第19話「聖都」 ベルリク

 ヴィルキレクの船と、新たにシルヴの所有物となった船が係留されている岸壁で荷物の積み込みを待つ。その積み込み作業以外にも港は、元の灯台の隣に大型の灯台が建設されたり、収容隻数を増やすための桟橋の増築が行われたり、商船の荷降ろしで賑わっている。

 今のところは輸出品など皆無なので一方的に外へ金が食われている。復興したところでイスタメルには主産業など無いので、それこそ奴隷でも出すしかなさそうだ。妖精達の方で何かやらせてみたいが、まだまだ物不足なので内需重視、予定は未定にしておく。

 出港前は軍服でいる。一応公務ではないことになっているが、出るときはこの格好にした。

 見送りの人数はわずか。魔神代理領としての正式な作戦ではないから軍楽隊の演奏も無い。エデルトとしては正式な作戦だが、海軍はもう本国へ行った後なので見送りはいない。そうなると見送りに来てくれるのは個人的な好意となるが、総督もイシュタムも分身が欲しいほど忙しいのでここにはいない。イスタメルの連中なんて尚更いない。いたら逆に困る。主だった見送りといえばラシージぐらいだが、そのラシージはバシィール城城代の任があるので、これが終わったら帰路につくのでのんびりしたものでもない。既に馬車の用意がしてある。

 セリンが港からも見える海軍司令部から、髪の触手も使って複数の書類を繰りつつ早口に海軍将校達に指示を出しつつ岸壁にやって来た。相変わらず似合っていない海軍の軍服姿で、頭にはきちんと布を巻いて、火傷跡が消えた顔は普通に露出している。

 セリンは忙しい様子。イスタメル海域艦隊が中大洋連合艦隊に正式に組み込まれることになったとかで、艦船士官の登録だとか他艦隊との指揮系統に行動範囲の確認だとか海域と大洋で異なる行動規範の照合調整だとかで想像するだに七面倒臭い書類手続きがあるらしいからそれなのだろう。顔を知ってる元海賊の海軍将校がこの前すれ違った時に愚痴ってきた。

「ガキじゃねぇんだからそんくらい当事者に書かせろっての! いちいち誤字脱字無いかテメぇ等がマス掻きながら汚した便所紙を見ろって言ってんのか? 字ぃ習いたての小便垂れかこのボケ!」

 セリンは書類を海軍将校達に押し付けて長めに鼻息を吹きつつ、ようやくこっちに顔を向ける。

 自分の顔を撫でて眉をピクっと動かし、火傷は治ったのか? と仕草で聞いてみる。セリンは久しぶりに明るい笑顔を見せ、肯定、と返してくる。

 足にまとわりつく給仕の妖精を膝やその裏でグリグリこねていると、セリンが弾丸を手渡してくる。撃ち込んだやつか? 潰れもしていないし、砕けもしていないから着弾していないようだ。あの髪の触手で絡め取ったか? そんなに凄いのかアレ。

「この拳銃出来良いんだけどな」

 拳銃を抜いて、指でクルっと回して鞘に戻す。

「旦那……本気で当てようとしてた?」

「当たり前だろ」

「もしかしてさ、私のこと殺したいとか思った?」

 そんな事気にしてたか。

「そっちが拳銃で撃ってきた時は良かったんだけどな」

「良かった? ちょっと待ってえーっと、あれ、私、頭おかしくなった?」

「気にすんな。大したことねぇって、俺も良く分かってねぇから」

 とりあえず笑っとけという感じで笑うとセリンは「まーどうでもいっか!」と海賊時代の豪気な笑いを返してきた。やっぱり彼女はこれでいい。

 シルヴは新しい自分の船を見て回っている。鳥とはいかないが、身軽な猿のように綱や帆柱を渡り、時々隣の船を敵船に見立てて銃を構えるようにしてみている。新しい玩具にはしゃぐのは子供だけじゃないのだ。

 ヴィルキレクは海に向かって椅子に座り、黒人奴隷が読み上げる書類の内容に返事をしながら釣糸を垂らしている。本日四匹目の魚を釣り針から外し、放り投げて逃がす。餌は、脇に置いてある小さなテーブルにある生ハムだ。自分でも優雅に酒を飲みながら食べてる。格好はエデルト海軍様式の青い軍服で、二角帽を被っている。こう見るとやっぱり海軍の偉いさんでもあるんだと認識する。肩書きが多くてどんな人物か把握し辛い。

 各自とも出港前だというのに忙しそうである。こちらはほとんどラシージ任せなので、地面に寝転がっている給仕の妖精の腹を足の裏で撫でるぐらいしかやることがない。

 何時ものように無口のまま微動だにせず立っていたラシージがこちらにやってきて、給仕の妖精を足で蹴っ転がして海に落とす。何か話があるようだ。何となく片膝を突いてラシージと目線を合わす。

