第10話『お散歩なのじゃ』


 冷たい空気が気持ちよいのじゃ〜。


 ん? 何をしているか? 見て分からんのか、散歩じゃ散歩。婆っちゃに買ってもらったコートを着て、ぶらりと町を散策中じゃ。


 駄菓子屋は婆っちゃが見てくれているから大丈夫なのじゃ。ふぅ、ってすると白いモクモクが出てくるのじゃが、これは何なのじゃ?


「お、消えてしまった。いつもすぐに消えてしまうから捕まえられんのじゃ」


 お、そうじゃ! 婆っちゃがワイワーイの工事を頼んだと言ってたし、スマホの使い方の本を借りに行くのじゃ。


「確かえっと……」


 はて? 図書館はどっちじゃったかな?

 あ、メルの後ろに人が居たのじゃ。あの人に聞いてみるのじゃ。

 そう思ってメルが声をかけようとすると、その人は走り去ってしまったのじゃ。


 何もそんなに急いで去ることはなかろうに。

 あ、あの眠たそうな顔の男に聞くか。


「おーい、そこの眠たそうな男〜」


 眠そうな目でメルを見た男は、あくびをしながら首を傾げるのじゃ。


「あ、駄菓子屋の子。どうしたの?」

「おう、お前はたまに来る奴」

「……い、一応、鈴木って名前があるんだけど」

「細かい事はどうでもよいのじゃ、そんな事よりお前、図書館は何処なのじゃ?」


 眠たそうな男は再びあくびをしながら、向こうを指さしたのじゃ。


「おお、そっちか。ありがとうなのじゃ」

「はい、どういたしまして。」


 図書館へ行ってみるのじゃ〜! るんるん!

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