第252話「酷い、でも」 サニツァ
「ゼっくん、お仕事は?」
「ここでは出番が無い」
イスタメルからちょっと西に国境を出たところにあるイスルツって都市をマトラ人民義勇軍六万五千! レスリャジン部族軍一万人隊! のすっごい数で包囲してたけど、そんな大人数で掛かっても仕方ないから包囲担当部隊だけ残して先へ進む。
何万人もの兵隊さんにお馬さんに荷物沢山の車と一杯数えられないぐらいの大砲! 偉い指揮官さん達があっちこっちで部隊をぐるぐる動かしてて、蟻の行列どころじゃなくて掻き回してぐるぐるになってる水みたい。行列がたくさんあっちこっち、ぐるぐるもたくさんあっちもこっちも。これは野営地での水汲みと便所穴掘りが大変だぞ!
オトマク暦千七百七十三年、ズィブラーン暦三千九百九十一年、革命暦四十四年、蒼天暦六百六十六年の夏。遂に虐められっぱなしだったマトラが、今まで虐めてた連中におっきく仕返しする日が来た! 悪い奴等をやっつける! 五年くらい前まではどうにかして生き残ろうって悩んでばっかりだったけど、今日から大逆転! マトラの大逆襲の始まりだ! マトラのお歌に”幾万と耐えてより、銃剣持ちて塹壕から出よ”ってあるけど、正にこれ!
ただちょっと、マトラ自治共和国旗とレスリャジン部族旗を掲げているのはいいんだけど、何故か聖戦軍旗も掲げているし、アタナクト派のお坊さんとかが従軍している。味方の良い聖戦軍と、昔にイスタメルとマトラを襲って来た悪い聖戦軍がいるのかな?
ゼっくんが乗るお馬さんの首を撫でながら聞いてみる。
「ねえゼっくん、良い聖戦軍と悪い聖戦軍がいるの?」
「聖戦軍は、聖皇の名の下に聖戦軍指揮権を持つ者が指定する対象へ向け、賛同する神聖教会圏諸勢力が結成する連合軍が征伐戦争を仕掛ける枠組みだ」
「うん?」
「昔に我々を襲ってきた聖戦軍は敵で、今日一緒に敵を倒す聖戦軍は味方だ。昔の敵が今日は味方だっただけだ。中身は多少違うが」
「そうなんだ! じゃあ、やっつける悪い奴等って何なの?」
「神聖教会は聖領と俗領の重複を解消したくてこの戦争を始めたそうだ。それに乗っかるエデルトは自称”北領”が欲しいらしい。傭兵である我々は莫大な報酬の代わりにその願いを叶えてやる」
「傭兵!? うっそー!」
傭兵ってとってもとっても悪くてすっごく悪い奴等で見つけたら直ぐにブットイマルスしてぐちゃぐちゃの縄でぐるぐるの柱から吊り下げて皆こんなことダメって目せしめにしないとダメダメな連中じゃなかったの?
「報酬は二の次で我々の目的は、この強大な軍で敵を撃滅して神聖教会圏、引いては世界にマトラ軍の威容を示すことにある。新式装備の新編軍の能力実証も兼ねる。これにより影響圏を拡大して世界に散らばり、不遇の身に甘んじている同胞を救い出し、結集し、更に強大なマトラを目指す。我々と聖戦軍の目的は違うが、こと手段に関してはしばらく同一となる。手を組んで戦争を仕掛けない理由が無い。所詮は他人の戦争であるが、現状では自分達で大規模戦争を仕掛ける状況を作れないという事情もある」
「ゼっくん、むずかしいよ」
「マトラ防衛のために手段を選ばない。間違っているか?」
「間違ってない、よね」
「マトラ防衛がなればミリアンナもジールトも安心して暮らせるし、毎日食事が摂れる」
「それは絶対正解!」
「マトラ防衛のためには、今は遠征軍を組織して定められた敵に恐ろしい破壊を与える必要がある。手段を選ばず戦う必要がある。サニツァは、防衛のため、子供達のために戦えるか?」
「このブットイマルスが敵を粉砕する!」
どんな敵でも一撃粉砕ぐっちゃぐちゃのバッキバキにするブットイマルスを掲げる。
「そういうことだ」
疑問が解けて、何だか心が晴れやか一杯。ブットイマルスを掲げて「わー!」って叫ぶ。
軍楽隊の皆が楽しい演奏を始めて、皆で楽しいお歌を歌う。
我等は無敗の人民軍
その旗は腸(わた)に突き立ち翻る!
暗闇でも、嵐でも、一時も休まず、
我らは戦い続ける!
命令せよベルリク
雷鳴の如く、速攻を仕掛けろ!
我等は人民軍
全てを差し出そう!
我等の勝利の大元帥
その拳を振り上げ『突撃に進めぇ!』
包囲下でも、野戦でも、閣下の側には、
親分ラシージがいる!
命令せよベルリク
暴風の如く、鉄火を浴びせろ!
