルの頭がおかしかったことを見抜けなかった以外はあまり問題が無かった。剥製にされる。

*キアルマイ

 ハイバルの超美人の姉。ウズバラクの妻の一人だったので一応未亡人。クゥトルナムと結婚する。

*ブラツァン族

 アシュキ川沿岸部に住み、ウレンベレ建設をする程度の力はある。帝国連邦内で自治管区を名乗れる。

*ガムゲン族

 アシュキ川北東部に住む。傭兵ぐらいしか外貨獲得手段を持たない。帝国連邦内で自治管区を名乗れる。

*カルウェジ族

 エーラン川水源地周辺に住んでいたが時勢を読めず、民族浄化される。

*ゾレン族

 アシュキ川以東に住む。ハイバル軍に滅ぼされる。

*ビルチャン族

 北大陸最東端に住む少数部族の総称。ハイバル軍に吸収される。


○サヤンバル

 男:ラグト人

 ムンガル王

 ラグト王を目指していたが政治的妥協によるムンガル王となる。そしてベルリクの挑発に乗り、カチャ突撃時に戦死。


○カランハール

 男:プラヌール人

 イラングリ王

 戦中にイラングリ王に昇格。陸軍大学騎兵科への招致案がある。


○アズリアル=ベラムト

 男:ヤシュート人

 水上騎兵軍集団司令

 ヤシュート王位を捨てて水上騎兵軍集団司令に専念することになった。


○ニリシュ

 男:チャグル人

 チャグル王、イラングリ方面軍司令

 主に極東作戦時に活躍。国外軍における人間代表を予定。


〇ユディグ

 男:ラグト人

 ラグト王

 バルハギン統の一人で歴とした王号を持つ者は彼の他にゼオルギ=イスハシルだけ。アイザム峠突破時に敵中離反にて天政軍を動揺させる。


〇イランフ

 男:ユンハル人

 ユンハル王

 センチェリン峠攻略時に帝国連邦軍に寝返り、極東作戦を有利に進める。ランイェレン突撃時に四肢欠損の重傷を負い、動揺し、それを周囲に悟られまいとした近従に絞殺される。名誉の失墜は無かった。


〇フルシャドゥ

 男:ユロン人

 ユロン王

 ユロン高原の名前を復活させた男。既に老齢で実権はほぼ息子達に譲っている。ランイェレン突撃時に脚を損失し、それでも輿に乗って突撃して名声を高めた。


○”変な”デルム

 男:ダグシヴァル人

 ダグシヴァル王、第ニ山岳師団”ダグシヴァル”師団長

 みなし獣人党の筆頭。ダグシヴァル族一の商売上手。先見の明があり、王号の陳腐化を見越して高地管理委員会という官僚組織を創設し、国家内国家たる山岳帝国構想を持つ。


○リョルト

 男:フレク人

 フレク王、第三砲兵師団”フレク”師団長

 みなし獣人党の一角。未開発の北極圏を極地管理委員会という組織で掌握しようとする。


〇小リョルト

 男:フレク人

 フレク王太子、北極開拓団団長

 北大陸極東東端を除いて北極沿岸部を探索した。北極妖精の帝国連邦参加、毛象の獲得など功績大。

*北極妖精

 北極に住む妖精。最上位妖精、指導者は現在確認されていない。

*毛象

 いわゆるマンモス。本作では家畜化可能な気性ということになっている。


○マリムメラク

 男:チェシュヴァン人

 チェシュヴァン王、第四建設師団”チェシュヴァン”師団長

 みなし獣人党の一角。主都開発委員会という組織で帝国連邦中枢に大きな影響力を及ぼそうとしている。


〇テイセン・ファイユン

 女:文明人:魔族・ヘイクン

 ダシュニル共和国大統領、三北界節度使

 下半身が大蛇の姿を取る異形。敵の侵略に対しまたもや降伏してしまい、その涙を流して人民を助けて欲しいという姿でベルリクを興奮させる。天政の理にて内地である三北界を割譲する方便を実現させるため、両国からの肩書を得る。政府ではなく人民に忠誠心が向いているタイプ。


○バフル・ラサド

 男:ハイロウ人

 宇宙太平団教主、南ハイロウ軍司令

 南ハイロウ人民を助けるため、布華融蛮策推進のために降将となってゼクラグの指揮下に入り、敵や仲間の肉を食らってまで地獄のような突撃を繰り返した。戦後間もなく肉体と精神の疲労が祟って衰弱死。


