第17話『ザワザワするのじゃ』




「メル? 何をムスッとしとるのや?」

「なんでもないのじゃ……! むすぅ〜」


 めんたい悠人……ライバルなのじゃ……


「なんや、悠人が気になるのかえ?」


 なっ、婆っちゃはエスパーかっ!?


「あの子はな、小さい頃よくここへ来よったんや。それでな、いつもコレを買って帰っとったわ」

「うまい棒、めんたい味? でも婆っちゃ、今日はモロッコヨーグルを……」

「あの子が甘いのを食べるときは、大体何か悩み事とか嫌なことがある時やったと思うんやけど」


「嫌な、こと? 悠人は……何が嫌なのじゃ?」


 メルの質問に、婆っちゃはわからないと首を傾げるだけじゃった。


 気になるのじゃ。

 べ、別にめんたいがどうとか、そ、そんなんじゃなくてだな。うぬぬぬ。


「婆っちゃ! すぐに戻るのじゃ!」


 メルは何故今走っておるのじゃ? 今更追いかけても悠人はもう。

 いつのまにか図書館に来てしまった。


 あ、あれはっ! 悠人ではないか。何を悩んでおるのか聞き出してっ……って……

 あれは、誰なのじゃ?

 女の人じゃ……綺麗な女性ひと、じゃな。


 悠人はその人と一緒に何処かへ歩いて行ってしまったのじゃ。親しげに話していたのじゃ。

 あの女性ひとは悠人の恋人かな?


 だ、だとしてもっ! メルには関係ないことなのじゃ。別に、関係ないこと……

 なのじゃ!


 スタタタ、なのじゃ〜!

 


「おおメルや、いきなり何処行ってたんよ? そんなに息切らしてからに」


「婆っちゃ、モロッコヨーグル……!」


「しゃーない子や。ほら、これが最後やで?」



 べ、べべ別に……嫌なことがあったわけではないのじゃ! ぷん!

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