我等は人民軍
全てを差し出そう!
我等が誉れの大遠征
その銃(つつ)で敵に撃ち掛け滅ぼす!
荒野でも、吹雪でも、銃剣を並べ、
人食い豚のッ! 心臓へッ! 食らわせろ!
命令せよベルリク
災禍の如く、軍靴を進めろ!
我等は人民軍
全てを差し出そう!
・間奏
命令せよベルリク
行こう、盟友レスリャジン!
我等は人民軍
次なる戦場へェー!
・短い間奏
我等に行けぬ土地は無し
その足は血潮に濡れそぼる!
未知でも、彼方でも、火砲を揃え、
無慈悲に撃ち放て!
命令せよベルリク
烈火の如く、灰燼を降らせろ!
我等は人民軍
全てを差し出そう!
・歌無しで一番空演奏
『わー!』
って皆が叫ぶ。拡声器を持った隊列監督官さんが大声を上げて、皆が合わせる。
「敵軍粉砕!」
『敵軍粉砕!』
「攻撃前進!」
『攻撃前進!』
「制圧進撃!」
『制圧進撃!』
「革命万歳!」
『革命万歳!』
「祖国に栄光!」
『祖国に栄光!』
「盟友助けろ!」
『盟友助けろ!』
「マトラに勝利!」
『マトラに勝利!」
「同胞助けろ!」
『同胞助けろ!』
「人食い豚をぶっ殺せ!」
『人食い豚をぶっ殺せ!』
楽しい! やっぱり戦争ってお祭りだよね。
イスルツの方から大砲の音が鳴っている。
■■■
それからちょっとして、イスルツ側から伝令が来て「イスルツ初日で陥落!」だって! すごい、早い、楽しい!
独立第一保安旅団の兵隊さん達がしばらくイスルツを占領管理して、聖なる民兵の神聖公安軍と後で交代するんだって。聖なる民兵? ……武器を持ったお坊さんとか兄弟姉妹だねきっと。
イスルツを基点に遠征軍は行く道を分かれた。
複数の行く道の先へは斥候と斥候狩りの騎兵軍が派遣されて、橋と道路を確保しつつ、敵にこちらの侵略を可能な限り察知させず、奇襲効果を持続させたまま進軍させるお手伝い。”敵の言葉より早く走れ”ってバルハギンさんの戦略だね。カイウルくんが指揮して、レスリャジン、スラーギィ、ムンガル、カラチゲイ、プラヌール千人隊と二個独立山岳歩兵大隊の皆。都市攻略は後回しにするからどんどん先に行っちゃうみたい。
第一、二、四師団はフェレツーナを目指す。
ぷにぷにボレスさんの第三師団は北進してラーム川を越え、フュルストラヴ公領の要衝セナボン市を攻略しに行く。独立工兵旅団、独立第一保安旅団――は遅れて行くみたい――アベタル千人隊、スタルヴィイ千人隊が随行する。そのセナボン攻略の軍はラシージ親分さんが総指揮を執る。
■■■
フェレツーナを前にしてまた軍を分割する。
ゾルブ司令さんの第一師団はそのままフェレツーナを攻略開始。頭領さんは分遣旅団を編制して連れて北側、反抗的なユーグフォルク男爵を中心にする勢力を攻略しに行く。見せしめに焼討虐殺になるらしいよ。
こちらゼっくんが総指揮をする軍は、第二師団とジュレンカちゃんの四師団、グウェニャフ・ポドロヅィツァの族長さん率いるシトプカ千人隊と、イフラディロ・グダルチュイの族長さん率いるフダウェイ千人隊、独立補給旅団で構成。ゼっくん軍は沿岸街道に入るため、サウゾ川沿いに南下する。
サウゾ川は途中で東に支流のロズニカ川に分かれ、そこを下るとイスタメルのシェレヴィンツァまで行けるんだって。この川を勢力圏に入れれば船でイスタメルから荷物を沢山運び込めるみたいで、海からそのまま遡上することも出来るんだって。川ってあちこちに流れててすごいよね。
ジャーヴァル商人さんが補給物資をたくさん載せた輸送船を、第一陣は夏の初めに、本格的にいっぱい運んでくる第二陣は秋にやってくるらしい。予定ではシェレヴィンツァに入港して、ロズニカ川を遡ったり、陸路に分けたりして運んでくるらしい。
輸送船の予定はそうなんだけど、ゼっくんは「秋を前に十分な規模の荷揚げ港を取れれば尚良い。ファランキアとペシュチュリアの二港を取る」って言ってた。
ゼっくん軍が次に目指すのはファランキア。前からイスタメルの海軍さんとは戦ったりして仲は悪いみたい。
その道の途中、フェルシッタって都市の近くに野営地を作って休む。このフェルシッタ共和国は聖戦軍に賛同する人達。
人数分の水を汲もうって思ったら、フェルシッタの人達が汲んで用意していた。
便所穴をいっぱい掘ろうって思ったら、フェルシッタの兵隊さん達が掘っていた。
仕事があんまり無い。ファランキアの道中に聖戦軍に賛同しない都市があるらしいんだけど、この界隈はフェルシッタの傭兵さん達や、海岸沿いにずーっと修道騎士団の騎士さん達の海軍が抑えるんだって。ダヌアの悪魔着て襲撃とかしなくていいらしい。
それじゃあご飯作るの手伝おうっかなぁ、って思って炊事班のところに行ったら、フェルシッタの人達が作ったパンとかがどっさり積まれてた。遊牧民の人達から「お前はいいから休んでろ」って言われちゃったし。ますます仕事が無い。
やること無いからゼっくんの傍にいる。うーん、身辺警護!