▲ザカルジン大王国

 複数種類の自然環境に恵まれた資源豊かな土地で、何でも揃っているが特に石油とワインが名産。南北に魔神代理領、遊牧帝国、東西にヴァララリ山地、大内海という障害があって領域拡大の機会が今まで訪れなかった。今大戦では北部旧中立地帯とヴァララリ山地東側を獲得。帝国連邦からの技術導入で発展の見込みがある。

*旧中立地帯

 第一次東方遠征時にザカルジンとラグトの間に儲けられた非武装地帯。

*ヴァララリ山地

 要衝はストルリリ峠。大内海世界とハイロウ世界の境界線。


〇ダディオレ

 男:ザカルジン人

 大王

 王号乱発される昨今、その号に埋もれぬために帝号は無理だったが大王号を中央政府に認めさせた。


〇レブフ

 男:ザカルジン人

 王太子

 父に代わって前線にて軍指揮を執るなど、後継者として権勢ある振る舞いをしている。


▲ジャーヴァル帝国

 始祖を魔帝イレインとする王朝。元より宗教民族種族が混ぜこぜになっている上にシャワ、タンバワ州に加えてアルジャーデュル地方の創設併合からプラブリー西部の武力占領まで行い、その影響から、開戦前には既に問題があった宮廷内部での混乱に拍車が掛かっている。領域は稀に見る程に大拡張したものの、統治が伴っているとは言えず過剰。

*シャワ州

 広義のタルメシャ地方最西端。

*タンバワ州

 シャワ州の東隣の地方。西から向かえばタルメシャ沿岸航路と南洋諸島航路に分かれる交通の要衝。

*アルジャーデュル

 旧イディル=アッジャール朝残党政権が支配していたアルワザン、ジャラマガン、デュルガン三国の名前から取って新規に括られた地方。ザシンダル藩王タスーブ率いるジャーヴァル軍が武力制圧をしたものの、支配権、権益を巡って宮廷闘争の場となった。


〇ケテラレイト

 男:ジャーヴァル人:魔族・ケファール

 臨時皇帝

 額から必殺破壊光線を放つ、神の如きケファールの力の継承者。魔族の半不朽性を厭われ臨時皇帝という肩書になっている。異形から見た目も神々しく、戦闘能力も突出しているが政治闘争には疎い模様。


〇ザハールーン

 男:ジャーヴァル人

 皇太子

 ケテラレイト帝の孫とザシンダル藩王妹ネフティの息子。ジャーヴァルとパシャンダ統合の象徴として期待されているがまだ若く、魔族故に未だに元気な偉大なる曽祖父に比べると著しく見劣りする。


〇シンラーブ

 男:メルカプール人

 メルカプール王太子

 ナレザギーの兄。狩猟や自然石集めなど野外活動は好む。現代火力戦を導入したメルカプール軍指揮官ということで大軍を任されるも戦争は好まず、性格も温厚。武芸には秀で、人形のように人の骨を掴んで砕く握力がある。


○チェカミザル

 男:アウル最上位妖精

 アウル藩王、妖精軍管区大代表、赤帽党党首

 副々主人公。熱き血潮が赤い先端部に充血して赤熱して魂が燃えるチンポのデカい男。霊力高らかに特に理由も無く銃砲弾が当たらず、毒瓦斯も効かないし、爪先だけで水平に身体を保てる。特技は相撲。股間に神が宿る。


▲ファスラ艦隊

 魔神代理領所属独立軍事集団の一つ。海賊、私掠船団。利益よりも名声を第一とする行動規範を持ち、真に命知らずで、南洋に生きる海の男達の憧れでもある。普段は一隻で行動するが、大仕事になれば兄弟艦を募って艦隊となる。


〇ギーリスの息子ファスラ

 男:ファルマン人

 頭領

 恥を捨てることにより武芸の極みの一つに達した男。チェカミザルよりはチンポが小さい。

*ヘリューファ

 天然霊獣に分類される鯱、雌。賢くて可愛い。


〇アラジ

 男:ヒルヴァフカ人

 参謀、会計

 博物学者でもあり、頭脳労働全般の何でも屋で料理も医療も出来る。少女好きの変態――イスカに挑発されても自制出来る――であること、戦闘要員ではないこと以外は完璧に近い。