「我々は人間と大きく違います。古代の人間が接触も稀だった我々よりも、様々な怪奇な現象を元に妖精の伝承を作り、接触が密となってから伝承に準えて妖精と名づけました。我々は自身を名づけることはしませんでしたのでその名が定着しました。でも妖精という名はおかしな名です。我々は特別に怪奇現象は起こせません。聖なるも魔なるも関係の無い東方のように小人、長耳とは正式な名としてあなた方は呼びません。あなた方は我々の社会性が人間とは大きく異なるから同軸線上で捉えないのでしょう。その大きく異なる社会性を城主様は如何にお考えでしょうか?」

 いやに難しい問いに窮する。とりあえず、

「さっぱりだな」

「城主様の号令一つでマトラの妖精は命を捨てて行動できます。これは比喩ではなく、事実です。あなたは崇拝されていると言えます。何故そうなってしまったのか疑問でしょう。発端は私であることを否定しません。バシィール城の一件以来です。何故そう思ったか? 解放してくれた恩人である、という単純な理由は挙げられます。それだったらルサレヤ総督でも良いのです。魔神代理でも良いのです。マトラの妖精全体を救った事実だけを見るならば城主様よりも上位命令系統にある者に目を向けます。でもそうではなくて城主様なのです。理屈などではありません、そう思ったからそうなのです。城主様は我々の二つ目の太陽、考えるまでもなく重大で欠けることは受け入れられません。我々を代表して言います」

 手を握ってくる。

「そして私にとってあなたは二つ目の心臓です」

 その続きがあれば聞きたいと思って待つが、ラシージは口をこれ以降閉じる。二つ目の心臓だから、なんだ、どうだ、と言ってこないのがまたキツい。しかしとんでもなく馬鹿デカい釘を刺しやがった。死ぬことは許さないと言いたいのか?

 ヴィルキレクが給仕の妖精を踏ん張って釣り上げる。服に掛かった釣り針が中々抜けないので、黒人奴隷が一刀で服を少し切った。ヴィルキレクは小さな布切れを外して釣りを再開。

 シルヴが見上げる高さの帆柱の天辺から飛び降りてくる。

「私の船が先に出るからそろそろ乗船して頂戴。セリン提督もお連れしてね」

「やる気満々だな、新しい玩具も貰って大はしゃぎだもんな」

「はしゃぐことは一つも無いわよ。人質五名の救出をし、軍規に則って逃亡兵を処刑しに行くだけ」

「何が軍規に則り、だ。殺しが好きなだけなクセに」

 シルヴはニヤっと笑い、

「そうだけど、馬鹿がやりたいだけの馬鹿には言われたくないわよ。あんた、単騎も同然に敵本拠に乗り込んで殴り込みかけるような立場じゃないでしょ? 一応それでも偉いさんなんでしょ」

「セリンはどうよ」

 セリンの肩に手を置いて、ウチの子はどうなんだい? と見せる。

「提督は潜入可能な外見の魔族で、監視役としてはこの地じゃ最も適任でしょう。最悪船が無くても一人で海に逃げられるのが一番です」

 セリンは苦い顔をしながら言葉を出す。

「えぇ、そうですね……ベルリク、旦那さ、ホントに一緒に来るの?」

「セリンが潜れないところに行けるこっちの者が必要だろ? そうだ潜入と言えばよ、俺とシルヴが夫婦という設定で行くのがいいな。設定は終わった後も継続しよう」

「嫌よ」

「もうどうせ化けもんで、元から平気な面して馬の小便飲める奴に貰い手なんていないんだから俺と結婚しろよ」

「断る、糞喰らえ、面倒くさい、糞でも食ってろ。それと手紙出したの?」

「誰に?」

 シルヴは拳骨で、殴りはしないが頬をグリグリしてきた。

「あなたのお父さん」

「マジで忘れてた」

「時間無いからラシージ城代に代筆お願いしなさいよ。ほら文言」

 姿勢が仰け反り始めたがまだグリグリ押してくる。

「これ終わったら書く、この件が終わったら書くから、ホント、明日から手つけるから」

「あんた一体誰に似たの? あんたのお父さん、あんなに真面目でマトモなのに」

 シルヴの顔が変形するぐらいに頬を指で突く。

「付き合ってきた連中が悪いんだ、主に今指で指してる変態が元凶だ。俺は悪くねぇ」

 押し負けして倒れるとシルヴは船に跳んで戻る。後を追って船の舷梯に足を掛けようとすると、ついて来ようとする給仕の妖精がやってきた。口と首の後ろを掴んで持ち上げ、首から手を離して地面に後頭部を叩きつけて黙らせた。このくらいしないと本当についてくる。

