第42話『今日こそ決める!』(※)



 今日、僕は一世一代の告白をする。

 相手はメルだ。彼女と出会ってからというもの、沈んでいた気持ちが少しばかり明るくなった。


 昨日の夜、楠木さんには電話でその旨を伝えた。彼女は相当怒っていたけれど、元々彼女と僕は付き合っている訳でもないのだから、はっきりさせるべきだと思ったからだ。




 そして今、僕はメルの前に立っている。


 メルは頬を赤らめてキョロキョロと辺りを見回して落ち着かない様子だ。


「メル、い、いきなりで驚くかも知れないけれど……やっぱり自分の気持ちに嘘はつけそうにないんだ」

「……の、のじゃ?」

「メル、僕は君が好きだ。……も、もし良かったら……つ、付き合ってもらえませんか!」


 ス、ストレート過ぎたかな?

 間違いなくメルは今、心の中で叫んでるだろう。

 のんじゃぁって。


 メルは僕と目を合わさないようにしながら息を荒げている。やっぱり僕はこういうの慣れてないな。驚かせてしまったみたいだ。


 小さな身体をよじらせるメルの顔が真っ赤に染まってしまった。


「……メル……ご、ごめん……いきなりで驚いたよね。どうも僕はこういうの疎くて……」


 やっぱり駄目か。そりゃそうだよ。歳も知らないような女の子にいきなりこんな事、普通に驚くだろうし、何よりメルにその気はないだろうから。


 ……と、諦めかけた、その時だった。



「お、おっけい……なの、じゃ」



 ……え?



「だ、だから……か、彼女になっても良いのじゃ、と言ってるのじゃ」

「本当に!?」

「し、仕方ないから、なのじゃ。ちゃんとデートにも連れて行けなのじゃ。パンケーキとオレンジジュースでメルは大満足じゃ」


 デートって、図書館?


 頬を赤らめ、僕の気持ちにこたえてくれたメルが、いつもより更に可愛らしく見えた。


 この日、僕とメルはカップルになった。


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