第22話『絶好調なのじゃ』


 身体の調子がすこぶる良いのじゃ!


 こんなに身体が軽いのは久方ぶりで非常に気分が良い! こんな日は掃除もはかどるのじゃ!


 すいすいすい~なのじゃ!


 あの隅っこの埃もっすいすい~♪


 この角の埃だって、すいすい~♪


 ルンルン♪ メル、絶好調っな……


 ——がばぼすっ!


「のんじゃぁぁっ!?」



 ……


「ご、ごめんなさいなのじゃ~……」

「別に気にすることないよ? この掃除機が強力過ぎるんやで」


 婆っちゃは優しいのじゃ。

 メルはいつも足を引っ張ってばかりじゃ。そんなメルの頭を、今日も大好きな笑顔で撫でてくれるのじゃ。

 非常に心地良いのじゃ~!


 しかし不思議じゃ。熱を出した時から一週間、メルの身体は絶好調なのじゃ。

 でも、何か引っかかるのじゃ。


 何故、なのかな?


「メル、お昼にしよっかね」

「うむっ、メルがお手伝いするのじゃ!」





「ご馳走さまなのじゃ~!」


 お昼はお味噌汁とネギがたっぷり入っただし巻き卵だったのじゃ。婆っちゃは卵を綺麗に焼き上げるのじゃ。

 メルも挑戦したのじゃが……婆っちゃみたいに上手く出来ないのじゃ。


 結局、婆っちゃはメルの焼いた形の崩れた卵を食べてくれたのじゃ。


「うん、美味しいわ。メルの焼いてくれた卵は。メルや、料理はまごころで美味しくなるんやで?」


 見た目や形ではなく、まごころ。

 婆っちゃはそう言って笑うのじゃ。


 メルはもっとお料理が上手になりたいのじゃ。誰に作る訳でもないが。

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