フェルシッタの傭兵隊長のアデロ=アンベル・ストラニョーラさんがゼっくんとお話しをしている。傭兵って言えばすっごく悪い奴等なんだけど、フェルシッタの傭兵さんは、その辺のイナゴみたいな乞食と違って妻も子供もいる立派な、名誉を重んじる市民兵なんだって! 仕事が無い時期に持て余した国防力を外貨獲得に使うような形式の傭兵だから、今のマトラ人民義勇軍と似てるらしいよ。良い傭兵さんだ。
ストラニョーラさんはフェルシッタ共和国総督の娘婿でもあり、顔も服も喋り方も落ち着いた、頭が良さそうな貴族さんみたいな感じ。
「ファランキアとその同盟勢力が出せる最大戦力について意見が聞きたい」
「ファランキア市と属領合わせて人口は四十万前後。正規市民兵は歩兵四千、騎兵一千、水兵は大小四十隻分程度。非正規兵なら二万は出せるでしょう。これに傭兵が加われば、現状だと二千程度集れば良い方かと。同盟都市が万全に応援に駆けつけるのならば……少々難しいですね。都市の守りは放棄しないでしょうから、良くて二千、でしょうか。艦隊なら十隻が限界かと」
「非正規兵の錬度は?」
「健康な男、という程度です。銃も撃ったことがない者が大半でしょう。退役した兵士や出稼ぎに出ていない傭兵のような連中もいるでしょうが、数える程ではないかと」
「そんなに動員数が少ないのか? 敵を過小評価していないか」
「それは、あのですね、噂で聞きましたが、アッジャール戦争の時に人口五十万程度で完全武装の軍を十万揃えたとかいうマトラの彼方達とは、それは比較になりませんよ」
「むう。仮に敵が、都市防衛に野戦軍を出すとなれば規模は? 今の話だと二万程度か?」
「いえいえ、そんなには。えー、都市の守備部隊を残して出すでしょうから多く見積もって一万程度でしょう。非正規兵のほとんどは門の内側までしか勇気が持続しません」
「水兵を陸戦隊に出せばもっと出るだろう」
「海上は騎士団海軍がいますので船はそんなに手隙に出来ません。商用に出ている船もいますし、船上で戦うのならともかく、小銃を持って陸で戦列組めるような者となれば海兵隊が……全部揃えても五百人程度ですかね。徴用、奴隷水夫は使ってないですから監視役はそんなにいません」
「こちらは神聖公安軍や君達などを除いても三万二千だ。偵察が下手でも彼我の差は分かる規模だ。野戦には出ないで篭城する可能性が高いと思うが、どうか?」
「この沿岸地域は要衝になるような高地はありません。移動を妨げるような湿地帯はありますが街道沿いにはあまりありません。干拓が進みましたからね。少数で多数を相手にしやすいという地形がありません」
「城攻めになりそうだな」
「ファランキア市の人口は三十万。要塞も近代化されていますし、海に面しているので海軍と連携も取れる。水濠も海水が通っていて橋が落とされると突入は困難。港を封鎖出来なければ数十年でも篭城出来るでしょう」
「工夫がいるな。ペシュチュリアが援軍を寄越す可能性は? この界隈では大規模な野戦に耐える戦力を出せる都市はファランキアかペシュチュリアと聞いたが」
「その話も傭兵が順当に集ればという話になりますね。ペシュチュリアはファランキアより、いつもなら大量に動員出来ますが、まあ、援軍は出さないでしょう。ほぼ有り得ません」
「何故だ」
「損得で考えて、割りに合いませんから」
「そんなものか。危機意識に疑問を抱くな」
「事情が違いますよ。そちらのように種の存続をかけた戦いではありませんから」
「なるほど。参考になった」
ストラニョーラさん以外の傭兵隊長さんとのお話し合いもある。紹介された外国の妖精傭兵さんで、ヒルド同胞団の隊長のヒルドさん。
「戦闘への参加は後でもいい。行動範囲全てに渡って傭兵に限らず同胞達を集めて部隊を構成しろ。鹵獲装備だけではなく、余裕があればこちらの新式装備も渡す。戦争終了次第それからマトラに参加しろ」
「ゼクラグ将軍、ちょっとそりゃいきなり強引過ぎるんじゃないですか。こき使った挙句料金踏み倒すって風に聞こえますよ。人間でも一応、金払ってくれるってのに」
ゼっくんに大して妖精さんが口答えするのはあんまり見たことないかも。外国の妖精さんだから?