〇マーシム

 男:ファルマン人

 ファルマンの魔王号船長

 ファスラ艦隊旗艦ファルマンの魔王号を指揮する。尋常ではない操船能力がある。船の持ち主はファスラ。


〇ヒナオキ・シゲヒロ

 男:アマナ人

 ファルマンの魔王号陸戦指揮官

 副主人公。負傷で身体が萎えたが勉強と修練により只の武辺者から、数か国語を操り、部隊指揮を執れる者にまで成長。捨て身覚悟で秘術式短剣を使って海龍と刺し違え、瀕死のところを霊洋艦隊の龍人に拾われ、黒龍公主へ献上され、ほぼ脳髄だけになるまで骨肉を削がれて人型龍再現の実験体にされた。ファスラよりはチンポが小さい。

*竜大陸

 ホドリゴ命名。竜類を中心に南北、新大陸とは大きく異なる生物相が見られる。


〇ギーリスの曾孫ファスラの孫イスカ

 女:ファルマン人

 ファルマンの魔王号乗員

 非常に高確率でファスラの孫である、とされる。顔と身のこなし、性格の明るさに下品さからほぼ確実。ホドリゴからの求婚を受けたが船を降りて家庭に入る気は当然無い。ベルリク・セリン方式な次に何時会えるか分からない別居婚。


▲ハザーサイール帝国

 今大戦では一番に遠隔地ということもあり直接参戦はしなかったが、その分魔神代理領が発行する国債を購入。ロシエ、アレオンとの間に問題を抱えており、軍事費が増大、経済危機を迎える気配がある。


〇イバイヤース

 男:サイール人

 皇子

 トゥリーバルの土人形使いの異名で知られ、先の聖戦では猛威を奮った術使い。英雄なので人気があり、実力も確かだが国の事情により皇太子候補ではない。


●ファイード朝

 タルメシャ沖、南洋諸島の大半を支配する海上帝国。本島ガシリタ。戦中は中立国として魔神代理領、龍朝天政との中継貿易拠点としても活動。ただ中継貿易を行ったり、廃れつつある海賊業を支援するだけではなく国内開発を進めて南洋物産を多く輸出する。


〇ギーリスの息子ファイード

 男:ファルマン人

 王の中の王

 多種多様な文化を持つ南洋諸島を血族で統一しようと無数の妻を娶る。その子供達は帝国を支える官僚や代官として養成される。インダラ人などを獣人奴隷として召し抱え、教育し、直接戦争をしないが他国へ送り込んで領域を拡大するような手段も取る。魔神代理領内では屈指の油相撲の使い手。ハゲ。


▲インダラ国

 ニビシュドラ島南部で独立を果たした国。長らくギバオ政権ニビシュドラ王国による圧制を受けていたがファイード王が支援し、赤帽軍が侵攻することで解放された。領域内の人間は皆殺しとなった。

*カピリ国

 ニビシュドラ島南沖にあるカピリ島で独立したインダラの姉妹国。


〇スパンダ

 男:インダラ人

 インダラ・カピリ解放軍将軍

 ファイード王の元高級奴隷。インダラ・カピリ兵を率いて両国を独立へ導いた。ガマンチワ信奉者で生贄の儀式を心得る。赤帽党名誉党員。

*インダラ人

 火食い鳥頭。頑強な脚を持ち、不整地走行を得意にする。蹴りの一撃は素人でも人間を殺せる。

*カピリ人

 風鳥頭。美しい極彩色の羽を持ち、商品として輸出される程であった。

*ガマンチワ

 異形の魔女、南天占星術の祖、星海教の信仰対象であり、運命を曲げる予言を下すとされる。

*スクスルタリ

 ザガンラジャードとガマンチワの息子とされる新しい神。火力を司る。

*ヤトパ

 台風や洪水、津波などの風や水にまつわる災害の神。


●プラブリー国

 かつてタルメシャ帝国で、今は名乗りだけの没落の、しかし領域はそれでも広大な南洋の大国。白猿のタルメシャ人を王族、聖職階級とし、赤猿のプラブリー人が戦士階級、その他種族を平民、奴隷階級とするような階層構造社会で主に成り立っている。交通の不便から都市毎の独立性が高く、指導者の資質によって簡単に離合集散する癖がある。