 ラシージがこちらに別れの敬礼をしてから気絶した給仕の妖精を引きずって、馬車に放り込んで去る。

 ちょっと大事な事を思い出し、不機嫌そうな面をしているセリンの手を紳士っぽく下から握る。

「ん、何?」

 嬉しそうだが、お前何してんの? って顔にセリンはなった。

「こうやってから腕組んでご婦人をお連れするのが西側じゃ洒落てる作法なんだ」

 腰を、膝が思わずカクっとなるぐらい叩かれる。痛いを通り越して力が抜けるような衝撃。魔族の馬鹿力忘れてるんじゃないだろうな。

「あぁ? んなの気持ち悪ぃよ旦那。びっこ引いたババアじゃねぇんだからさ」

 前の調子が戻ってきているセリンは笑いながらさっさと乗船する。上手く力が入らない足で歩いてこちらも乗船。

 乗船して間もなく、セリンの船もヴィルキレク側の船も積み込みは終わった。そして号笛が鳴り、港湾作業員が係留索を外し、海軍士官の号令で水夫が帆を開き始めた。


■■■


 出港して陸地が見えなくなって数日、結構な沖を進んでいるのに、どこからか鳥がやってきて羽休めに船に降り立つ。ついでに糞も垂れて白い跡を残していく。

 船では軍服は脱いで私服に着替えた。お客さんなのでセリンはあの下着紛い姿ではなく、魔神代理領風の男装姿。生まれてこの方髪を切ったことのない婆様みたいな髪の量なのでスカーフでまとめても溢れに溢れ、軍服以上に似合ってない。

 海が凪いでいる時は大丈夫だが、少し風が吹いて船底が海面を叩き始めるような揺れになると気持ちが悪い。初日よりはマシだが、気持ち悪くて吐きたいということ以外に頭が回らない。折角食った物を胃液交じりで海に吐き出す。船内は薄暗くて臭くて空気が濁っていて気持ちの悪さに拍車がかかるので、なるべく外で空気を吸う。

 外に出れば水夫達が笑いやがる。エデルト海軍の連中だから気晴らしにぶん殴れもしない。そして背中を撫でてくれながらも、一番馬鹿笑いしているのはセリン。

 シルヴの手下――死んでれば良かったのに――三バカ砲兵の隻眼、火傷面、鼻無しがいちいち茶々を入れてきてうるさいので、隻眼の死角側から蹴りを腹に入れて倒す。火傷面が殴って来たので紙一重で避けて殴り倒す。鼻無しの鼻目がけ、ややゆっくり拳を突き出す。本能的に弱い鼻の跡を全力で守った両腕で拳を防がれた。直後にみぞおちを殴って、頭を下げたところで両手を組んで頭に振り下ろして倒す。水夫達が野次を飛ばす前にぶちのめした。並みの人間相手の白兵戦じゃ負ける気はしない。

 このあっという間に終わった騒ぎに海兵隊が集まってきて、面倒になる前にシルヴがやってきて解散させる。三バカはシルヴが蹴っ飛ばして起こして船室に追いやった。それからこっちも腹を蹴っ飛ばされて、船酔いとは別の力でまた吐いた。またセリンが馬鹿笑い、し過ぎて咳き込んだ。

 咳き込みながら突然、セリンは船の縁に立って遠くに注視し――少しカモメが海上を飛んでいる以外は分からない――短刀を口に咥え、あっという間に服を脱いであの下着紛いの姿になり、海に飛び込んだ。

 水夫が「誰か落ちた!」と大声を上げて鐘を打ち鳴らす。彼女を知らないんだからそりゃそうだ。

 当直士官に、飛び降りたのはセリン提督だから何もする必要は無いと脱いだ服を見せて説明し、「大丈夫だから気にするな」と何度か大声を上げておいたが、それでも何事かと甲板の上が騒がしくなった。艦長が出てきて、事態を把握してから騒ぎを鎮めた。

 シルヴはというと、帆柱の天辺が気に入ったらしく何時もそこに立って遠くを眺めている。この騒ぎは完全に無視している。

 しばらくすると船の縁に髪の触手が絡まり、セリンがよじ登ってきた。そして髪が海中から巨大な物を振り上げて甲板の上に落とした。魚だ。こんな馬鹿デカい魚がいるのかと思うぐらいデカい。口から尾の先までで人間の背丈より長い。体重はざっとな目算でも大人七人分ぐらいか?