「最上位同胞の指示でなければ聞けないとでも言う気か?」
「いや、いやいや。最上位同胞にそんな手間をかけさせる気はない。分かった。指揮下に入ります」
「やり方は任せる。まずは戦闘ではなく予備戦力の充実を行え」
「は、了解しました!」
あれ? 態度がコロっと変わっちゃった。不思議。
■■■
フェルシッタを出発してまた軍を分けて行動する。
ジュレンカちゃんの第四師団はペシュチュリアの属領都市を各個攻略しつつ、ペシュチュリアなどの外勢力の干渉を監視する。南部の都市はそれぞれが基本的には独立して、都市一つで一つの国家みたいな形。ファランキア、ペシュチュリアみたいな大都市勢力になるとその周辺に属領小都市とか町とか村がたくさんあって、ある程度は面での領域を確保している。ただ属領と言っても主従関係はあるんだけど絶対服従の隷属関係ではないから、中央の都市がお前等死ぬまで戦え、戦争に全財産注ぎ込めとかって無茶っぽい指示は絶対に聞かないらしい。それで個別に各所の長と、武力を交えて交渉すれば中央の都市の状況に拘わらず降伏させられるみたい。降伏させる場合はその後の面倒を見る勢力がいないと弱小都市とかの場合は不安で仕方がないから、面倒を見る役目は神聖教会がする。降伏勧告と手続きも神聖教会のお坊さんがする。マトラとレスリャジンの軍隊はお前等、死か降伏か選べ! って脅して回るのが基本になるみたいだよ。
シトプカとフダウェイの二個千人隊はファランキア勢力圏内の街道封鎖を行う。伝令、斥候を狩って、都市間の物流も阻止する。戦争に向けて各地から集る、まだ組織化前の敵の兵士を最小単位で各個撃破するのもお仕事。部隊として結束した千人の敵を一度に相手するのは難しいけど、一人の敵を千回相手にするのは手間が掛かるけど簡単。街道封鎖のお仕事のおまけにやるお仕事だから手間が掛かるって感じじゃないみたい。まず敵に戦力の集中をさせない、動員そのものすら真っ当にさせない。そして連合しそうな複数勢力の一つを確実に切り落としていって、その複数勢力間に連合する雰囲気を作らせない。やっぱりバルハギンさんの”敵の言葉より早く走れ”だね! こういうことはゼっくんみたいな将軍さんが実行するけど、考えたのは親分さんとか頭領さんらしいよ。賢い!
第四師団も二つの千人隊もそれぞれのお仕事をしながら、もう一つ、ファランキアの都市を包囲するゼっくん直属の第二師団のために戦術資材を集めてくれている。
海に面したファランキア。北から見れば赤い屋根の街が綺麗で三角形の防塁が幾つも重なり、都市中心部を城壁がぐるっと囲んでて、その影の向こう側にはお日様キラキラの綺麗な海の波が光ってキラキラ! カモメがミャー? キュー? って鳴いている。南からの風は潮の香りがしてくっさいの! 昔にマリオルで見た海がこれ! アレハンガンの何か灰色のどんよりぐろぐろした海じゃない。このキラキラのアオアオだよ!
第二師団の兵隊さん達がファランキアを包囲する陣形を素早く整える。自分は手間が掛かる大砲の移動を手伝う。今日はあんまり見たことのない、火箭って弾頭付きの――色分けして種類がいくつかある――長い竿を縦横いっぱい、蜂の巣みたいに四角に並べられる発射装置と、一本ずつ発射する装置の設置も手伝った。大砲と違って別々にすればあんまり重たくないから手伝わなくても良かったかも。
聖なる神の祝福あれ
聖なる神の祝福あれ
聖なる教えを私は今日も信じる
聖なる教えを私は今日も信じる
聖オトマクからの信仰を貫く
聖オトマクからの信仰を貫く
諸人募りて礼拝へ来たれ
諸人募りて礼拝へ来たれ
篤き正しき信者こそ招かれん
篤き正しき信者こそ招かれん
教会の扉は開かれた
教会の扉は開かれた
聖なる教えを私は今日も信じる
包囲陣形を整えている時に綺麗な声で、男の人の礼拝呼びかけが聞こえてくる。従軍しているお坊さんとかその護衛、お手伝いさん達が祈祷に入る。
自分はどうしようっかなぁって思ったけど、お仕事が終わったあとの休憩時間にやればいいやって思ってその時は止めておいた。
包囲陣形が整う前にファランキアへ降伏交渉に行ったお坊さんが戻ってくる。
「ファランキア総督は数日、考えたいとのことです」
お坊さんがそう言うとゼっくんは直ぐに反応。
「伝令」
「は!」
「砲兵に通達、砲台を粉砕せよ。工兵隊に通達、焼夷弾頭重火箭を壁内に一発以上着弾させよ」
「復唱します。砲兵に通達、砲台を粉砕せよ。工兵隊に通達、焼夷弾頭重火箭を壁内に一発以上着弾させよ」
「以上だ」
「は!」
それから直ぐに第二砲兵連隊の新式施条砲四十門がファランキアの防塁、城壁の砲台に砲撃を開始。
屋根の無い砲台は、観測射撃を少ししてからの榴弾射撃で直ぐに破壊。火薬に誘爆してあっという間にあちこちから火柱が上がって、黒と赤の毒キノコみたいな煙が出来る。敵の砲兵が瓦礫と一緒に吹っ飛んだり、火事をどうしようって右往左往。恐くてしゃがんじゃったりしている人もいる。
土や石、コンクリートでガチガチに固めた砲台を壊すのは難しいんだけど、観測射で照準を合わせた複数の大砲が、旗信号に合わせた同時一斉実体弾射撃を一つの砲台に集中、同時着弾させて一回で粉々に粉砕! その旗を振るってるのは砲兵指揮官のストっくんだよ! すごい! いっぱい訓練して、レン朝ってところでも実戦で学んで出来るようになったんだって!