●後レン朝天政

 一度分裂したレン朝が諸々滅んでから復活したので後レン朝とする。領域は、旧金北道と金南道の北部、ジン江北岸の旧白北道南部に限られる。内部では天軍の女帝派、旧東王軍残党の光復党派に分かれている。また独力での存続が不可能なので事実上、帝国連邦の属国となっている。


〇レン・ソルヒン

 女:文明人

 天子

 レン家の分家、東王家から出た姫。人質という立場から精神が不安定になり、お家再興最後の希望であったレン・セジンが死んだと思い込み、激して纏軍を扇動して反乱を起こして天軍を名乗って軍事蜂起。光復党軍を半ば乗っ取る形でレン朝復古を宣言、東王の都イェンベンにて即位した。政務能力は無いので象徴として君臨。現在、ジュレンカがなだめすかして傀儡にしている。ベルリクの政治的妹存在。


〇リュ・ドルホン

 男:文明人

 光復大臣

 海軍出身。混沌とした、しかし単独ならば均衡が取れた思想の光復党を作り上げて勢力を旗揚げ、帝国連邦の侵略を利用して建国を目指すがレン・ソルヒンの激情的な天軍蜂起により計画が破綻。天子に次ぐ地位の光復大臣、首相に任命されて実権を握ってはいるもの、粛清には常に怯えなければいけない立場である。

*光復党

 求心力を得るためにレン朝復古を掲げ、統一感を出すために黄陽拳という宗教拳法を取り入れ、ランマルカから支援を取り付けるために一部共和革命思想も取り込むというキメラ思想の結社。


●龍朝天政

 電撃的な海上奇襲作戦により一挙に西とプラブリー以外の核心的なタルメシャ地方を掌握、魔神代理領の影響力を排除して獲得したものの、これまた電撃的な冬季奇襲作戦から始まる帝国連邦の東征を受けて支配していた遊牧圏を失ってしまった上に、後レン朝とインダラ、カピリ国の独立まで許してしまう。しかし未だに有り余る人口と発展する重工業により列強たる地位の喪失には繋がっていない。

*龍道

 現実世界とは異なる広漠とした極端な地形が広がる。空には赤い雲のようなものが覆っており、太陽ではない何かが光源として存在しているもよう。天政では地域を限って霊山呼称のみを使っていたが、全世界的な広がりが確認されたことで龍道教からその広義的な呼称を輸入。

*霊山

 龍道世界における黒龍公主が管理してきた地域の伝統的呼称。位置はヤンルーが中心。龍と呼ばれる古代生物の骨や木乃伊が良く発掘される。

*龍脈

 龍道世界から物理的に繋がっていないと思われるが、術にて移動可能な赤い泥のようなもので構成される不思議の、無数に分岐する隧道。龍道を進む際の近道、迂回路に利用出来る。

*東海道

 道都リャンワン。東岸部統括。

*南海道

 道都ブイカン。南岸部統括。

*両金道

 金は東の方角色。北道都モンリマ、南道都イェンベンだったが失陥によりワイジュンへ遷る。サイシン半島、ジュンサン島の維持には成功したが金南道の北側まで失う。

*両紺道

 紺は南の方角色。東道都ファンコウ、西道都ヨウシー。

*両朱道

 朱は西の方角色。東道都ジャンシェン、西道都ユワンメン。フォル江水源の集結地。軍事拠点としてはウェイドが中心部。アインバル領だったシュレ川以東とバルラ市を新たに加える。

