第5話『メルはスマホを使えるのじゃ』


 

 

 ……

 

「婆っちゃ、今日は湯に浸かりたいのじゃ」

「ほんだら、掃除してお湯はらんとな」


「それならメルに任せるのじゃ」



 ……ゴツン!



「大丈夫かえ? 頭、見せてみぃ?」

「うぅ……」



 婆っちゃは浴槽の掃除中に足を滑らせたメルの頭を気遣ってくれるのじゃ。

 大きなタンコブが出来たのじゃ。肘も角で打ちつけてジンジンするのじゃ。痛いのじゃぁっ!


 でも、お湯はあたたかいのじゃ。狭いけど、久しぶりに婆っちゃと二人でお風呂なのじゃ。


 婆っちゃはメルの長い髪を丁寧に洗ってくれるのじゃ。非常に心地よいのじゃ〜。



 翌朝、今日は曇り空。

 そんな日は、メルのテンションも上がらないのじゃ……そして今日も暇なのじゃ。


 メルはスマホの操作が得意じゃ。

 指で触れると画面がすくろーるするのじゃ。

 このスマホはメルの唯一の持ち物で、何故それを持っているのかはわからないのじゃ。


 えっへん! なのじゃ!

 図書館の本を借りて使い方を勉強したのじゃ。

 ふふん。


「メルや、そのスマホ繋がってたら良かったのになぁ。そうや、今度わいふぉーいしたろ。家の中やったらネットも動画も見放題や。

 どうや、よう知っとるやろ。まだまだ若いもんには……」


 また始まったのじゃ。

 繋がってないとは、どういう意味じゃ?

 ちゃんと使えるのじゃ。




 

 うとうと……うとうと……


「メルちゃん? メルちゃん?」

「はっ、おう……お前達か……」

「メルちゃんまたお昼寝してたの?」


 また子供達に笑われてしまったのじゃ。でも、無邪気な笑顔はメルを癒してくれるのじゃ。

 全く、可愛い奴らじゃなぁ〜!


「ほんっと、メルちゃんって可愛いよね!」

「よしよしメルちゃん、お昼寝可愛い!」


 ……む。メルは大人じゃ。なのに小学生に可愛いがられてしまったのじゃ。無念。


 子供達はいくつかのお菓子を買って元気に帰って行くのじゃ。

 二階から夕飯の良い匂いがしてくるのじゃ。


 お腹空いた……のじゃ。



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