48 エピローグ ハッピーバースデー

 エピローグ 


 さそりの星の正体


 ハッピーバースーデー


 小唄の一番大切な思い出


 小唄のお誕生日会


 小さなランプの灯火によって、

 暗闇の中にろうそくの火が灯される。

 そんな光景を、ぼんやりと小唄は見つめている。


 ハッピバースデーツーユー。ハッピバースデーツーユー。ハッピーバースーデー、ディア、……小唄くん。

 ハッピバースデー、ツーユー……。

 ぱちぱちぱち。

 お誕生日の歌が歌い終わると、小学校の同級生のみんながそんな風にして、小唄に拍手をしてくれる。

「お誕生日おめでとう! 小唄くん!」嬉しそうな声で、みんなが言う。

「……どうも、ありがとう」

 恥ずかしそうに顔を赤くしながら、小唄は言う。

「さあ、小唄くん。お誕生日ケーキの、『ろうそくを吹き消して!』」

「はい」

 その言葉通りに、小唄は、ふー、と大きく息をはいて、お誕生日のケーキに立てられていた、『ろうそくの火を自分の息で吹き消した』。

 すると、世界はまた真っ暗になった。


 ぱちぱちぱち。拍手の音。

「おめでとう! 小唄くん」とみんなが言った。

「ありがとう」と暗闇の中で、小唄は言った。


 ろうそくを吹き消して 終わり

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ろうそくを吹き消して 雨世界 @amesekai

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