*両白道

 白は北の方角色。北道都ガンチョウ、南道都ニンファー。ジン江線により都の失陥は免れたがその以北、白北道のほとんどを失陥。

*両碧道

 碧は中央の方角色。左(北)道都インシェ、右(南)道都シャンライ。ジン江線の西側タルヘ・ブラブン川線の失陥を免れた。

*直隷道

 首都(京)ヤンルー直轄地。オウレン盆地で構成。長期開催中の文化照覧会は連日大盛況。

*新境道

 天政の新大陸西岸植民地。道都ランジュウ。ランマルカによって滅ぼされる。

*外南藩

 藩都バイハイ。中原と南洋世界の境界統括。

*外西藩

 藩都オグァン。西域のランテャン、ツァンヤル高原統括。ヒチャト回廊部を失陥。

*ニビシュドラ

 冊封国。王都ギバオ。ニビシュドラ本島、カピリ島、プアンパタラ諸島などで構成されたが、インダラ、カピリ国独立により本島南部、カピリ島を失陥。

*シンルウ

 冊封国。王都バンエンホン。主要民族は牛頭の、筋力で何事も解決する性質のシンルウ人。国技は相撲。

*バッサムー

 冊封国。王都マランバン。主要民族は象頭の、万物の教えにより原子量、つまり体重の重さで何事も解決する性質のバッサムー人。国技は相撲。

*パラマ

 冊封国。東タルメシャ海における一大海洋交易都市国家。南覇軍司令部が置かれる。

*ナコーラー

 冊封国。王都ロイエ。北のプラブリー国から圧迫を受けている。

*カンダラーム

 冊封国。代表都市カンダラーム。他冊封国と違って都市国家連合。南洋大陸航路の要衝、カンダラーム海峡を抱える。

*ラノ

 冊封国。王都モンミャン。ジャーヴァル帝国に併合されたタンバワ州と国境を接する。


○????

 女:龍人

 黒龍公主

 約五千年の時を生きると目される最も古い龍人。並の方術使いでは理解すら及ばぬ域に達し、それは仙術とも呼ばれる。それに加えて白面龍王と同じ言葉を喋れる可能性があるなど謎が多い。クソババア。

*龍人

 魔族化の要領で、龍の木乃伊と人間を反応させて変化させる。

*獣の神

 無数の獣が食らい交じり合ったような異形。獣の丘にて御神体として祀られていたものを黒龍公主が略奪。取り込んだ獣と人間を合成するという能力を持つ。尚、神聖教会の聖職者達に明かされた応用方法は一部。

*人型龍の再現

 獣の神を使い、人型龍の木乃伊と身体を削いだ人間を合成して作り出す龍人。

*虹雀

 人工霊獣。極彩色の雀科の姿。伝言、伝令の仕事をこなし、長距離高速飛行が可能。

*蛇龍

 人工霊獣。蛇のような蜥蜴のような、所謂龍の姿。水域における騎獣として使える。

*馴虎

 人工霊獣。白黒縞の虎の姿。犬のように懐き、調教可能。

*鉄亀

 人工霊獣。巨大な陸亀の姿。生物としてはあるまじき程に頑丈で登攀能力も高い。岩すら食べる雑食の極み。

*海龍

 龍鯨とも呼ばれる。水竜のリンから作られた人工霊獣。水竜としての原型は良く観察しないと分からない鯨のような巨体を持ち、その体重からの体当たりは軍艦を撃沈出来る程。ファスラ艦隊との戦いで死亡。

*火鳳

 天然霊獣である奉文号から作られた強化霊獣。己の命をも燃やし尽くす高熱の巨大な炎を撒き散らすため、遠隔の加害目的地へ運ぶためには高度な術にて一時、卵として封印する必要があった。魔都中心部を焼却融解させている最中に魔神代理に捕まり、消える。

*ム・ヤン

 エン朝の元将軍、龍行軍を総指揮した龍人。サニツァには片腕をもがれた。魔都の戦いでは過労、高血圧などでそのもがれた古傷が開き、出血死。


〇レン・セジン

 男:文明人・龍人

 龍人王、特務巡撫

 副主人公。東服、特務巡撫として各地を駆け回り、五回も死んで反魂受肉の術にてその度に復活して英雄伝説を積み上げ、最後には黒龍公主と政略結婚をし、シャンルを養子に迎えて後レン朝の正統性に決定的打撃を与えた。多才な人物で気分の浮き沈みが大きく、高貴なる者の義務を自覚する変態王子。年上、巨大な乳房の女性が苦手。

*レン・シャンル

 レン家の分家、東王家から出た王子で最後の男系男子。セジンの義理の息子となり、可愛がられている。

*ファン・ドウ・フウ

 セジンの秘書に相当。シンルウ出身の人間で南洋文化などに明るい。見た目が恐ろしく冴えない中年。


〇オン・グジン

 男:文明人・龍人

 セジンの近従、東護巡撫

 セジンの父の代からお家に仕え、坊ちゃまには幼少の頃から付き従っている老臣。軍出身。


〇ルオ・シラン

 男:文明人・龍人

 南覇巡撫

 天政無双と謂われる。南洋作戦を主導し、今大戦を引き起こした当人。北陸作戦の敗退までは予想、対処が出来なかった。方術にて工業製品を作り、文化照覧会に出品。


〇サウ・エルゥ

 男:文明人・龍人

 西克巡撫

 副々主人公。賞賛され難い消極、焦土戦術にて天政にとって致命的な失点を回避した。長期に対応する強力な辺境防衛組織や国内統制強化策を練り出し、目前と後の危機を遠ざける。妹のツェンリーより人間味や可愛げが無い。

