第9話 冒険者登録=テンプレ
次の日。自分を揺らされたので目を開けたらクロが目の前にいた。月音はまだ寝ていてシロは起きているみたいだった。シロを見ていると何か悔しそうにしていた。
「ご主人!おはよう!」
「ご主人様!おはようございます」
「おはよう。2人とも早いね」
俺はそう言って起き上がった。今日は少しゆっくりしてても大丈夫だから月音が自然に起きるまで白桜と夜桜の手入れをメイから教えて貰ってやっていた。道具は無いけど魔力で出来るらしいからな。
シロとクロは武器を持ってなくて俺が宝物庫みたいな場所……もう宝物庫でいいや。から持ってきていた武器を渡して使ってもらう事にした。勿論シロ達自身が選んでいる。
「2人にはこの中から自分がこれから使う武器を選んでもらう」
俺はそう言ってアイテムリングに入ってる武器を種類ごとに1つ出した。それから2人は少し持ってみて持ち心地を確認していた。シロは悩んでいたけどクロは迷いなく刀を持っていた。
「ご主人!ボクは此れにする」
そう言ってきたクロは持っていた刀を俺に見せて来た。宝物庫から持ってっ来ていた刀はあまり持ってきてなくてクロが持っていた刀しかなかった。
「分かった。シロは如何する?」
「これにします!」
俺がシロに決まったから聞いたらシロは剣を持ってきた。剣は結構な数あるから性能とかも見てそこから選んでもらおう。俺はアイテムリンにシロが持っていた剣とクロが持っていた刀以外の武器を仕舞って持ってきていた剣を全部出した。
「分かった。じゃあこの中から使いたい剣を選んで。性能とかの違いがあるから」
「分かりました」
そう言ってシロは物色し始めた。クロは"ボクは?"って顔をしていたのでクロが持っている刀しかない事を教えたら納得してくれた。そんな事をしていたら月音が起きて来た。
「おはよう。月音」
「……おはよう」
挨拶をすると眠そうに返してきた。そのまま暫くボーっとしていたけど頭が動いてきて恥ずかしかったのか顔が赤くなっていった。月音の反応を見ていたらシロが剣を決めたみたいで俺に報告してきた。
「ご主人様私は此れにします」
「分かった」
シロが選んだのは最初に月音が持ってきた剣だった。月音も起きたし朝ご飯を食べに行きますか。この宿屋は1階の食堂で朝食を出してくれるからそのご飯を食べた。味は普通だった。それから俺達は昨日決めた通り冒険者ギルドに向かった。場所は分からなかったので宿屋で聞いた。
ギルドに着いたので早速入ってみた。中はザワザワしていて正面に受付があって右側に依頼が貼ってあって左側には酒場があった。酒場には昼前から酒を飲んでいる冒険者やパーティーで話し合っている冒険者が居た。
俺達がギルドに入るとギルドに居た冒険者が全員見てきた。色々な視線を感じる。殺気だったり嫉妬だったり。月音達は居心地悪そうにしていた。取り敢えずそれらの視線を無視して受付に行った。受付は皆美人さんだった。
受付嬢に話しかけようとしたところで身長2メートルくらいの大男が受付との間に入ってきた。俺は大男の顔を見上げてみるとニヤニヤした顔で俺の事を見ていた。俺はその顔に少しイラっとした。表には出さないけどな。
「おい餓鬼。怪我したくなかったら金と女を置いて家に帰りな」
何を言ってるんだ?このおっさんは?まぁテンプレだからな。俺は待ってたぜ。でも、月音達を下心満載の目で見ている事は許せないな。気持ち悪がってるだろ。
「嫌だよ?おっさんこそ家に帰ったら?ああ、帰る前に金目の物は置いてってね?今お金少なくて困ってたんだ丁度良かった。それから体洗った方がいいよ?臭いからね」
俺は笑顔でそう言った。おっさんは顔を真っ赤にしてプルプルしていた。俺は挑発しようとは思わなかったけど如何やら挑発になってしまったみたいだ。怒りだしてしまった。
「テメェ!この俺様の言う事が聞けないのかぁ!」
「?何言ってるの?俺がおっさんの言う事聞く必要が何処にあるのさ」
俺がそう言うと今度は殴りかかって来た。受付嬢が止めようと声を掛けていたがおっさんには聞こえなかったみたいで止まらなかった。流石にステータスの差があるから避けられないと思い俺とおっさんの間に氷の壁を作った。
「なっ!?」
おっさんは急に目の前に出て来た氷の壁に驚いて声を出したがおっさんの拳は既に氷の壁に当たっていた。氷は罅が入っていたので相当な威力があった事が分かる。普通に受けていれば俺では一溜りも無かっただろう。受付嬢のお姉さんも俺達のやり取りを面白そうに見ていた冒険者達も驚いていた。