「どうよマグロだ! ちゃんと血抜きしたしシメてきたから、今日はこれ刺身にして皆に食わせてやる! ちょっと熟成させた方が美味いんだけど、活きが良いのはそれはそれでいいのよ」

 水夫達が見守る中、甲板を汚さないように髪の触手で船の外へマグロを持ち上げ、同じく髪の触手で操る一本の長刀と何本もの短刀で解体をした。

 刺身で食わせてやると言ったが、流石に生では食べられない者がほとんどだった。だが魚とは言え腹が一杯になるほどの焼いた肉に船は沸いた。

 イルカの群れに遭遇した時にはもう、ヴィルキレク側の船にも配るぐらいの肉が振舞われた。肉にクセこそあるが、腐って蛆が湧いたような物も食べることがある船上生活では新鮮な肉が食べられるというだけでご馳走だ。

 その後の航海中は、他にも色んな魚にイカやタコに海獣、海鳥を航海中に食べた。そして段々と刺身や海獣の内臓などの生食もする者も増えてきた。その際にはセリンが生食の注意事項をしつこく言っていた。そのおかげで軍医が呆れるほど両船の栄養状態は良好。ヴィルキレクは氷の魔術を得意にしているので、毎日綺麗な水を飲めたので尚更。

 士官室で艦長以下士官達と食事をした時、セリンに勲章を贈ることが話で決まった。そしてその翌日ヴィルキレクに話が通って了承された。

 両船は併走。ヴィルキレクの船に軍装に着替えたセリンが乗り移り、ヴィルキレクが手ずから海軍功労勲章を授与した。肉の恩恵に預かった両全船員からの拍手と万歳三唱が贈られた。海軍功労勲章は民間人にも贈られることがある、勲章の中でも平凡な物だ。しかしここまで喜ばれて贈られることは稀だろう。

 ある学者の言葉に”人は頭ではなく腹で考える”というものがある。補給の途絶えた軍がどうなるかという講習の時に知った言葉だ。正しい言葉だと更に実感した。


■■■


 シェレヴィンツァを出港して西へ行き、途中中継港としてクロトネ島に入港して四日の休憩。久しぶりの土の感触に感動して思わず一つまみ食ってしまった。味はほとんどしなかった。

 上陸して船員達は酒場に売春宿に繰り出した。

 ボッタクリ酒場に巻き上げられたバカがいて、ヴィルキレクが海兵隊を突っ込ませて店を物理的に潰した。笑った。

 安上がりで非正規の立ちんぼを相手にして病気を貰ってきた奴には鞭打ち刑。公営の安全な店以外は行くなと上陸前に指導したのにもかかわらずだ。

 出港前に船室に隠れてた女とそいつを連れ込んだ水夫を海に放り出して出港、補給したての新鮮な野菜や果物を食べつつの航海を続ける。


■■■


 そんな思った以上に口が楽しかった航海も、左右に果ての無い陸地が見えて来て終わりを告げた。ただの海岸線ではなく、たくさんの行きかう船の背後に乱立する建造物。遠目にも巨大な物が散見され、そうではない建物も美しく立派に見える。流石は聖都と呼ばれる、西方最大の宗教都市なだけはある壮大さが一目で分かる。

 毎日同じことの繰り返しで、セリンの漁ぐらいしか楽しみが無くて口数が減ってきた船員達も表情を明るくして口数が多くなってくる。

 シルヴの好きな帆柱の天辺にまで上ってどんどん近づいてくる聖都を眺める。奥の山から流れる三本の川が平らにした広い平野に街があり、びっしりと同じ橙色の屋根と白い壁の建物が並び、屋根の向きと間隔でどこに道があるか道路を見なくても分かる。見張りの塔、街を囲む火力戦にも対応出来そうな分厚い城壁に砲台、巨大で個性豊かな寺院、大きな聖都あつらえの神聖教会の旗と聖皇の所在を告げる旗も見える。

 こいつに艦砲射撃を加えたら面白そうだ! 艦載の臼砲に焼夷弾詰めて釜戸焼きにしたい。

 何時かあるかもしれない西への侵攻を空想していると、急に両肩を掴まれてびっくりする。そのまま顔をくっつけて並べて来たのはセリン。

「これ到着?」

「デカいのが目に入ってるだろ」

「やっぱりこれが聖都?」

 その声に興奮は無く、溜息が混じっている。

「それの衛星都市かと思ったわー、外れの辺境の田舎はやっぱりクソド貧乏ねぇ。こんなのが北大陸西部一の権威があるとこなんてよく言えたもんね。人捜すの苦労しないでしょこれじゃあ、ってそれはそれでいいのか」