*符術

 方術構成に必要な具体的な想像力を助ける情景を詩句にして紙片に書き、それを読んで多少は未熟な方術士でも定型、安定的に発動させる技術。木網、火噴、耕土、金茨、浄水、送風、繁茂、妨害、遠隔補助などが主に使われている。


〇サウ・ツェンリー

 女:文明人・龍人

 北征巡撫

 天政においては黒龍公主に継ぐ方術の使い手。遂に悲願であったレン家皇族の象徴君主化に成功する。十年以上不眠不休の鉄人であったが遂に一瞬居眠りをしてしまった。方術にて異形の植物を作り、文化照覧会に出品。趣味は盆栽。

*公安号

 大犬の天然霊獣。ツェンリーの忠犬。障害を負ってからは半ば引退をしている。

*サウ・コーエン

 ツェンリーの親戚、龍人。北征、西克、龍行、各軍の将軍を務め、便利にあちこちで使われる。魔都の戦いではセリンに首を刎ねられる。


〇ハン・ジュカン

 男:文明人

 商人

 商才ある元、前レン朝の丞相。引退後は実家の商家を盛り立て、セジンを通じて政府と連携し、大龍銀船艦隊の成功からは東側世界屈指の大商人となる。

*ハン・アンスウ

 ジュカンの息子。タルメシャ方面にて父の名代として活躍。


〇クワダット

 男:ギバオ人

 ニビシュドラ王太子

 セジンの勇姿に当てられ覚醒した。赤帽軍、インダラ・カピリ軍の猛攻の最中で隻腕となるも陣頭指揮を継続し、ギバオ政権中核までの侵攻を防ぐ。


●鎮護体制アマナ

 トマイを本山とする龍道寺を宗教的権威とし、国家の鎮護を権力者にして筆頭武家たる鎮護将軍として委託し、更にその鎮護将軍が各州へ名代として鎮護代を派遣する構造。鎮護将軍が東西に現れてからの長い内戦を経て、マザキという反抗的な大鎮護代を下し、労農一揆という鎮護体制そのものを滅ぼそうとする共和革命派との長い戦いが始まった。龍朝天政からの強力な支援を取り付けると同時に海上権益はほぼ失われた。

*南国

 主にアタラ川以西からマダツ海東部の地域。統制が緩く、装備も旧式で弱兵が多い。

*西国

 主にムツゴ以西、旧大鎮護代のシラハリが統一していた地域。帝国連邦式軍を採用した洋装兵はカザイ流雑兵殺法を習得しており末端まで強兵。鎮護体制に対して独立機運が高い。

*中国

 トマイ、クモイからムツゴ以東までの地域。お山と鎮護将軍の権威の影響が強く、統制は強め。龍朝天政式装備を導入し始めた。


〇キサギ

 男:トマイ人・即身転生

 大僧正

 トマイの本山、龍道寺の最高位。内戦へ僧兵を持って大々的に介入する決断を下す。戦場にて両脚を失ってからは以前のような穏やかな精神を保てなくなった。海上権益に対する理解は余りなく、セジンから提案された遷界令すら受け入れている。

*トマイ人

 烏頭。アマナでは山岳住民、聖職者階級として存在する。身のこなしは軽快。伝統的に山の民として金属加工技術にも優れる。

*龍道教

 天政から龍教がもたらされてアマナで変化したもの。龍自体を祀るような大陸と違い、龍道を、シンザの脱道まではあるかどうかすら分かっていなかった神秘の道を探求するための修行が中心。道の探求という発想から精神の探求へと転じ、一般大衆の精神的安堵を受け持つに至った。龍道への入り口には巨石が目印に存在する。

*小龍言経

 龍が話したとされる言葉を断片的に記録した経典。失われた言語を学ぶ以上の物ではないが、神秘的な呪文として理解出来ぬ者の精神に作用する言葉として扱われてしまっている。その言葉はトマイ人でなければ発声出来ないとされる。

