第35話『別に怒ってないのじゃ、プンプン』



 むぅ、悠人め。またあの女と。


 って、メ、メルには別に関係の無いことじゃ。悠人なんぞ星の数だけ……ではなく、な、なんとも思ってないのじゃ! プンスカ!


 おほん、取り乱してしまったのじゃ。


 あ、またあの時の絵本が。

 メルはソレを手に取りページをめくってみたのじゃ。綺麗な絵じゃ。メルはこんなに上手に絵は描けないのじゃ。

 もう一度読んでみよう。


 婆っちゃがくれたお小遣いは五百円。

 メルはカフェで大きなパンケーキを注文したのじゃ。む、無性に甘いものが食べたくなったからなのじゃ!

 でも、お釣りは四十円なのじゃ……


 これではオレンジジュースが飲めない。

 ついカリカリして一番大きなパンケーキを注文してしまったのじゃ。仕方ないから無料のお水をいただくのじゃ。

 メルの目の前には美味しそうなパンケーキ、メルはそれをナイフで切り取りフォークで口に運ぶ。


 うん、美味しいのじゃ。


 でも、ただただ美味しいだけじゃ。

 何故メルはこんなに胸が痛いのじゃ?





 メルは婆っちゃの待つ駄菓子屋へ帰って、モロッッコヨーグルを三つ食べたのじゃ。

 少しだけ気分が落ち着いたような、そうでもないような。


 メルはこの感情を知らないのじゃ。


 婆っちゃなら、この気持ち、わかるのかな?

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