　メルがとんでもないものを僕に見せてきた。刑事ドラマなんかでよく見る、切り文字が無造作に並べられた所謂脅迫状だ。

　しかもその内容は恐らく僕とメルに対してだ。

　いったい誰が？

「メル、これは家に直接届いたのかい？」

「のじゃ。多分、ゆーびんの人が届けてくれたのじゃ」

「……その人、本当に郵便局の人だったのかな」

「わ、わからないのじゃ」

　根拠もなくその人物を疑うのは良くないな。でも、これは間違いなくメルに対しての脅迫状、いや僕に対しての、か。

　僕とメルが付き合っている事をよく思わない何者かがいる。そしてその何者かはメルの家、つまりは駄菓子屋の位置も把握している上に僕の事も知っている？

　……誰だ……？

　まさか……

「悠人、メルはお腹が空いたのじゃ」

　いつの間にかこんな時間か。

「そ、それじゃあ何か食べようか？」

　お昼にサンドイッチ食べたからあまりお腹空いてないけれど、どうやらメルはお食事モードみたい。

　気になる事はあるけれど、今はメルとの時間を楽しもう。思い当たる節もあるし、帰ったら僕の方で調べてみよう。

「ゆうとー、早く行くのじゃー！」

　メルが笑顔で僕を見る。この笑顔をキャンバスに描いてみたいな。おっと、僕は何を……

　……

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