砲兵さんがファランキアの砲台を手早く破壊。そうしている間にも工兵さんも働く。一本ずつ発射する台から焼夷弾頭重火箭が発射される。バシュシュバ! って感じで煙を吹いて飛んで、風に流されて、浜風に煽られて? 真っ直ぐ飛ばないで左にずれちゃって防塁に着弾。キノコの煙と炎が出来て、燃え続けて黒煙をずっとモクモク出し続ける。敵が消火しようと水を掛けると、不思議に火が燃え広がって逆に強くなった。油を使う料理を燃やしちゃって、慌てて水を掛けると一気に燃え広がるのと同じだね。
それから工兵さんは風を呼んで修正を繰り返して、四発目でやっと都市中心部に着弾。黒煙のモクモクが壁の内側でも空に昇るから目印になって見える。その修正情報を元に、今度は第八噴進砲兵連隊の重火箭連続発射装置が照準を定め、発射台が反動で暴れないように杭と綱で地面に固定される。こっちは通常の炸裂弾頭。焼夷弾頭は誘爆率が高いから一斉発射は技術的に危険らしい。
遂に連続発射装置の導火線に点火がされて、それぞれの重火箭の弾頭に続々と火が点いて連続発射! 発射発煙発火、飛翔。バシュシュバヒューン!
次々ド派手に点火発射点火発射点火発射に重火箭が飛んで発射台がグラグラ揺れて煙が噴いて回ってグルグルボーボー、あちこちにデタラメに飛んで煙が壁か虹の橋みたいになって、何も無いところ、防塁、市街地の両方に次々と雨みたいに着弾、爆発! 爆発が何回も繰り返す。
あっちもこっちもドカンドカンって爆発、ファランキア北側中が火と煙と埃塗れになって爆風がそれをあちこちに掻き回す。
砲兵と工兵の成果を確認してから、もう一回、煙と炎が燻ってる道をお坊さんが行って降伏勧告をしに行く。即時に返答が無ければ即時に戻ってくるようにってゼっくんが指導。
お坊さんが言われたとおりに直ぐに戻ってくる。
「砲撃の混乱で、その話がちゃんと通っているか怪しい状況です。返事は即時には頂けません」
「伝令」
「は!」
「情報部に通達。特殊戦術資材を加工して精神効果兵器にし、投入して降伏を促せ」
「復唱します。情報部に通達。特殊戦術資材を加工して精神効果兵器にし、投入して降伏を促せ」
「以上だ」
「は!」
次はファランキア属領中から集められた民間人の出番。お坊さん達が泣きそうな顔になって、泣いている人もいて、聖なる神様にお祈りの言葉を唱え始める。
百人につき九十九人の、お爺さんお婆さんにお父さんお母さんにお兄ちゃんお姉ちゃんにちっちゃい男の子に女の子も合わせて両方の目を刳り貫いて縄で縛って繋げた行列を、目が無事な男の人一人が縄を引いて九十九人を引いてファランキアを目指す。まず一組目。皆、目が無くなって痛くて悲しくて泣いている。涙は分からないけど、血が涙みたいに黒っぽい眼窩がから流れて頬に跡が出来ている。これが精神効果兵器。
兵器? って思うけど、軍馬も兵器って括りに出来るかもって思えば兵器かも。
お坊さんが泣きながらゼっくんに詰め寄る。暴力振るおうとしたらいけないから肩を掴んで途中で止める。潰さないように加減するの難しいかも。
「ゼクラグ将軍! これは人道に悖りますぞ!」
「抗議をしたければ最高責任者のラシージ若しくはベルリク=カラバザルに言え。これは定型化された我々の戦法の一つだ。上位命令で中止がされればそれに従う。指揮系統に従え」
「現場の、最前線指揮官はあなたでしょう!?」
「私の判断ではこれで良しとする。否定出来るのは指揮系統上の上位者だ。この場での訴えは何ら意味を成さない」
「しかし、酷過ぎる!」
「いや、やさしい」
「やさしい!?」
「これは寛大な措置だ。降伏を拒否するのならば焼き尽くして住民を皆殺しにしなくてはならない。降伏を先延ばしにすることは我々の貴重な時間を削り、攻撃と同じであるから手を緩める理由にならない。だからこれはやさしい、寛大な措置だ。三十万の殺害と百人に満たない負傷者を天秤に掛ける気か? 理解したかね」
「でも酷い……」
酷い、でもやさしいよね。
「サニツァ、お前に仕事だ」
「分かった! サニャーキに何でもお任せだよ」
ゼっくんから貰ったお仕事は、ファランキア北門の手前あたり、都市の人達から見える感じで大きな杭を立てること。
