第50話『ここは何処なのじゃ?』
……メルは……どうなったのじゃ?
真っ暗……こわいのじゃ、ここは……
……ここは何処なのじゃ?
「はっ……ゆう、と……?」
慌てて目を開けたら目の前に悠人がいて、メルの顔を覗き込んでいたのじゃ。驚いて起き上がったらおデコを強打してしまった……いたい……
「……ゔ……良かった、メルが目を覚まして」
悠人、いつもの優しい笑顔なのじゃ。でも、少し影があるのじゃ。悠人は眩しそうに目を細めているのじゃ。これは、悠人の癖なのかな?
そんなに眩しくないと思うけど、この部屋。
それより、この部屋は何処なのじゃ?
「メル、君は煙を吸って倒れたんだよ。ここは隣町の尾姐咲町の病院。まぁ、さっきまで僕も倒れてたみたいだけれど。とにかく、メルが無事で良かった」
そ、そうか……煙……赤と、黒と……
「ゆ、悠人っ……ば、婆っちゃは!?」
「安心して、無事だよ。命に別状は無かったみたい。僕達が飛び込んだ時には既に近所の人達に助けられていたみたい。駄菓子屋も全焼は免れたみたい。商品は焼けちゃったけれど店の半分と二階は無事だって警察の人に聞いたよ」
「よ、良かったのじゃ……でも、婆っちゃともあろうものが火事を起こすなんて……」
「それなんだけど、気になる事を聞いたんだ。警察の人が話してるのを聞いただけなんだけど……」
「のじゃ……気になる、こと……?」
「火が鎮火して現場検証をしていると一通の手紙が……確か茶封筒の差出人不明の手紙がポストから見つかったみたい」
「そ、それって……」
「うん、メルが見せてくれたあの手紙の人物と同一人物じゃないかと思う。内容は、確か、次はない、といった内容だったようだ。よく聞き取れなかったけれど……」
や、やっぱりあの手紙は脅迫状だったのじゃ……
メルのせいで婆っちゃが……駄菓子屋が……
でも、忠告通りに悠人と離れる?
そんなの……おかしいのじゃ。
「メル?」
「な、何でもないのじゃ……ひ、一人になりたいのじゃ」
「わかった。落ち着いたらお婆ちゃんに会いに行こう。僕は上の階の病室だから」
悠人、よく見たら怪我をしてるのじゃ。
「わ、わかったのじゃ……」
悠人は出て行ってしまったのじゃ。ドアに肩をぶつけて少し痛そうにしてる。鈍臭いな。
ほ、本当は一緒に居たかったけど……
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