 魔神代理領の大都市ってどんなもんだと興味が沸いてくる。何時かは見られるのだろうか

「魔都ってこれの何倍くらい?」

「比較の仕方が何か違うのよねぇ、中大洋側の入り口のダスアッルバール市がここより幅がー……十倍くらい。入り江やら小島と大陸繋げた橋とかあるから船の収容能力はそれ掛ける何倍。で、そこからビナウ川を上れば魔都に直行できるんだけど、畑とか漁港もあるけどそこまで人と建物が途切れないわね。川の幅は空気が濁ってると対岸が見えないくらいで、支流があったりしてまたそこから他の都市に繋がってて、途中には中洲があるけど丸々街になってたりするのよ。で魔都中には運河が張り巡らされてて河川交通の要衝になってるの。西側にビナウ川、北側のもっと幅がある源流のメルナ=ビナウ川、南東側にメルナ川、どっちにもビナウ川同じぐらい活気ある風景が続いてるのよ。メルナ=ビナウ川は内海の大内海に繋がってて遊牧帝国側から東大洋物産が流れてくるし、メルナ川の方は南大洋に繋がってるからもっと凄いかな。でまた川岸の建物が氾濫対策用の柱の頑丈な高床式の土台になってたりさ、世界中から人とか船が来るから、簡単に言うととにかく凄い。まあね、見なきゃ分からないわね」

 見たことはないので話を聞いていても良く分からないところは多いが、この聖都の風景に感じたものが煤けてはきた。やっぱり焼夷弾をブチ込むしかない。

 入港作業の邪魔になるので帆柱を降りて船室に戻る。その入港作業と手続きといった面倒は船の人間がしてくれるのでこっちはそれが終わるまでのんびりしているだけだ。

 士官室係に淹れてもらったお茶を飲んで待っていたら検疫も終わって入港と上陸の許可が降りる。航海の垢で汚れてはいるものの、肉付きよくて健康そうな水夫達に聖都の税関職員が変な顔をしていた。イスタメルから聖都まではそれなりに長い航海だ。

 正規通りの行いなので恥じることも隠れることもないのでエデルト側は正規の軍装。こちらは私服のままで下船する。観光を名目にしている。

 そして航海中に相談した通りに三手に分かれる。

 シルヴはイルバシウスを捜す。

 先行して潜入しているはずのアソリウス島騎士団の者で、シルヴ付きの士官でもあり、あのガランドの義理の息子だそうだ。彼が元総長――逃亡兵なんかは役職解任だ――エルシオと、ガランドの孫娘マルリカ両名の情報を持っている可能性がある。

 マルリカは傷を治療する魔術が使える希少な人材で、エルシオがその子を、保護を受ける見返りに売った可能性がある。またそのようにして魔族の種を売っている可能性もある。エルシオだけではなくそれを保護する者の――いたらの話だが――所在も判明するかもしれないので重要な役割だ。保護している者が分からない状況で手を出すのはまさに藪蛇である。

 あまり聖都にしがらみが少ないエデルトと言えども外交を考えると藪に手を突っ込むのは慎重になる。この街には各国の貴族がいるし、元貴族ながらその地位は実質維持している聖職者がいる。各国の聖職者を代表するような枢機卿だっているし、中には実権を国主に代わって握っているような鼻がもげるくらいの生臭坊主だっているのだ。ただ慎重なだけで、知っているエデルトなら拳骨どころか槍でも刀でも大砲でも、そいつらの家族の首でも突っ込む気合は持ってるから腰が引けることはないだろう。

 シルヴはそのマルリカという友達を何としてでも助け出したいらしいので、それを止める奴はこの中にいない。ヴィルキレクは考えるような顔はしていたが反対はしなかった。セリンは、友人なら血の海作ってでも助けなければいけないと力説して、シルヴが頷いていた。もっと軍備を揃えて聖都を攻撃したら確実だと意見を出したら、ヴィルキレクが上手いこと話を別の流れに乗せてしまった。聖都を攻撃するのはもっと未来の話だ、と。

 セリンは港で船を守る。脱出路が無いと作戦は失敗したも同然だ。ただし、各自が携帯している信号弾が打ち上げられた時にはそこへ向かう。

 こちらが乗り込んできたことを知ってエルシオの化物騎士や、その保護する者の私兵、聖都の守備隊などが攻撃してくる可能性がある。二隻の海兵隊だけじゃ陸の数がまとまった部隊相手だと厳しい戦いになる。水夫を戦闘員に組み込んでもいいが、死ぬと帰路の航海がキツくなる。船員の補充が利かない土地ではやらないほうがいい。だから事が起こったら強力なセリンに、味方に死人を出さないように戦って貰う予定。セリンは音の魔術が得意なので、いざとなれば守備隊全軍と対峙しても撃退可能だ。シルヴみたいにバカみたいに頑丈じゃなければ一人で虐殺が出来る。

 セリンという魔族が大きな争いごとを聖都で起こすとなれば外交的な危機になるかもしれないが、魔族の種が攫われている時点で魔神代理領側は殺る気満々なので、先の大戦で負った疲弊故の慎重な様子見が、何時も通りの撃滅実行に移る程度の話なのできっと問題ない。そんなことより魔族化したばかりでやる気十分なセリンも活躍できて嬉しいだろうから彼女の気持ちの方が大事だ。ヴィルキレクのような政治家は危機こそ好機と喜んで軍事行動を起こすだろうし、個人的には戦争は何時でもする気たっぷりなのでむしろ騒動こそ歓迎。シルヴも似たような頭なので問題ない。