杭を立てたら、属領から連行してきた有力者、貴族さんとか商人さんとかをその杭の先っちょに、縄で縛って動けなくしてから座らせる。殺さない。自分の体重でちょっとずつ、ズブズブって感じで杭の先端が身体に入っていくから直ぐに死なない。最初の内は悲鳴をあげてるけど、その内に震えて唸るぐらいになる。
貫通させて正に串刺しって感じにするかどうかは杭の先端処理次第だけど、そこはサニャーキが一工夫! 今回は鈍い感じにしたから腐るまで貫通しない。だから早めに降伏してくれたら救助出来て死なないかもしれない。ゼっくんの指示にはちゃんと従った上での工夫。目的は殺すことじゃなくて脅すこと。精神効果。
この杭刺しで杭に座ったのは有力者の人、男の旦那さん方。その家族の女の人とか子供達にはその様子を見学させる。作業が終わったら、子供達は人質に残して女の人達だけをファランキアへ行かせる。
これで降伏しないと大変なことになっちゃうよって、ちゃんとファランキアの人達に教えて、分かっていなくても分からせてあげる。助かる機会を与えるなんて凄く寛大だよね。ゼっくんって、何だかぶっきらぼうな感じに見えるけどやっぱりやさしいから大好き!
「早く降伏しないと大変になっちゃうから説得頑張ってね!」
って応援してあげたら睨まれちゃった。鈍くして助かるように、やさしくしたのにね? 何でだろ。フラル語を改めて、妖精さんの将校さん方とちゃんとお勉強したんだけど、訛って変に聞こえちゃった?
お仕事が一通り終わって時間が出来たから、聖なる神様へのお祈りを、膝を突いて手を合わせてする。
「んにゃにゃにゃ……」
えーと、今日もミーちゃんとジーくんが仲良くしてお腹いっぱい食べられますように。次は、ゼっくんのお仕事が上手くいきますように。しばらく見て無いけど、ダラガンくんのお仕事が順調にいきますように。それから自分はお仕事を真面目にきちんと頑張ります。
魔なる神様は……イスタメルの外だから聞こえないかも。うーん……皆、仲良しになれますように。
蒼天の神様ってどうするんだっけ? 空を拝んで、えーと、風だ! ご先祖様方、サニツァは恥ずかしいことの無いように働いています。養子だけど子供も元気に育ってます。
ジュレンカちゃんの言ってた救世の神様がちょっと分からない。聖なる神、魔なる神に次いでいつか世を救いに来るらしんだけど。うーん、出来るだけ早く、でも無理はしないでいつか皆を救って下さい。皆お腹いっぱいが良いと思います。
ザガンラジャードの神様! どう祈れば良いんだろ? ナシュカちゃんは「あ? あんなもん適当にしとけ」って言ってたけど。うーん、神様の性格から、まずは皆楽しく、だね。それから立ち塞がるものを粉砕するって神様でもあるらしいから、これからの軍事作戦が上手くいきますように、だね。
■■■
それからちょっとして、ファランキア総督のおっちゃんがやってきて降伏した。その証に城門の鍵をゼっくんに渡す。有力者の人達も助かった。即死しなかっただけの人もいるかもしれないけど、それは軍事作戦だから仕方ないよね。
ファランキアの戦後処理は後からやってきたフェルシッタ傭兵団と孫請けに雇われた別の傭兵に任せて、包囲陣を解いて先を急ぐ。
次はペシュチュリア……って思ったんだけど、攻撃する前にペシュチュリアより、神聖教会へ強力に協力するという打診があったんだって。だから目標を変更、次はヴァリアグリ方伯領を攻略。
ここで軍の行き先がまた分かれる。
ジュレンカちゃんの第四師団とシトプカとフダウェイの千人隊、独立補給旅団は現地で集めた妖精さん達は陸路でロベセダ地方に向かう。ファランキアから北西の方角。
ゼっくん直属の第二師団は海路で、ファランキア港からヴァリアグリ湾を渡って直接ヴァリアグリ方伯領に上陸する。
船を出してくれるところはたくさんあって、槍と秘跡探求修道会、聖都巡礼守護結社、穢れ無き聖パドリス記念騎士団、スコルタ島浄化救済の尖兵修道会とかの修道騎士海軍さん。聖皇領海軍さん。ゼカ公国海軍さん。エデルト海軍にアソリウス島海軍さん。ジャーヴァルの狐さんの商船団。ちょっと遅れるけどペシュチュリア海軍さんに、今すぐに出れるのは降伏したファランキア海軍さん。
船に大砲を積み込む作業は勿論、サニャーキが大活躍! 「サニツァはとっても力持ちだね!」ってストっくんから褒められちゃった!
