第14話『メルの婆っちゃじゃぞ⁉︎』


 二月二十八、木曜日

 午前十時二十五分


「婆っちゃ! 商品のちんれつが完了したのじゃ~!」

「ありがとなぁ、助かるわぁ。でもまぁ夕方まではお客さんも来んやろし、のんびりしよか」


 寒さはまだ残るけど、少しばかり過ごしやすくなってきたのじゃ。メルと婆っちゃはのんびりとお店の商品を食べるのじゃ。美味しい〜のじゃ!


 ちなみにメルはモロッコヨーグルが大好物。


 小さな容器にヨーグルトみたいな甘いのが入ったアレじゃ。それをスプーンですくってちまちまと食べる時間は至福の時じゃ。

 でもでも、不思議なことにアレにヨーグルトは使われておらんみたいじゃ。婆っちゃが言ってた。


 たしか、ぐらにゅうとう? とかいうのとしょーと……何ちゃらを混ぜて香料を少々とか。

 詳しいことは知らないけど、もはや美味しければ何でも良いのじゃ~!


「こんにちわ~、あ、お婆ちゃんいた。久しぶり、元気にしてた?」


 む、この声は!?


「あんれまぁ? 悠人ゆうとかえ?」

「うん、悠人だよ。色々あってこっちに帰って来たんだ。お婆ちゃんは元気そうで何よりだよ」


 む、めんたい悠人じゃ……

 悠人は婆っちゃと知り合いなのか?


「あ、メルちゃん、こんにちわ」

「こ、こんにちわなのじゃ」

「悠人や、メルと知り合いかね? でもな、あまりメルを子供扱いしたらこわいで? ほら見てみ、怒っとるよ?」


 むむ……メルは大人じゃ……!


「そうなんだね。ごめんよメルちゃん」

「メルでいいのじゃ。ちゃんはくすぐったいのじゃ! うぬぬぬ」

「うん、わかったよ。メル」


「お、おう……なのじゃ」


 何じゃ……胸の辺りがざわざわする。

 そんな綺麗な笑顔でメルを見ないで欲しいのじゃ。なんだか眩しいのじゃ。


「悠人や、色々事情があるんやろけど元気そうで良かったわ。いつでも遊びにきぃや。

 ほら見てみぃ、メルも喜んどるわ~!」


 はぅっ!? 婆っちゃ! 喜んでなんか!?


 悠人と婆っちゃ、仲良さそうなのじゃ。

 うむむむむ〜!

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