第11話『図書館』(※)


 僕の日課はこの町一番の図書館に通うこと。


 図書館はとても落ち着く。静かだし、最近はカフェなんかも併設されていて便利だ。


 これだけ広いといくら読んでも読みきれないほどだ。今日は何を読もうか。

 小説、実用書、ビジネスや経済系…医学や科学などの専門書も面白い。


 これは……


「天使の贈り物?」


 今歩いているのは児童書のコーナーだ。僕はそこで一冊の絵本を手に取った。


『天使の贈り物』……絵本にしてはページ数が多く読み応えもありそうだ。絵もとても綺麗なタッチで描かれていて非常に興味深い!


 よし、今日はこれを読もう。

 カフェでコーヒーも飲もう。


 児童書コーナーから離れようとした時、ふと僕の視界に入ったのは、小さな女の子だった。


 女の子はぴょんぴょんと跳ねながら上の段にある本を取ろうと奮闘しているようだ。

 しかしあれじゃ取れそうにないな。周りの人も見て見ぬふり。

 仕方ない、取ってあげようか。



「のっじゃー! 取れないのっ、じゃぁ!」



 背伸びしてプルプルする女の子に僕はお目当てのモノを手渡す。


「お、あ、ありがとう……」


 大きな琥珀色の瞳が僕を見上げている。

 黒い髪は腰の辺りまで綺麗に伸びていてとても良い香りがする。

 日本人……いや、ハーフ?

 見た目はかなり子供っぽいけど。


「君、こんな本を読むの?」

「は、はいっ、興味があるのじゃ……じゃなくて、あるんです!」


 スマホのアプリ活用。

 最近の子供はみんなスマホを持っているし、おかしなことではないか。


「……って、あぁっ! めんたいの人なのじゃ!」


 うわ、突然どうしたんだ?

 女の子の口調が変わった? のじゃ? あ、この子……あの時の……

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