 凄い! 今聖都で戦争おっ始めても誰も困らないじゃないか。憂いが無いというのは気分が良い事だ。

 こちらはヴィルキレクのお供をする。自動的に黒人奴隷もついてくる。今代第十六聖女、ヴィルキレクの姉であり、アルギヴェン家の長女ヴァルキリカに会いに行くのだ。

 どんな人物かと言えば、稀代の生臭暴力聖女らしい。凡人なら持て余す数々の職権を豪腕で巧みに濫用し、並みの悪党なら腹が裂けて発狂するぐらいの金と血を啜り、そして聖皇と二人三脚で働く身分であるので聖俗の力に満ちている。そうして膨大な情報を知る立場にあって、エルシオについて知っているそうだ。そして俗世とは縁を切った僧籍にあるのにもかかわらず、母国のために働いてくれるとのこと。常識なんぞ鼻息で吹き飛ばせる豪傑なのだろう。

 馬車は手配した先が敵方だった場合と、奇襲された場合に対応が難しいことを考慮して馬で向かう……ところだったが、船に積んでた馬が船旅で疲れてたので中止。こちらで買おうという話になるかと思ったら、ヴィルキレクが「では歩こう」と言ってさっさと歩き出してしまった。


■■■


 道すがら、噴水広場の屋台で買ったお菓子を食べつつ、屋外に飾られている派手な彫刻を見る。思わず足を止めてしまうような迫力に溢れている。セリンが魔都の話をしたせいで観光気分は下火になっていたが、良い所じゃないか。裏路地側は流石にそれなりに汚いが、巡礼者に観光客向けの表通りは整備されて綺麗で、彫刻のような雨に濡れても良い美術作品がさりげなく置かれていたりと歩いているだけで目移りして楽しい。権勢を競うように建っている数々の寺院も悪くない。

 連れは、道行く女が分かりやすい表情を次々繰り出すぐらいの逞しい色男のヴィルキレクと、肌の色以外の要因で土か何かで出来てるんじゃないか思えてくる人間離れした黒人奴隷。女連れじゃないと盛り上がれないわけじゃないので楽しいが、元気にあれこれ口を出すような明るい女がいたら面白そうだなとは思えてくる。二人とも明るい声を出して騒ぐような人間ではない。特に黒人奴隷、何か音を発するどころか吸収して消しているように思えてくる。

 聖女の家に着くまでは時間があるので、何となく思いついたことを口に出す。

「首を繋げてくれたことに礼を言います」

「あれは戦士としての矜持を玉無しどもに説いた結果だ。母上の馬鹿騒ぎに関してだが、あれには家族を代表して謝罪しよう。全く、歳じゃなければもう一発殴っていたところだ」

「そうでしたか……私は貸し借りしないので、頼みごとは出来る範囲でしますので好きなだけ言って下さい。ただ実現可能かは」

「別問題だな。何、魔神代理領内に気楽な話が出来るそれなりな相手がいるという事実だけで借りを返せてる。おまけにそいつは州総督と話が出来る奴なんだからお釣りが出る」

 塀付き門付き、門番に番犬がいるような立派な邸宅ばかりが目立ってくる。貧乏国家は一つ大きく豪華な建物で権勢を誇れても、こういう富豪が軒を連ねる高級住宅街は真似できない。デカいお城よりもこういう所にこそ国力が現れる。

「見ろ、エデルトにセレードにだってこんな所は無い」

「イスタメルには将来ありえませんね」

「しかしここの連中は遥かに我々より弱い。常備軍も無いに等しく、傭兵と細かい権謀術数に頼るしかない。そんなのが北にいたら直ぐに踏み潰される。そんな弱い連中のクセに金だけは何倍も持っている。エデルトと違って魔神代理領との交易で昔から儲けていたからだ。今後、我々の街にもこれを作る」

「軍事費にほとんど消えそうですけど」

「それはしょうがない。軍隊の延長線に我が国があるからな。だがまああれだ、何とかするさ、財布は一つじゃない」

 高級住宅街の中でも更に高級な所、一軒一軒が公園並みの広さと緑を蓄えているような道に差し掛かる。人口密度が低いので非常に静かな場所に、分かりやすいほどにガラガラと馬車が走る喧騒が近づいてくる。これにヴィルキレクは笑い出し、黒人奴隷から握りに革紐が巻いてあるだけの飾り気の無い片刃斧を受け取った。

 前からは道幅一杯に四台の幌馬車が横並びにやってきた。

 後ろからは何の武器を持っているか見せないための長外套を着て、顔も覚えられないようにつば広帽を被って口周りをスカーフで覆っている腕利きそうな男が二人。早撃ちで片方を拳銃で撃つ、当たってそいつは胸を押さえて呻くが、カンっと人に当たった音がしなかった。銃弾対応の分厚い胸甲を装備しているようだ。もう一丁拳銃を抜いて呻いていない方の顔を撃って、当たって、左の頬の肉と骨が弾けて倒れた。

