姉が帰ってくる

第1話

夏だ。今日、風はあったものの、やはりそれなりに暑かった。

朝、母親が不機嫌そうに云った。

今日、ねぇちゃんが帰ってくるから。

母親が不機嫌だったのは、最近の私との喧嘩のせいだ。だから、私も母親にそう云われたとき、中々に不機嫌になった。母親と話したからであり、また、姉が帰ってくると聞いたからであった。

今、友達と遊んで帰ってきた私は玄関を開けた姉と、一緒に出てきた犬と3人で話している。

私達の通っていた中学校が合併で無くなるらしい。そんなのどうでもいい。それより、聞いてくれ。私はね、高校を中退した貴方みたいには絶対にならないと、誓っていたのにね、今は高校をやめたくてやめたくて仕方ないんだ。

と、云えない。

姉が遊園地に行ってきたらしくそのおみやげを取り出す。ねぇ、学校って、やめていいの？

と、聞きたい。

お母さんは日曜だというのに仕事をしている。

父親は平日と変わらずテレビを見るだけである。

ねェ、どうしておねえちゃんはひとり暮らしすることになったの？

そこにはどんな理由があるの？

お母さんが先に云ったの？それともおねえちゃんが先に云ったの？

なんでお母さんにあんなに恨まれてるのに私より楽しそうに生きているの？

私が末っ子なのがいけないのか、私はなにも知らぬ。

教えてくれる人もいないし、聞きたいことを素直に吐き出せる私もいない。

明日は、テストがあるのか。

なんともいいようのないこの心の靄はどうしたら晴れるのだろう。