第4話『うまい棒めんたい味なのじゃ』
一月二十二日、火曜日
午後二時七分
今日は暇なのじゃ。
うとうと、うとうと。
ストーブの前はあたたかくて、つい眠くなってしまうのじゃ……はぅ……
「あの、すみません……?」
すぅ……すぅ……
「あの〜?」
「……っ……はっ!? い、い、いらっしゃいませなのじゃっ!」
び、びっくりしたのじゃ~!? バクバク!
「ごめんね、起こしちゃったかな?」
はて? 男の人なのじゃ。
こんな大人が駄菓子屋に来るのは珍しい……
見るからに優男じゃ。真っ黒な髪と瞳が無駄にキラキラしているのじゃ。
「これ、もらえるかな?」
うまい棒めんたい味。しかも三つも。
「60円なのじゃ」
チーン!
……行ってしまったのじゃ。うまい棒、美味しいのかな? メルはまだ食べたことがないのじゃ。
うまい棒、めんたい味。
うまい棒、めんたい、あじ。うーむ。
「何うまい棒とにらめっこしとるんやメル? なんや食べたいんか? 一つ食べてもいいで」
あ、婆っちゃ。
婆っちゃはうまい棒めんたい味の封を切ってメルに手渡してくれたのじゃ。
メルは一口、それを口に含んでみるのじゃ。
サクサクした食感、少しばかり歯にくっつくのが微妙に不快じゃ……
それに、メルには味が濃いのじゃ。
「ほぅ、むせとるんか? メルの口には合わんみたいやなぁ……無理して食べんでもいいよ?」
それでもメルは食べるのじゃ。婆っちゃがくれたものを残すのは嫌だからじゃ。
それにしても、あの男、よくこのようなものを三つも買ったな……けほけほ!
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