 呻いた方が抜刀して、細い直剣を突き出して突っ込んできた。その時に長外套がはだけ、銃弾がめり込んで黒い点が出来た銀の胸甲が見えた。それまでに舌を何度も甘噛みして溜めた唾をそいつの顔に吐きかけて目潰し、狙いの修正を妨害、直剣の刺突を避けつつ刀を抜いて切りつけるが、腕の小手で防がれる。それは分かってたので刃を立てたまま鍔まで滑らせ、押して少し距離を取りつつ、同時に三丁目の拳銃で頭を撃って砕く。つば広帽のせいで飛び散らなかったが、その下からドっと脳漿がこぼれる。

 二人を瞬殺した頃、ようやく四台の幌馬車からは、シルヴが教えてくれた化物騎士と思しき全身を分厚い甲冑で固めた騎士が続々と降りてきている。そして馬車の御者の一人が叫ぶ。

「標的は斧を持った二角帽の男、黒い肌の奴隷、拳銃を持った三角帽の男だ、殺せ!」

 その号令が出されてから化物騎士はプルーギェン剣や斧に戦棍に槍、斧槍と、盾も合わせてバラバラな武器を構えて突進を始めた。およそ四十名、いや確実に四十名。こういう場所だと銃兵より怖いかもしれない。あういうのを時代遅れだなんだと決め付けるのは良くないな。

「さて、私が前衛で頑張るからお前らは後ろで遊んでろ」

 ヴィルキレクが二角帽を捨て、肩に斧を担いで悠々と四十名の鉄の壁に進む。どう見ても無謀だが、黒人奴隷の方が刀を手に、ヴィルキレクに背を向けて周囲を警戒しているのでそうではないみたいだ。

 さてどんな芸を見せてくれるのか三丁の拳銃に弾薬を装填しながら見物。まずはヴィルキレクの身の回りにキラキラと乱反射する光った何が舞い始める。あれは厳しい冬に見れる氷霧に似ている。

 化物騎士がヴィルキレクに迫り、武器を掲げて乱反射する光に包まれて動きを止める。止ってからは一体ずつ、化物騎士の頭を叩き割り始めた。兜が分厚いせいで真っ二つとはいかないみたいだが、兜が圧し曲がり、凍りついた顔の肉が衝撃でボロボロ落ち、体勢を崩してゴトンと倒れる。ヴィルキレクは笑う。

「トゥリーバルの土人形使いを思い出すな! あれより馬鹿で鈍くて数が少なくて弱いがな」

 馬車の御者達、総勢四名がヴィルキレク目掛けて小銃を発砲する。しかし乱反射する光が密集して次々と四発の銃弾を防ぎ、ヴィルキレクに達する前に落ちる。それは受け止めたというよりは絞り上げて絡めとった感じだ。魔術についての知識は乏しいが、ヴィルキレクの得意な氷の魔術の一端のようだ。

 装填し終わった拳銃の状態を確認し、右から順に御者を撃つ。一人目は胸に命中、白いシャツが分かりやすく赤くなって倒れる。二人目はこっちに気付いて本能的に腕を上げて顔を守る姿勢を取ったのを確認し、腹を撃つ。腹を抱えて死にそうにならないと搾り出せないような声を出す。三人目は逃げ出そうとして横に動いていたので撃ったが外してしまった。

「ハッハー下手糞!」

 ヴィルキレクが楽しそうに笑って斧を投擲、三人目の背中に斧の刃が刺さって倒れる。四人目は立とうにも歩こうにも倒れようにも苦しい微妙な姿勢で足腰が氷漬けになっている。これは随分とあっさり勝ってしまった。

 ヴィルキレクは二角帽を拾って被り、足腰が凍り漬けになった四人目の肩を軽く叩く。

「選んでいいぞ。雇い主の情報を吐いてほぼ無傷で解放、口を閉じたまま少しずつ体を切られて苦しんで死ぬ。解放を選んだらちゃんと逃げ切れよ。雇い主は殺してやるからな」

 三人目の御者の背中から斧を抜いた黒人奴隷がヴィルキレクにうやうやしく手渡す。

「さあ、三つ数えるからそれまでに意志を決めろ。はい一、二の三」

 ヴィルキレクは斧で四人目の頬と片耳を切るというより削ぎ落とす。肉も骨も毛羽立った傷口の汚さに相応しい痛そうな顔をしたが、口は一文字に閉じている。

「痛いな。それ一二三」

 次は手首を斜めに落とした。またもや切り口は汚く、上の肉を裂いて骨を砕いてから次の下の肉を引き千切ったようになっている。四人目は泡を吹きながら不気味に呻き、白目をむいて失神。出血もおびただしく、並みの死体より死んだように見えるようになった。

