第19話
コロッケを買うと、熱々のうちに食べたい気になった。
ちょうど馬場下交差点のところに、穴八幡という神社がある。高い階段があった。敏夫はなかまで入ったことがないが、この時間なら人気はないだろう。実際、上ってみると、神社の前は薄暗がりだった。
「旨い。コロッケって、こんなに旨かったっけ?」
孝彦が叫ぶ。
「でしょ? 有名なんだよ」
「孝彦、ここは霊感感じる?」
「やめてよ。忘れようとしてるんだから」
石の階段に四人並んで座って、コロッケを頬張る。驚くべきことに美鈴は真四角のレジャーシートを持ってきていたのだった。どこまで気が利くのか、あらためて美鈴には感心することしきりだ。レジャーシートを半分に折りたたんで、それを階段にひき、四人は並んでいた。敏夫も何かいつもと違うわくわくした気分になっていた。
「孝彦、神社にお参りしたら? ゆーれい出ませんようにって」
「あ、そうか」
真面目ぶって孝彦は神社の前で手を合わせた。
戻ってきた孝彦に敏夫はからかって言った。
「ふふん、この神社、商売繁盛の神さまなんだよ」
孝彦がふざけて軽く殴るポーズをした。皆笑った。
四人はコロッケを食べたあと、どういうコースで行くか相談した。
「早稲田通りから行く? それとも諏訪通りから行く?」
「戸山公園を抜けていくっていう手もあるけど」
「とりあえず、コンビニに寄らなきゃ。西門の近くにファミマがあったよね」
真夜中に歩く @and25
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。真夜中に歩くの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます