第28話『二人乗り』(※)



 メルが何故か僕の服を掴んではなさないのだけど。さっきの段差、そんなに怖かったのかな?

 気を付けてあげないと。

 それにしても軽いな。後ろに人が乗ってるように感じないくらいに。


「悠人や、信号赤やで?」

「おっと、危ないあぶない」



 間も無く僕等は近くの河川敷に到着したんだけど、これはまた凄い人だな。

 既にお花見に来たであろう人で埋め尽くされて座る場所を探すのも大変そうだ。


「め、めちゃくちゃ人がいるのじゃぁっ!?」


 仕方ないよ、メル。

 だってこの河川敷は桜の名所としてもそこそこ名の通ったお花見スポット、春になるとこぞって人がやってくるのだから。


「この辺りにするかね。ちいとばかし桜は遠いけど眺めは良いしな。自転車も側に置いとけるし」


 相変わらず行動がテキパキしてる。お婆ちゃんはいつまで経っても元気だな。

 僕等は河川敷へ降りず川の土手の空いた場所に座ることになった。

 自転車を停めスタンドをあげる。



「……むむぅ……」プルプル


 もしかして自分で降りられないのかな?

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