*滅入経

 龍道教では死者の魂は龍道へ入るとされる。本来は葬式などで唱えられるが、内戦では相手の士気をくじくような軍事的利用がされた。

*即身転生

 尊鬼と呼ばれる、白羽の異形となった木乃伊を使ってトマイ人を変化させる術。魔族の種の利用に相当する。術は諸尊鬼集会(しゅうえ)の間で行われる。

*守護尊鬼

 尊鬼の中でも偉大とされ、崇拝されるアバガン、メイオン、クロウン、ザイグン、ガシャエンの五体。それぞれ象徴的な姿にて像や絵にされ、御利益があるとされる。


〇シンザ

 男:トマイ人・即身転生

 鎮護総督

 副々主人公。行き方は分かっても戻り方の分からない、自殺と同等であった龍道入りから六十年以上の探求を行い、記録上初めて帰還した人物。アマナ帰還後はキサギから、お山にて今は無用な宗教的権威にならぬようにと戦場へ出されてしまった。オン・グジンの指導もあり、戦の才能を開花させる。謙虚で驕らず、頭を下げるのに躊躇しない。

*白面龍王

 龍道を彷徨う、青紫の鱗、腕が一対、翼が一対、脚が二対、尻尾が一本、長い首の先に白い顔の怪物。龍の言葉を話し、明らかに知性がある。シンザを捕らえ、放り投げて龍道から追い出した。


〇アバシラ・ドウモン

 男:アマナ人

 鎮護将軍

 先代までの西軍鎮護将軍家であったカバナ家を乗っ取った由緒怪しい人物。

*フルクシ・トウカイ

 アザカリ鎮護代。

*ヨナガラ・ソンイク

 東軍鎮護将軍ヨナガラ・ソンコクの息子。労農一揆に本拠ネヤハタを奪われ、西軍鎮護将軍側に亡命することで東軍が消滅する。


〇シラハリ・ハルカツ

 男:アマナ人

 マザキ鎮護代

 古くは大海賊ギーリスと繋がり、ルーキーヤを妻に迎えてマザキを強国として発展させた。一時は西国統一をほぼ果たし、大鎮護代とも呼ぶべき権力者であった。内戦にて鎮護軍に対して劣勢となり、最期には長男ハルタダに降伏の印として首を落されて差し出されるがこれも策。骸になっても意志を残す。

*シラハリ・ハルタダ

 シラハリ家長男。親殺しからの降伏の後、鎮護将軍ではなく鎮護総督の名の元でマザキ鎮護代職を継ぐ。敗戦から一転、降将になったが十分な兵力を保ち、鎮護軍の中では最有力となった。

*シラハリ・エンヨウ

 ハセナリ鎮護代。ハルカツの従兄弟。

*カザイ・イッカン

 マザキにてカザイ流武術から発展させた雑兵殺法を編み出し、末端の兵士達の戦闘能力を底上げした。


●リュウトウ

 交易拠点アクノ。現地に主だった有力政権は無い。人魚と会話、交易が出来るとする伝統呪術的な人間が少数住むのみである。


●ランマルカ革命政府

 北大陸極東部にまで進出し、極東打通を成し遂げた帝国連邦と合わせて惑星横断戦略に繋げた。新大陸北部をほぼ影響圏に収め、極東にはクイム、労農一揆アマナといった確固とした橋頭堡を確保する。


