第15話『別に妬いてないのじゃ』


 此奴、どういうつもりじゃ? メルの婆っちゃを横取りするつもりか? と、とにかく全力で追い出すのじゃ。ぷんっ!


「おい、悠人! 今日もめんたいじゃな?」

「そうだね。今日は……モロッコヨーグルを買おうかな?」


 な、なんじゃと!? うぬぬぬ!


「じ、10円じゃ……」


 チーン!


 メルがレジを開けるのを見て婆っちゃと悠人はクスクスと笑うのじゃ。

 悠人はモロッコヨーグルを持って帰ったのじゃ。


 婆っちゃの悠人を見送る目は、メルに見せてくれる優しい眼差しと同じじゃ。


 ……気になる。


 そして少しばかり妬けるのじゃ! 婆っちゃはメルの婆っちゃなのに。何者なのじゃ、ラ、ライバル出現なのじゃ!


 ゆうと、ゆうと、ゆーと、うーむ。


「メルや、何を難しい顔をしとるんや?」

「な、何でもないのじゃ……」

「これ食べる?」

「おぉ、さくらんぼ餅じゃぁ!」


 これも美味いのじゃ、ほんのり甘くて幸せな気分になるのじゃ。はむはむ、うむ。

 やっぱり婆っちゃはメルの事が一番可愛いのじゃ。ふふふ、悠人め。メルの勝ちじゃ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る