第46話『恥ずかしいのじゃ』


 今日は悠人の家にお邪魔しているのじゃ。ご両親も暖かく迎えてくれたのじゃ。とても優しそうな人達だったな。

 でもでも、婆っちゃには敵わないけど。


「さ、入って。特に何もない部屋だけど」

「お、おうなのじゃ……」ドキドキ


 よ、よく考えたら悠人の部屋に……というか、何か凄い家じゃ。真っ白でピカピカなのじゃ。

 で、悠人の部屋は殺風景なのじゃ。本棚と絵を描く……なんか台みたいなものとベッドしかないのじゃ。……ベッド……

 ド、ドラマで見たことあるのじゃ……ベッドというものは……その……あぅ


「どうしたの、メル?」

「な、なな、何でもないのじゃぁっ!」プンプン!


 全く、悠人はそんな人じゃないのは分かってはいるが……それにしても広い部屋じゃ。


「椅子って椅子がなくてごめん。とりあえずベッドに腰掛けてくれたらいいよ?」

「ベッドに!?」

「ん、どうしたの?」


 何でもないのじゃ馬鹿悠人っ!

 仕方ないから座るのじゃ。すると、悠人がジロジロとメルを見てくるのじゃが……まさか、本当にドラマなのか!?

 こ、心の準備がっ……いやいやいや……む、むむ無理じゃぁっ……まだ早いのじゃぁ……


「あ、メル。ちょっとじっとしてて。そう、そのくらいの角度で」

「……のじゃ?」

「…………」

「…………のじゃ?」

「…………」

「……ゆ、悠人? あの、のじゃ?」

「ごめん、今集中してるからのじゃならないで……!」


 のじゃるって……


 ゆ、悠人のやつ、いきなりメルを描き出したのじゃ。せめて許可くらい……むぅ、まぁよいか。

 この体勢、ちょっと疲れるけど……

 あんな真剣な表情をするんじゃな、悠人の絵を描く時の顔。いつもみたいな笑顔じゃないが……でも、とても楽しそうな表情じゃ。


 ……何か、恥ずかしいのじゃ。のじゃぁ

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