〇アドワル

 男:ランマルカ妖精

 大陸宣教師

 北大陸極東担当。惑星横断戦略を成功に導く。


○ピエター

 男:ランマルカ妖精

 大陸宣教師

 愛称お豆。獣の丘部族連合担当から龍朝天政駐在外交官のような立場になる。黒龍公主の可愛い子ちゃんとして可愛がられ、術か何かで洗脳されているようにも見える。


○大尉

 男:ランマルカ妖精:亜神・猿

 陸軍大尉

 認識番号八番の赤毛猿。東服巡撫だったセジンの頭を空中から狙撃、撃ち抜いた。

*花の巫女

 女:ペセトト妖精:亜神・鳥

 通称”鳥”。大尉さんの彼女なので、掴んで空を一緒に飛んでいた。


▲クイム人民共和国

 クイム島のクイム妖精による政府。革命で打倒するような特権階級は無かった。ランマルカ式の政府、軍備を進めている。


〇ナマラアッペ

 男:クイム妖精

 元帥

 クイム人民共和国代表。アマナ語で表現される”偉大なる将軍様”呼称は、鎮護将軍に相当する役職という表現なのでおかしなところは何もない。


▲労農一揆アマナ

 ランマルカ革命政府からの扇動や支援を受けた、武家、僧侶など特権階級に不満を持つ農民が起こした反乱軍。反乱を続ける内に殺害対象であるはずの特権階級を知識層として取り込んだり、身内同士で殺し合いをしたりと組織として発展、粛清を繰り返している。

*東国

 トマイ、クモイ以東、アタラ川以東の地域。旧東軍との激戦で血塗れになっている。

*北国

 アマナ本島の北側に突き出た部分。労農一揆の本拠。

*カギ島

 西国に含まれる。カギ海戦の折にファスラ艦隊が占拠し、占領統治がランマルカ東大洋艦隊に引き継がれ、それが労農一揆傘下に入る。


▲獣の丘部族連合

 龍朝天政による獣の丘への軍事干渉、獣の神略奪を受けて方針転換し、ランマルカ革命政府へ服属することを決定。新大陸遊牧民等と合わせ、革新人類連邦構想へと進む。

*獣の丘

 黒龍公主の策略により、象徴たる獣の神を略奪される。元の安置場所、丘の縦穴の中は自然に龍道と現実世界が繋がる不思議の場所であった。


●神聖教会

 対ロシエ戦争後は影響力、経済力が弱体へ向かっている。エデルトとは逆に龍朝天政には霊獣などの技術を学びに人を出した。


〇ジョアンリ・オスカーニ

 男:フラル人

 聖皇

 役職上の名乗りはレミナス八世。龍朝天政へ訪問団を組織して赴き、黒龍公主からは霊獣作成の知識を、セジンからは三顧の礼の後に聖典に登場する幻想的な存在を描いた絵を入手。それらと手にある聖遺物や不朽体を使って何か画策している。

*不朽体

 神聖教会における魔族の種に相当。

*エーラン帝国

 西側世界の古代帝国。魔神代理領弱体の隙に拡大して大国化。寒冷期の異民族流入に対応出来ず崩壊して神聖教会に乗っ取られた。


●エスナル王国

 新大陸南端、暴風暗礁海域を突破するための世界周航艦隊を派遣。ホドリゴによる、個人としての世界初の周航達成を確認して再度派遣。作中ではガシリタ島にまで至り、艦隊としての世界初の周航が成功しそうである。本国ではロシエの政治干渉、ランマルカとの和平案などが浮かびあっていて政情は不安定。


〇ホドリゴ・エルバテス・メレーリア・アイバー

 男:エスナル人

 世界周航艦隊提督

 世界周航のための冒険航海に挑む男。イスカには竜大陸で救われ、もう一度戻って来て再会した時にはエスナル的な情熱でもって求婚して成功。赤帽軍帰還事業の手伝いはファスラ艦隊への恩義もあるが、魔神代理領の港を安全快適に使わせて貰うという下心もある。


●エデルト=セレード連合王国

 東側最大の脅威、帝国連邦に対抗するために龍朝天政に陸海軍事顧問団を派遣して世界最新標準の兵器製造技術を伝え、今大戦での惨敗を回避させる。

*ズィーヴァレント

 新大陸南部東岸にあるエデルト領植民地。

*ブエルボル

 南大陸南部にあるエデルト領植民地。


〇ラーズレク・アルギヴェン

 男:エデルト人

 退役海軍大将

 エデルトの王弟。軍事顧問団、外交部の代表を務める。楽しいお話をしてくれる爺さん。


〇エルマルト=アランドレク・ザリュッゲンバーク

 男:カラミエ人

 陸軍中将、ルーレバングル男爵

 軍事顧問団の陸軍代表。驃騎兵出身の元士官学校校長でベルリクは教え子に当たる。エデルト的な相手の機先を制する電撃戦論者だが、昨今はその論の通りに軍が動いていない様子。


○イレキシ・カルタリゲン

 男:ハリキ人

 海軍中佐

 海軍情報局員。和平条約締結のための随行員として今回は活動。思い出し笑いにてセジンの怒りの矛先を曲げる。

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