「危なかった。いきなり殴ってくんなよ危ないだろ?」
俺がそう言って注意してやったけどおっさんは全然聞いてなかった。それどころかさっきより明らかに怒っており剣の柄に手を伸ばしていた。もしかしてギルド内で剣を抜くのか?流石にそれは止めた方がいいと思うけどな。
どうせ俺はその剣筋も分からないだろうから魔法で対応させてもらうけどな。そんな事を考えているとクロとシロが飛び出して攻撃しようとしていたので止める様に手で押さえた。
「俺様をバカにしやがって!死ねぇ!」
そう言っておっさんは俺に剣で攻撃してきた。今回も氷の壁で防ごうとしたけどさっき殴って来た時ですら罅が入ったんだから剣だと絶対に防げないと思って氷の壁を二重にしておいた。
今回は二重にした内の最初の層が壊れて二層目は無傷だった。俺は少し怖かったよ。またしても受付嬢や冒険者達は驚いていたが何に驚いているのかに俺は分からなかった。
もしかしたら俺におっさんの攻撃を防げないと思っていて防いだから驚いてるのかもな。ていうかそれしか考えられない。おっさんはまた攻撃して来ようとしたので今回はおっさん自身を凍らすことにした。
「凍れ」
俺は格好つけてそう言いながら指を鳴らした。確かフィンガースナップって言ったと思う。おっさんの体は徐々に凍って行ったけど流石に全部凍らすわけには行かなかったので剣を持ってた腕だけにしてやった。後動けないように足もな。感謝しろよ!
「クソッ!如何なってやがる!」
俺はそう言っているおっさんを無視して受付のお姉さんに冒険者登録をお願いする事にした。おっさんの横を通って行き受付に行ったおっさんは騒いでたけどそれも無視した。ギルド内は俺達が入って来た時と違って本当に冒険者がここに居るのか?と思うほど静かになっていた。
「冒険者登録したいんですが」
「は、はい!」
俺が登録をお願いする為に話しかけると受付のお姉さんは対応してくれたが少し怯えてる様だった。どうして怯えているんだ?あのおっさんが怖かったのか?それとさっきから俺の事を尊敬の眼差しで見て来るシロとクロが居るんだけど。何でだ?俺は魔法しか使って無いぞ?
「で、ではこちらに手を置いて下さい」
そう言って受付のお姉さんはカウンターの下から水晶を取り出した。門の所にあった水晶と似ていたけど違う所が一か所。水晶の上には魔法陣があった。取り敢えず観察は止めてその水晶に手を置いた。すると水晶が光って魔法陣からカードみたいなのが出て来た。お姉さんはそれを手に取って俺に渡してきた。
「これが冒険者カードです。カードに書いてある文字が現在のランクです」
そう言ってから残りの月音達の分のカードを俺と同じ様に作った。俺は受け取ったカードを見たらDと書いてあった。恐らくこれがランクだろう。それから冒険者ギルドの決まりだったりを教えて貰った。
冒険者にはD・C・B・A・Sのランクに分けられているがSランクだけは更に細かく分けられ
冒険者カードは身分証明書として何処の国でも使えるらしい。でも無くすと再発行に滅茶苦茶高い金額を払わなきゃいけないらしいから無くさない様にと言われた。
次は依頼に関しての事を聞いた。依頼はボードに貼ってあるものを取って受付で受諾確認をしないといけないらしい。それからランクごとに受けられる依頼と受けられない依頼があって自分のランクより1つ上の依頼しか受けられないらしい。SランクはSランクにならないと受けられないからAランクになっても受けられないと教えて貰った。
自分のランクより上のランクの冒険者とパーティーを組んでいても自分が受けられる依頼しか受けられないらしい。要はパーティーでもソロでも受けられる依頼は変わらないよって事だ。
最後にギルドでの事だ。ギルド側は基本冒険者のいざこざは無干渉だがギルド内で武器を使ったり魔法を使ったりすると罰則が与えられるらしい。どんな罰かはその時に決めるから今は分からないようだ。
つまり今回俺に向かって剣で攻撃した来たあのおっさんは罰せられるのだ。俺はその時はまだ冒険者じゃ無かったから罰はない。まぁ冒険者だったとしても正当防衛だから大丈夫だけどな。
生け贄にされたけど幼馴染が付いてきてくれた。 月神月 @reasan
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