 ヴィルキレクは黒人奴隷に斧を手渡し、涼しい顔でこちらに手招きをして歩き始める。黒人奴隷も斧の血を手拭いで始末しながら後に続く。こちらも拳銃三丁に再装填しながら追う。

 何かあっさりやっちゃったので、躓いて転んじゃったなーって程度な気分がする。

「ヴィルキレク王子、さっきの魔術凄いですねアレ。アレ氷?」

「氷というか、氷を主に利用した魔術だ。詳細は……ふむ、そっち辞めて我が軍に復帰するか?」

「そいつは流石に出来ませんね。ルサレヤ総督に一目惚れして入ったもんですから。可愛い妖精連中もいます」

「それは失礼をした」

「いえ。それに復帰したって大して役には立てませんよ。もう慣れてしまいました」

「エデルト、それにセレードの将兵じゃ不満かな」

「ある意味そうですね。妖精達は軍事行動では究極に素直なんですよ。お前ら全員自殺しろって言ったらやりかねない、いややります」

「それは怖いな……史上初の妖精使いが仲間に入ったら良かったんだが」

「史上初?」

「少なくとも私の頭にある歴史にはそんな例は無い。共同戦線を偶発的に張った記録はあるが、人間が君臨した記録は無い。最新の確実な情報、北の妖精が起こした、妖精らしからぬ人間臭い共和革命に調査を入れたが、連中は徹底して人間を殺し尽くした事実が再確認されただけだった。君は特異だから、持て余された空気を察したら気をつけろ。魔神代理領が居辛くなったら遠慮なく言え、歓迎する」

「覚えておきます。期待はしないで下さい」

「私は何時でも期待している。大事なことでいい加減な事は言わない」

 ラシージには及ばないがこの人も返答に困ることを言う。とりあえず黙っておこう。

 聖都守備隊の大騒ぎを遠くから聞きつつ進めば、ヴィルキレクがある門前で足を止める。門衛がヴィルキレクを確認したところで捧げ銃を行う。またその足元には土下座している貴族っぽいおっさんがいて、脂汗を流している。誰に対してしているのかは、簡単に分かるか。

「これが今代第十六聖女の屋敷だ。屋敷というよりは……」

「要塞」

「玩具箱だ」

 ヴィルキレクは笑いながら門を拳でガンガン叩く。

 この屋敷は丘の上にあり、鐘楼付き教会が付随していて、そこを銃眼付きの壁で囲っている。そして丘全体を堀が囲っていて、外側が鉄柵、内側を壁が巡っていて、更に監視塔があり、警備兵が巡回している様子が伺える。今は外に出していないだろうが、たぶん大砲も中にあるんだろう。丘の中は倉庫になっていて武器弾薬に食糧か? 街中にこんなもの、作って楽しかっただろうな。

 門の待機室から出てきた、地味で小太りの中年女が不釣り合いに優雅な礼でヴィルキレクを出迎える。

「お待ちしておりました殿下。聖女様よりご用命は承っております」

「ご苦労、楽にしろ」

 門衛が銃を降ろして休めの姿勢になり、中年女が顔を上げる。どう見ても冴えない顔で、気だるげに洗濯している姿ぐらいしか想像できない。

「休憩はしない。姉からは?」

「は、聖オトマク寺院まで案内するよう言われております」

 聖オトマク寺院、神聖教会の中で最も有名な寺院だ。そこでは聖皇が枢機卿を並べて聖務に勤しんでいる。

「それと、早く来い、と言伝を」

「そうか。では頼む」

「は。それでは、警戒の目を掻い潜る道を進みます。その前に失礼ですが」

 中年女が、先の刺客が着ていたような長外套を三着持って来たので、三人ともそれを着る。

「先程の戦闘、お見事でした。ただあれだけの死体が出ますと、いくら我々の息が掛かっている守備隊と言えども誤魔化すのに限度が出てきますので、目的地までは隠密行動に願います」

「分かった。そういえば君かな? 姉が言ってた”私の額の目”は?」

「は、そのように評価を頂いたことがあります」

「姉が派手に褒めるのは本気で気に入った証拠だ。頼りにするぞ」

「勿体無きお言葉、感謝します」

 その中年女とともに聖オトマク寺院へ向かう。

 遠回りだと感覚で分かる道を辿っていく。こちらには分からない方法で他の情報員と連絡を取っているのか、何度か道を変更しつつ進む。途中でまた刺客に襲われることもなかった。この中年女は、優秀に見えないのが優秀な証拠なのだろう。

 聖オトマク寺院の周囲を飾る高い尖塔が、建物の屋根越しに良く見えてきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る