ストっくんはおっきくなっても可愛い。金髪がキラキラ。砲兵士官としてビシバシ働く姿はカッコ良い! 人間だったらミーちゃんと結婚して欲しいなぁ。
■■■
海! 川の船は乗ったことがあるけど海の船は今日が初めて!
船が、大きな帆が風を受けて膨らむ。大きな船が波でウネウネの海の上をそりみたいに滑る! 早い!
波と船が掻き分ける水と泡と筋が何だか水っていうより宝石とか硝子とか氷みたいに何故か見えちゃう。落ちたらザブンって海中に入っちゃうけど、掻き分けている石みたいに見える水だけだとなんだか着地出来そうに見える。
カモメが船にとまって白いウンコを垂れる。便所で自分もしてたら男の人が入ってきて「きゃあ変態!」って言っちゃった。何かニヤニヤしていやらしかったから、足首掴んで船縁の外に出して「悪い子は反省しなさい!」ってしばらくぶらんぶらんさせてたら「ごめんなさい」って謝った。許した。
小島や岩礁、岬をくねくね避けながらヴァリアグリ湾を進む。水の上に岩とか島がドーンと突き出ているのが変で凄くて、見上げていて飽きない。
すれ違う船の人達に「こんにちはー!」って声を掛ければ「おー!」って手を振ってくれる。
時々ボロボロに壊された船とか、ちょっと傷ついている船が他の船に綱で引っ張られて曳航されている。ヴァリアグリ方伯とその同盟の船らしくて、騎士海軍さんがやっつけて拿捕した後みたい。
上陸する場所は、ヴァリアグリ湾西側のモントレ湾の奥にある、ヴァリアグリ方伯の居城オペロ=モントレ城のちょっと手前の砂浜。
モントレ湾は二つの岬の間を通って入る。立派な灯台が絶壁の岬の上に左右に建ってて凄い眺め! ミーちゃんとジーくんに見せたい。
灯台の下には沿岸要塞と港町があるんだけど、先に上陸したストっくんが指揮する分遣隊が夜にパパっと近くの砂浜に上陸して砲撃してぶっ壊して突撃隊を突撃させて占領した後。朝にはゼっくんがいる本隊が乗る艦隊が速やかに通っちゃう。
湾内も働き者の騎士海軍さんが制圧していて航路は安全。聖皇聖下の旗を掲げた大きな戦艦が沿岸要塞の一つに、何十門もの大砲を一斉にドガガガン! って撃ってるのも見れた。音も衝撃も煙も凄かったし、あんなに大きい船なのにぐっと反動で傾いてぐらついて凄かった。あの戦艦は大砲を百門以上積んでいるらしくて、陸上の砲兵さんとは比べ物にならないぐらいに火力密度が凄いんだって。
実はオペロ=モントレ城、先に聖戦軍の人達が包囲している。包囲といっても城と内陸側の街道を遮断している程度で、城の手前の関門のところで足止めされているらしい。
お城は海岸の絶壁とか岩礁を利用して凄く攻めづらい位置にあって、難攻不落って言われているらしい。陸からも海からも侵入しづらい位置にあって、さっきの大戦艦は大き過ぎて大砲を撃てる位置まで移動出来ないんだって。それよりも小さい船だと今度は城の砲台に全く敵わないみたい。
第二師団はオペロ=モントレ城より手前の砂浜にまず上陸する。大砲を降ろす作業は勿論、自分が率先してやって活躍!
そして次はストっくんが活躍! レン朝の反乱軍を攻撃した時に、川の中洲から遠い目標の城へ、仰角をつけた砲台に載せた大砲からの遠距離曲射でなんとそこで一番偉い人をやっつけたんだって! 凄い!
ハビガ山地の時の高所への砲兵陣地構築作業も思い出して、海岸線の絶壁っぽいけど登れる、地盤が確かな場所に大砲を引っ張って上げて砲台を整える。そして仰角をいっぱいにつけて、岩の向こうにあるオペロ=モントレ城へ向けて砲撃開始! 砲弾は榴弾だから、山なり弾道で撃って速度が落ちて勢いが無くなっても大丈夫。着発爆発で建物も敵もドカンと粉砕!
