第47話『モデルは辛いのじゃ』


 結構な時間が経ったのじゃ。悠人はチラチラとメルを見てはキャンバスと向き合っているのじゃ。

 悠人はたまに目を擦るような仕草を見せる。疲れてるかの?

 悠人が見る度に目が合って恥ずかしいのじゃ、悠人の馬鹿め。後でオレンジジュースをおねだりするからの。


 ……


 ……


「よし、出来た」

「む、み、見せろなのじゃ!」

「あ、うん……上手く描けたかは分からないけれど……どうかな?」


 めちゃくちゃ上手いのじゃぁっ!?

 この短時間にメルだけじゃなくて背景まで描いてる。悠人のやつ、只者ではなかったのじゃ。


「……でもメルはこんなに可愛いくないのじゃ」

「そうかな。僕は見たまま描いたつもりだよ?」

「なっ……はぅ……」ぷしゅ〜

「そうだ。モデルになってくれたお礼に、オレンジジュースを持ってくるよ。それとケーキもね」

「うおーい、やったのじゃぁっ!」


 オレンジジュースとケーキが食べられるなら、いくらでもモデルになってやるのじゃ。

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