最初の内は岩の向こう側に榴弾を送り込むだけって感じだったけど、偵察班が前進して、伝令を繋いで間接的に着弾観測が出来るようになってからは砲撃も正確になっていって、城の中心部、天守閣だとか人が住んでそうな建物の屋根を崩し始めてからは破壊効率が上がった。
偵察班までの崖を上り下りするような経路が杭や綱、梯子で確立されたら、今度は一本ずつなら運ぶのが楽な重火箭を運び込む。護衛の歩兵部隊も少しずつ増強。そして敵が予想していないような位置から焼夷弾頭の重火箭を発射して城や城下町を火事にする。そして消火活動妨害のために榴弾から榴散弾に弾種が代えられ、散弾の雨で消防の人達を殺す。
自分を先頭にする突撃部隊を夜に突入させる作戦を練り始めた頃になって、よーし頑張るぞ! って気合を入れていたらお城が降伏した。
もっと早くに降伏していたら良かったのに、お城も城下町も砲撃と火事で酷い姿になっちゃってる。火事で死んだ人が多そうで、泣いている女の人の声が、風向きが城からこっち側に流れる時に聞こえてくる。
これなら目を抉って送り出したり、串刺しにして見せつけたりした方がやさしいよね。
■■■
ヴァリアグリ方伯がオペロ=モントレ城の降伏直後に降伏して、ヴァリアグリ湾一帯が聖戦軍に参ったをした。
第二師団は休まず動いて、第四師団が攻撃中のロベセダ地方の攻略に向かう。アロチェ川とボアリエラ川の二つの大きな川を中心にしたとっても豊かな土地。豊か過ぎて統一政権が出来ないって話もあるくらい。
ジュレンカちゃんの第四師団はアロチェ川沿い、ゼっくんの第二師団はボアリエラ川沿いに展開する予定。状況に応じて変わるけども。
ロベセダの後はロシエ国境にある西のシェルヴェンタ辺境伯領まで進軍して降伏させて、ちょっと戻って、ウルロン山脈越えのアピランってところを通る中央進路より一つ西側の、ガートルゲン地方に抜ける進路を目指す。
先の話ばかりだから予定変更はあるけど、出来るだけ休まず”敵の言葉より早く走れ”って戦略で動く。敵が軍隊を動員する前に、動員してもそれを集結させる前に、危機を覚えて連合する前に、こっちの軍が攻撃することにすら気付く前に攻撃するためにどんどん前へ行く。
ロベセダ攻略の道中で他の仲間達の活躍が伝えられて、その度に皆が『マトラ万歳! 勝利万歳!』って叫ぶ。
頭領さん、ゾルブさんの第一師団は無事に中継地点グラメリスへ入城。ウルロン山脈越えで中央の、交通の要衝オルメン市へ出る進路を予定通りに進む。既にカイウルくんの騎兵軍は山まで先行しているんだって。すごい! 早い!
ラシージ親分さんとボレスさんの第三師団はセナボンを陥落させて、中部と南部の東側回廊を切断して敵に後方へ悪さをさせないようにした。それから占領費用軽減のために住民虐殺もして予後も順調だって。神聖公安軍への引渡しが終わればウルロン山脈越えに掛かるみたい。悪いことをする中部の敵に味方をする人も悪い奴だから仕方ないよね。
ヴァリアグリ領の南にはすぐ聖皇聖下のご領地がある。すごい! 旅行じゃなくて敵をやっつけながら進んでいるのにまだ十日も経っていない。神聖教会の人達や商人さん方が協力してくれているし、道路も港も綺麗に整備されて広くて通りやすいってこともあると思うけど、すっごく早い。妖精さん達も重い荷物を運んでずっと歩いたり走ったりするけでど全然へこたれない。
皆で列を組んで前進だ!
軍楽隊の皆が楽しい演奏をしてくれるから毎日の行軍がお祭りで楽しい!
要塞を攻めても砲兵の皆がドカンドカンってお祭りみたいで楽しい!
皆も笑顔で楽しく、ご飯を食べてお祭りで楽しい!
船にも乗れるし、珍しい食べ物も食べられる。綺麗な景色も見れるし、何だか凄い光景もいっぱいある。
ちっちゃいから来れなかったけど、いつかミーちゃんとジーくんも一緒に戦争に連れて行けるようになれるといいな!
早くおっきくなれ! ご飯をいっぱい食べよう! そのためにはマトラを守る。守るためには敵を粉砕だ!
「わー!」
『わー!』
って皆が叫ぶ。拡声器を持った隊列監督官さんが大声を上げて、皆が合わせる。
「敵軍粉砕!」
『敵軍粉砕!』
「攻撃前進!」
『攻撃前進!』
「制圧進撃!」
『制圧進撃!』
「革命万歳!」
『革命万歳!』
「祖国に栄光!」
『祖国に栄光!』
「盟友助けろ!」
『盟友助けろ!』
「マトラに勝利!」
『マトラに勝利!」
「同胞助けろ!」
『同胞助けろ!』
「人食い豚をぶっ殺せ!」
『人食い豚をぶっ殺せ!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます